フジコ・ヘミング|母からのメール
フジコ・ヘミングが好きでキッチンでよくCDをかけていた七十歳の母に、長野コンサートのチケットをプレゼントしたのが今年の始め。
それが今日だったらしくお礼のメールがきた。
フジコさんのコンサート行ってきました。今帰りの電車の中です。
フジコさんは左足の激痛で手押し車でやっとのようで立っているのも難しいご様子でした。
でも演奏はすさまじい迫力でまるで地表に湧き出てくると言うか、うまくいえませんが魂がうなっているみたいでした。
とても高い席をご馳走してもらってフジコさんの左手が良く見えました。
迫力の音と反対にその白いしなやかな指はまるで白魚が乱舞しているようでした。そして私の好きなラカンパネラで涙しました。
音楽のこと何もわからない私ですが、私が今日のことで考えたことは残りの日々をちゃんとしっかり大事に生きようとも思ったことでした。
ありがとうございました。
ごちになりました。
なんとも晩年の人らしいメール。
だが、かえって瑞々しい。
晩年の人は音楽や演劇、絵画に改めて瑞々しい目で触れられるのかもしれないな、とぼんやり思った。
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