悪の自由

いつどこでだったか、

"物語の中では何を書いても許される。たとえ人や動物が死んだり、どんな犯罪を犯したとしても。"

というような言葉に会った。


人は悪に魅了されやすい。

以前人の本質は善か悪かという議論をしたことがあったが、私はその時は善だと言い切った。

しかし、仮に「何をしてもいいよ」と言われたら、良いことをする人はほとんどいないのではないだろうか。

大多数が、現実的に有り得ないような自己の願いを満たすことをするのではないか。その場合、普通なら有り得ないことなのだから本質的には悪のものであろう。

ならば、人の本質は悪であるのかもしれない。


物語は自由で、

物語は、作者が自身の一部を切り取り、継ぎ接ぎにして作り上げた世界で、作者の一部だ。

人の本質が悪で、悪が魅力的なら悪を面白いと感じるのも同じことだ。

倫理に反するようなことが行われようとも許される。だからこそ物語は面白い。