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「デジモンサヴァイブ」は残酷で不快な怪作で傑作だ

ボクはデジモンサヴァイブを
ず~っと待ってたんだ

はじめに

7月28日にデジモンシリーズ待望の新作「デジモンサヴァイブ」が発売された。
何年もの延期にようやくやっと発売された本作品、私は胸を張ってこう言おう「待った甲斐があった」と
私はデジモンサヴァイブの世界にのめり込み、心を揺さぶられ、思い悩み、苦しんだ

サヴァイブしよう!

決して多くの人に薦められる作品ではなく不快感をプレイヤーにぶつけてくるキワモノ作品ではあったのだが
それでもこの作品を買おうか悩んでいる人やデジモンが好きなんだけど新作どうなの?って人に手にとってもらいたい
と思ったのでこの記事を書くことにした
なるべく物語の核心部分に触れず、公式が注意掛けしている五章以降は避けていますが、ネタバレが絶対嫌って人はこれ以降読まずに今すぐ買ってプレイすることをおすすめする。

  「デジモンサヴァイブ」  ってどんな作品?

デジモンサヴァイブはPS4/Nintendo Switchで発売されたテキストアドベンチャー+タクティクスバトルゲームである
簡単にいうとノベルゲームにチェスのような升目の中で戦うターン制バトルが混ざったようなゲームである
ノベルゲームが主になっていてプレイ画面は大体こんな感じだ

あらすじ

地域に伝わる民間伝承。獣の姿をした荒ぶる神、ケモノガミ。
それは子供を生贄に求め、神隠しによって連れ去るという……。
この地へ課外キャンプにやって来ていた少年少女たち。
彼らは、はぐれた友人を探しにケモノガミが祀られるこの神社に足を踏み入れてしまう。
そして突如立ち込めた霧……、友人の悲鳴とともに、岩が擦れ合うような不気味な音が聞こえてきたのだった。
霧の中から現れたのは、通常の生物とはまったく違う、未知の怪物だった。
怪物に襲われ逃げ惑う私たちは、土砂崩れに巻き込まれ、そのまま意識を失ってしまった。
そして、気がつくと彼らの目の前には先ほどまでいた場所とは違う光景が広がっていた。
そこは不思議な生き物やモンスターたちが跋扈する異世界だった。
突然放り込まれた未知の場所で、死の危険と隣り合わせの過酷な状況。
恐怖と疑心暗鬼に包まれながらも、
少年少女たちはそれぞれにモンスターと絆を育み生き残る道を模索していく。
デジモンサヴァイブ公式サイトより引用

このあらすじを踏まえた上でデジモンサヴァイブのストーリーの特色を3つの話に分けて紹介していこうとおもう。

  1. この世界におけるデジモン

  2. デジモンアドベンチャーのオマージュ

の三点だ。順を追って話をしていこう


1. この世界においてデジモンは
「ケモノガミ、バケモノ」

ケモノガミ信仰を調査している教授
伝説上の存在ケモノガミ(デジモン)の正体
を探っている

あらすじに一言も「デジモン」という言葉が出てきていないことに気づいただろうか?デジモンサヴァイブ作中ではデジモンは「デジモン」と呼ばれず
「ケモノガミ」「ケモノ」「モンスター」「バケモノ」等と呼ばれる
あらすじでも紹介されているように
地域に伝わる民間伝承に伝わる獣の姿をした荒ぶる神がケモノガミだ
人間に理解不能なバケモノだ
今まで様々なメディアで慣れ親しんできた「デジモン」とは少し異なる扱いである。尤もデジモンシリーズに置けるデジモンの定義は作品によってまちまちだったのだが

バケモノに警戒するカイト


本作品は「モンスター」である部分が強調され、プリミティブで恐ろしい存在として描かれている
その理解不能な恐れは勿論パートナーデジモンにも向くことになる
子供達の様々抱く感情に影響され進化するパートナー達はどのような進化を遂げていくのだろうか


君の選んだ選択がアグモンの進化を決める
どうしようもないこの状況に
頼りないパートナーロップモンに
辛く当たってしまうシュウジさん

2.世界を包む「霧」


霧が出てきたらもう逃げるしかない


最も恐ろしいのはこの「霧」である
この「霧」に飲み込まれたら消える
原因も解らず、突然「霧」に包まれて存在が失くなってしまう
恐ろしいモンスター、どうしようもない霧、頼れる大人もいない
常に死と隣り合わせな世界観の中で彼らは不安をぶつけ合ったり、衝突したりと打ち解け会う中で素顔が少しずつ見えてくる


お調子者で軽薄にも見えるミノルだが
ストーリーが進むにつれ様々な面が見えてくる


それが「デジモンサヴァイブ」の肝であり面白い部分であると同時に不快だと筆者が評した理由だ
この息苦しい世界観そのものが大きな魅力であり、人を選ぶ作品となっている
特に序盤の打ち解けられてない子供達がピンチの連続で疲弊していく姿を見せつけられ、希望も見えない序盤は辛い部分があるが話が動き出してからは本当に面白いのでしんどさを堪能してほしい

外にはバケモノと霧、命を守るために
拠点に閉じ籠ることを提案するリョウ

3.「ダークな」
デジモンアドベンチャー

「デジモンアドベンチャー」
キャンプに訪れた7人の子供達が
デジモンと出会い冒険していくアニメ作品

課外キャンプや突然の異世界での子供達のサバイバル
この要素でデジモンアドベンチャーを思い起こした人も多いのではないだろうか?
それもそのはずこの作品はデジモンアドベンチャーを意識して作られた作品で
妹に過保護で暴走しがちなお兄ちゃん「カイト」や常に気を配る皆のお姉さんのような「アオイ」等
こいつは「ヤマト」ポジションだな、「空」だなとデジモンアドベンチャーに置き換えてメインキャラクター達を見ることになるだろうが、その期待は
よくも悪くも裏切られるはずだ

愛する妹ミウのこととなると暴走するカイト
何やら事情があるらしいのだが…

子供達が見せる生き様にきっと印象も変わっていくことだろうこの他にもデジモンアドベンチャーをなぞった展開や通じる部分もありかといってオリジナリティがない訳ではなく独特な世界観にのめり込めるはずだ

しっかり者のお姉さんといった感じのアオイ

その他の注目ポイント

探索パート

会話によって子供達との親密度も上げたりアイテムを入手したりとストーリーの合間の小休止がこの探索パートだ
この親密度は主人公を除いた子供達のパートナーデジモンの進化に関わっていくことになる大事なポイントであるが
それ以上に子供達の心に寄り添うことができるので
この子は何をいったら安心するだろうか
と共にサヴァイバルしていく気持ちを味わえるだけでなく新たな一面に触れることだろう


妹に対する思いを照れながらいうカイトかわいい


バトルパート

好きなデジモンを集めて、特訓して、進化させて、バトル!のようなデジモンゲームを期待している方には申し訳ないが
このゲーム非常にデジモンの総数が少なく120種弱ぐらいだ
この中から主人公達のデジモンや特殊なデジモンは敵として出現しないことが多いので
同じ種類のデジモンと何度も戦うことになるので正直な話見飽きてしまう
中盤になってくるとスカウトしたフリーデジモンや仲間のデジモンも進化できるようになるのだが序盤は単調になってしまっている感じが否めないだろう
デジモンのSRPGを期待して購入すると肩すかしを食らうかもしれない

デジモン

野性味溢れるケモノ達が襲いかかる

デジモンの数が少ないと先ほど述べたのだが登場するデジモンのチョイスは
とても面白いものとなっていて
子供達のパートナーデジモンは目立った活躍の少なかったマイナーなデジモンが採用されていたり
今回の作品にあった荒々しいケモノだったり恐ろしいバケモノ的なデジモンが多く雰囲気が統一されている
特にモデルとなったデジモンアドベンチャーに出演していたデジモンも多いため
ファンには嬉しいポイントではないだろうか

主役の一体に地味な方のファルコモンが
選出されている
ミノルの頼れるクールな相棒だ

終わりに

再三言うが極めて人を選ぶ作品である
日曜日の朝から子供向けアニメやってるコンテンツでこんなもの出していいのか?(ゴーストゲームも大概怖いが)と思うぐらいの実験作ではあるが
あう人は雰囲気に没入できる作品である
是非とも手にとってみてほしい

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