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忘れがちなひきだし

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忘れがちなテキストをしまっておく場所です。
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芦原妃名子さん/組織と個人/壁と卵/一色登希彦さんのブログ

とてもとても読み応えのある一色登希彦さんのブログ。ずしんときて、重く、処理できず、咀嚼に時間がかかる。そういうことを書いているし、そういうことが起きたのだと思う。村上春樹のエルサレム賞受賞スピーチ『壁と卵』を思い出した。100%の部外者であり表現者でもなんでもないぼくが芦原妃名子さんの痛ましい事件に触れ、少なからず動揺し、一色登希彦さんのブログを読んで思うことは「これはぼくたちにも起こりうることなのだ」ということで。それがこのブログを読むとよくわかる。もちろん表現者たちの話で

自分のエゴに正直だと人生楽しそう。

明日は仲のいいカメラマンAさんと撮影でそれなりに楽しみにしていたら電話がかかってきました。 Aさん「稲田さん、明日の撮影は直行します?」 ぼく「そうですね。車のお迎えが必要ですか?」 Aさん「いやあ、自分の車で行けるんですけど。そしたら現地集合じゃないですか」 ぼく「うん」 Aさん「そしたら稲田さんとお喋りできるのはお昼くらいじゃないですか」 ぼく「まあ、そうですね」 Aさん「それだとさみしいなあと思って」 ぼく「は?」 Aさん「迎えにきてくださったら稲田さんと行きと帰りで

他者をコントロールできると思わないことが全てのベース

こちらのツイートに感銘を受けました。 盲点でした。なんて素晴らしい問い。 「言葉や定義で他者を制御できる」 「コンテンツで他者を統制できる」 「正確であるほど他者を管理できる」 日常的にやらない人ほどこの思い込みが強い。コンテンツ支援に関わる者としてこの幻想の打破に毎回苦労するのですが、なぜこんなにも呪いが強いのかと訝しんでいて。上記のツイートに考えるヒントがありそうです。 ====== そもそも「他者をコントロールできる」という思い込みや幻想や呪いから離脱できなけ

安価で平凡なクリスマスプレゼント。

子どもが大きくなったので「クリスマスプレゼントの希望はある?」と直接聞いています。中二の娘が「なんでもいいからアクセサリーがほしい…」とすこし恥ずかしそうにいったので、安価なシルバーのネックレスを用意した。トップがクロスでベーシックなもの。高校生になったらもう着けないだろうなと思えるような。 プレゼントの袋を開けて、箱を開けるまでリクエストのことは忘れていたようで、ネックレスが出てきて目がキラキラしていました。首のうしろで初めて着けるのもうまくいかず悪戦苦闘していたけれど、

一歩間違っていれば自分もそうなっていた。という恐怖。

「自分を特別だと信じて疑わず、いつか何者かになれると漠然と夢想しながら何の努力もしてこなかった金も仕事も何も無いアラサーメンヘラ男」 ネットで散見する人物像で実際にいたらもちろん近寄らないのだけど、一歩間違っていれば自分もそうなっていた。という恐怖心が強いので他人事になれない。 以前ツイートした「いつかぼくは人生で致命的な失敗をするに違いない。今がたまたまで、一歩踏み外したら奈落の底に落ちるのだ」もその恐怖心と地下水脈で繋がっている。異論反論あるでしょうが仕方がないんです

言葉にできなくてもいいから、なかったことにしないこと。

子どもや学生への質問、スポーツ選手や相撲のインタビューであまり好きではないのが「◯◯で良かったです」という感想。あれは本人からの主体的な発話ではなく、「聞く → 答えねばならない」という関係性の圧力から生まれる空虚な回答に思える。一方的に質問をして、空虚な “それっぽい” 回答を得て満足する関係は小学校や中学校でのそれを思い起こさせる。読書感想文にも同じ匂いがする。ぼくの偏見100%ですけれど。学校のあの空気、大嫌いだったんです。今でも嫌いだけど。 さらに好きではないのが本

あっという間に我が子に追い越されていた話。

大学生の長女をアパートに送り届ける途中に車内であれこれ話を聞く。大学に入ってから友だちの作り方が分からなくなった…という長女が「寂しいくせに自分は一人でも大丈夫って強がってしまう」と漏らした言葉に大いに共感する。 「分かる…お父さんも20代からずーっとそうだったから。基本的に生きるのクソ下手なんだよね。でも安心してください。それはこの先も根本的に変わりません。ずーっと生きるのクソ下手です。君はそういう所がお父さんと似ているから、これからも苦労はするんじゃないかなあ」と返事を

本当の自分はどこにいる?

「本当の自分」なんてどこにもないと思っているけれど、「窮地に立たされたときの自分」はあると思う。それを本性と言ってもいいかもしれないけれど、ぼくは自分を全く信用していないので窮地に立ちたくない。本性なんて知りたくない。どうせ人を裏切るに決まっているのだ。100%我が身がかわいいタイプなので。 だから、戦前の日本のようなナショナリズムが濃い国になったら非常に困る。ぼくは基本的に自由を尊重する人間だけれど、相互監視の告げ口社会になったら速攻で口をつぐむ自信がある。きっと誰かを生

チャーチルの名言

偉人の名言をパラパラ見るのが趣味なのですが、ウィンストン・チャーチルはなかなか首尾一貫しているんですよね。さては苦労人だな…と思います。 チャーチルの名言 ① チャーチルの名言 ② チャーチルの名言 ③ なかなか良いですよね。きっと扱いづらい頑固親父だったんだろうと思います。チャーチルの名言で個人的にグッときたのはこちら。 はい…妻からよく指摘されます…気をつけます…

ワクワクの効能と大人の役割。

ぼくはサッカーに全然詳しくないけれど、ワールドカップで日本が勝ち上がって行ったこの数週間は何となくワクワクしていました。夜中の試合中継は観ないけれど、0時からキックオフなんだなあと思いながら寝たり、朝起きたら試合の結果が気になったり。勝っていれば「すごいなあ!」と思うし、惜しくも負けてしまっていたらやっぱり悲しいし。 日本全体も1%くらいは体温が上がっていた感じがする。そうですよね? ワクワクは経済効果みたいに数値化できないけれど、心の体温は上がる。生き物として大切だよな

反論する義務(obligation to dissent)

ぼくの高校は「文化祭が面白い学校」という自負が学生たちにちょっとあった。ぼくが3年生のときの全校集会で、1年男子が「強制参加なのはおかしい。自分は勉強したい」と全校の前で発言して「なんだあいつ…」と不穏な空気になったことがあった。実際にその男子は四面楚歌な応対を集会で受けていた。 ぼくは勉強なんて全然したくないけれどそういう奴がいても全然おかしくないと思ったので発言席に立って、「お前の意見は間違ってない。ただ人と違うだけだ。自分は勉強したくないからやらないけど、お前みたいな

経済やビジネスをテーマにした動画メディア。『PIVOT』と『日経テレ東大学』で面白かった動画リスト。

経済やビジネスをテーマにした動画メディアを日常的に観るようになりました。観るというかラジオ替わりに聞いている感じでもあります。 主に『PIVOT』と『日経テレ東大学』をよく観ています。更新情報をチェックして興味がありそうなテーマや登場人物だったらまずは観るようにしています。 経済やビジネスをテーマにした動画メディアの先駆けといえば『NewsPicks』だと思いますが、NewsPicksが登場したときは「あまり自分と関係ないな…」と思ってユーザーになりませんでした。 各メ

31歳の宿題

ぼく「坂本龍馬が死んだ歳をとっくに超えちゃった…」 同僚「何歳で亡くなったんです?」 ぼく「満で31歳」 同僚「同い年です!」 ぼく「そうか…君はこれから三木谷さん(長州)と孫さん(薩摩)の仲を取り持ち、ソフトバンクと楽天を合併させるんだ」 同僚「無理無理無理」 ぼく「そして、新たな時代を担う企業ビジョンを作る」 同僚「無理無理無理」 ぼく「楽天の三木谷さんとソフトバンクの孫さんの仲を取り持って合併の合意書を作るのだけど、三木谷さんから『孫さんは信用できないか

未だグサグサくる思春期心性

仕事でひきこもりについての資料を読んだのですが、思春期についての解説でいちいち思い当たることがあり40代の心にグサグサ刺さります… 思春期心性 この両価性という言葉には初めて出会いましたが、この気持ち、よく分かる。分かってしまう。 「近づきたい・離れたい」 「大好き・大嫌い」 うおー(取り乱しています) 40代のぼくですが、思春期の頃の感情はまだ薄皮一枚なので、こういう文章を読むと自分のことを言われているみたいでグサグサきます。開けられたくない箱を開けられるというか、