病は自身に深く根を張る


おかしい。こんなはずじゃなかった。

回復に向かっていたはずの病が、気付けば最初の頃より悪くなっているではないか。一体全体どういうことなんだ。


病にかかっている時は常に何かしらの思考の渦に溺れており、負の連鎖はなかなか断ち切れるものではない。

この時私が大事にしているのは、自分の負の連鎖についての事柄を一切合切忘れてしまうことだ。

つまり、開き直るということだ。

そしてそれは、目をそらすことでもある。 

自分の落ち度や欠落した部分を自覚し、いっそのことと目をそらし、現実逃避する。なんてクズなのかと自分でも思う。

さらに私の場合、これには非常に時間を要する。

そうしてようやく忘れられてきた頃、あわよくばと欲が出て、「もう少しで完治するんじゃないか」と。

この思ってしまった時点で、既に再び病は深く根を張りめぐらせていて、振り出しに戻っていたのだ。

いや、振り出しではなく、さらに悪化していた。

忘れよう忘れようとするものほど頭にこびりついて離れない、だからこそ忘れたいものなのだ。


こうして負の連鎖を完全に断ち切るには長い長い時間を要し、複雑な工程を繰り返し、深く深く根を張っていく。


根を焼き切るには、炎の刃物が必要だ。

以前私の書いた「心のエネルギーは赤く」の鉄はまだ至っていない。