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インデックスファンド投資でアーリーリタイヤが難しい理由①

アーリーリタイヤ。
素晴らしい響きです。労働からの解放。毎日が夏休み。人間は働くために生きてくるわけじゃない。
会社や組織で働くのは、生きていく上で必要な人間関係とお金を手に入れる一番手っ取り早い方法だと思います。とはいえ、そういう生き方で幸せを感じられるかは個人差があって、皆で仕事をするのがあまり好きじゃない人や、金になりにくいことに面白みを感じる人には生きにくい世の中だと感じます。

閑話休題。
ここ数年、インデックスファンド投資が空前のブームです。
手数料に敏感な投資家に訴求する商品が増えたことと、ベンチマークに勝てるアクティブファンドを選ぶことの難しさが広く認知されるようになったことが要因だと思います。
※投資信託のコストについてはこちらのnoteに詳しく書きました。
それなりに広告収入が見込める分野なのか、株価指数やファンドの解説をしたり、自分の投資方針と実績を紹介するブログが増えました。そういったブログには「インデックス投資でアーリーリタイヤを目指す」「積立投資でセミリタイヤしたい」といった言葉がたまに出てきます。
私はインデックス投資だけでセミリタイヤは難しいと考えています。その理由を書きます。長くなりますので、いくつかに分けたいと思います。

理由1:期待リターン8%でも時間がかかる

一点目は、分散されたポートフォリオによる運用だと、まとまった資金を作るにはかなり時間がかかるということです。
外国株式に広く分散投資するインデックスファンドの期待リターンは、ざっくり年率8%くらいだと考えて良いと思います。直近のファクトシートによると、主要な指数の実績リターンは以下のとおりでした。
MSCI KOKUSAI(先進国除く日本)(ドル建て)
直近10年・・・7.19%
1994年5月以来・・・8.86%
MSCI ACWI ex Japan(新興国を含む全世界除く日本)(円建て)
直近10年・・・7.08%
1987年12月以来・・・9.29%

また、厚生年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が平成29年度事業報告書の「基本ポートフォリオの定期検証」で使っている外国株の予想収益率も名目ベースで7.8%(実質だと5.5%)と、だいたい8%でした。

そして、年率8%複利で運用したときの収益率は以下のとおりです。
5年 +47%
10年 +116%
20年 +366%
30年 +906%

ざっくりと、10年で2倍、20年で4.5倍、30年で10倍です。
仮に2,000万円を年率8%複利で20年運用すると9,320万円。ここで、確定拠出年金などの減税措置を利用しない限り、利益の7,320万円に対して20.315%の所得税がかかります(このうち0.315%は復興特別所得税です)。これを控除すると税引き後に残るのは7,833万円です。意外と残らないでしょう。とはいえ、毎月20万円支出する生活を30年送ると7,200万円なので、生活レベル次第ではリタイヤも可能な水準だと思います。
ちなみに、一括で2,000万円用意するのではなく積立ではどうでしょうか。期間20年、利回り8%で9,320万円貯めるために必要な積立額は年間205万円程度です。元本の合計は4,100万円になります。FPの試験などでお馴染みの減債基金係数で計算します。20年間、毎年200万円をリスク資産に投資するって結構すごいですよね。本業の稼ぎがそれなりにないと難しいんじゃないかと思います。
以上のことから、期待収益率8%の世界でセミリタイヤするためには、相応の元手を貯めるだけの本業の稼ぎと、大金が無くても楽しく過ごせるという適性が必要なのだと思います。
なお、本稿では外国株インデックスのリターンをあたかも毎年8%積み上がって行くかのように書きましたが、株に投資する以上そんなことはあり得ません。次回は収益のボラティリティについて記載したいと思います。

続く



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