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株式市場の変動が激しいときの考え方

2018年10月はけっこう市場が荒れました。
今日は、市場の変動性(ボラティリティ)が高まっている時に、比較的長期の目線で株式ポートフォリオ※を保有する人がした方が良いことを書いていきたいと思います。初心者向けです。
※インデックスファンドや伝統的なアクティブファンドのような分散されたポートフォリオを想定しています。

2018年10月の株式市場

最初に10月の市場を簡単に振り返ります。
米中貿易戦争、英国のEU離脱、サウジアラビア人記者殺害事件などのマクロの懸案事項と、AmazonやAlphabet(Google)の四半期決算が市場予想ほどは良くなかったということで、多くの投資家がリスクを減らす方向に傾きました。
米国の中間選挙を控えて、引き続き11月中旬まで荒れると見る味方が多いようです。

日米の株価指数の騰落率は以下の通りです。
米国株は年初来ではかろうじてプラスで月を終えました。
ただ、月初に来年の消費増税に関する首相の発言があった日本は下げがきついです。

S&P500
10月  -6.9%
年初来 +1.4%

日経225
10月  -9.1%
年初来 -3.7%

市場の変動の激しさの指標として、よく見られているのがVIX指数です。
日本のメディアは恐怖指数という言葉を使いたがりますが、市場関係者は単にVIX(ヴィックス)と呼ぶことが多いように思います。

これは、米国で取引されているS&P500指数のオプションから逆算した市場の変動性(インプライド・ボラティリティ)を指数化したものです。足元でも上昇していますが、いまのところ今年の2月(米金利上昇が意識された局面)や2015年8月のチャイナ・ショックぐらいの水準です。

評価損益率と時価ベースの変動を確認する

さて、市場がこういう状況だと、人は2つのタイプに別れます。
タイプ1は、毎日自分のポートフォリオの状況を確認して一喜一憂してしまう人。
タイプ2は、資産が目減りしているのを見たくないので、保有資産の状況を確認しない人。
タイプ2の人は、今すぐネット証券や401k管理機関のマイページにログインして、やられ状況を確認してください。
その際に見るべきなのは、評価損益率と、時価評価額の先月からの変動率です。

評価損益率
分散されたポートフォリオで保有している場合、評価損益率はあまり気にしてもしょうがない部分があります。
評価損益率を見れば、自分が良いタイミングで買えているかはわかります。
ただ、それはその資産がこれから上昇するか下落するかとは関係ありません。
とはいえ、含み損が大きい場合は一回方針を再検討したほうが良いと思いますので、評価損益率がマイナス20%を下回るような銘柄やファンドがあれば、今後の見通しについて情報を集めてみてください。

時価評価額の変動(リターン)
9月末から10月末にかけて、保有している資産全体の時価評価額(キャッシュを除く)がどれくらい変動したか確認してください。
例えば、楽天証券だと「口座管理-資産の推移」で、商品区分ごとの月末の時価合計値が見られますので、
10月末の合計時価残高÷9月末の合計時価残高-1
を計算してみてください。
これが10月のあなたのポートフォリオの月間リターンです。
(月中の売買と分配金の受領は影響は金額が大きいなら調整した方がいいです。10月中の(購入額-売却額-受取配当金)の合計を10月末の残高から引くのが簡便です。)

10月の米国株の変動が-6.9%(円ベースだと-8.0%弱)、日本株の変動が-9.1%だったので、もし自分の資産が10%以上減っていたら、原因が何かを詳しく見たほうがよいでしょう。
ちなみに私は-9.7%となかなかヒドい結果でした。
米国株よりも下落率が大きかった日本株とエマージング株にもそこそこ配分していたのが主因です。

残高に0.5を掛けた金額が吹っ飛んでも人生リカバリーできるか考える

これは単に個人的に実践しているリスク管理なのですが、目安が必要な方は試して見てください。
現時点のリスク資産の時価残高の合計に、0.5を掛けてください。
例えば、株、ETF、投資信託を合計500万円保有している人は250万円です。
この250万円がなくなっても、自分の人生がこれからリカバリーできるか考えてみてください。
必須のお金はそれ以外に残してある方や、このまま働いていればリカバリーできる方は、特に問題ないと思います。
逆に、リカバリーできない方は、現時点でリスクを取りすぎている可能性がありますので、ポジションを減らすことも検討すべきです。
(今の時点で減らすか、戻るのを待つかは各人の相場観次第です。)

0.5という数字の根拠は、外国株インデックスの2標準偏差がだいたい52%(26%×2)だからです。
外国株インデックスのリターンが正規分布すると仮定すると、95.4%の確率で平均±2標準偏差の範囲に収まります。

金融機関のリスク管理ではVaR(バリュー・アット・リスク)という手法で「一定の期間(1日、1年等)にX%(1%か5%が多い)の確率で発生する最大損失はマイナス○○%だ」という数字を計算します。
実際にはリターンの分布を精査しながら複雑な計算をするのですが、似たようなことをざっくりやったのが上の計算です。
「外国株インデックスで1年間に2~3%くらいの確率で発生する最大損失がマイナス50%くらい」と考えています。
(目安なので期待リターンはここでは無視してます。)

まとめ

市場の変動性が高まっている場面では
・自分のポートフォリオの評価損益率を確認する→含み損が20%を超えているものは詳しく見る
・自分のポートフォリオ全体の1ヶ月のリターンを確認する→市場全体より負けているようなら要因を見る
・ポートフォリオのサイズが今の自分に適切か見直す(半分がなくなっても人生リカバリーできるか?)

といようなことをやってみてください。

以上になります。よろしければブログの方にも遊びにきてください。



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