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ふみんの好きなところ

ふみんの好きなところは、たぶんたくさんある。

洗濯が上手なところとか、夜にギターを弾いてくれるところとか(ふみんはギターがなかなか上手だ)、挙げればきりがない。でも、さっきふと思いついた好きなところがある。ひまなところだ。

ふみんはひまだ。全然いそがしくない。私もけっこうひまだけど、ふみんのほうがもっとひまだ。

今日、昼まで寝ていた私は、ベッドに寝ころがったままビートルズが1969年にアップル・コアの屋上で行ったゲリラライブ映像をYouTubeでずっと見ていた。何周かして満足したところで、何かすることはないかと考えてみた。ちょうど踵が壊れた靴があったので、駅前の修理屋さんに持っていくことにした。

修理屋さんについたのは夕方の4時だった。靴を預けて、隣の本屋さんに入った。特に目的はなかった。

店内に入ると、ふみんから電話がかかってきた。

「もしもし」

「もしもし。今なにしてるの?」

「本屋さんにいるよ。ふみんはなにをしてるの」

「選挙にいってきた帰りだよ」

「えらいね。とっても国民的だね」

「そうだね、レボリューションを起こしたくてね」

「Jojo was a man who thought he was a loner. But he knew it couldn't last」

「それは、"Get Back"だね」

「ああ、そうか。さっき見てたライブのがずっと流れてるや。"Revolution"は、もっとシャウトするやつだね」

「そんなにシャウトしないんじゃないかな」

「してないっけ。ジョンがとってもシャウトしてるイメージだよ」

「そうだったかな」

「わかんないや。私の勝手な革命的なイメージなのかも」


それから私はふみんと他愛もない話をしながら、本屋をぶらぶらした。

「久しぶりにブコウスキーが読みたいんだけど、見当たらないな」

「あの駅前の本屋でしょ?あそこはブコウスキーはないんじゃないかな」

「よく知ってるね」

それから、文春文庫の本棚に移った。

「ねえ、川上未映子の『乳と卵』っておもしろい?すごく昔に読んで忘れちゃった」

「んー、どうだろうね。初期の作品は町田康にそっくりっていうイメージしかないな」

「そうなんだ」

「大阪弁で、口語体」

「そっか」

「短いし、読んでみたら?」

「そうだね」

それから、私は本屋さんで本を1冊と、セブンイレブンでアイスコーヒーを買って帰った。ふみんは自分でコーヒーを淹れるのも上手だけれど、セブンイレブンのアイスコーヒーは美味しいといってよく飲んでいる。私はふみんのコーヒーとセブンのコーヒーが好きだ。


そして家に帰って思った。私はふみんの、ひまなところがとっても好きだ。こんなにひまな人はなかなかいない。

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5

beshi

ふみんとの日々。
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