ドバイ 英語でのコミュニケーションのコツ。社長の圧倒的なスキルと駆け出しの頃の意識に脱帽

1)UBS証券とのミーティング

プレゼンテーション会場の外では立食形式のビュッフェでランチが食べられる。その場所でも「very nice presentation」と人が集まってくる。一気に人気者だ。

本人もモグモグ食べながら、嬉しそうな顔でその人たちに応えている。

社長は本当に良く話す。話かけられたのに、社長がほとんど話している。話が面白いこともあり、周囲もフムフムと聞いている。日本人でも外国人でも、コミュニケーション能力は変わらない。

ランチ後は、UBS証券とのミーティングだ。会場からバギーに乗り込み、ホテルのレストランに到着すると、2mくらいあろうか、巨体で高級スーツを着込んだ人が手を振っている。彼らの席まで移動し、着席し、ミーティング開始だ。

彼に勧められたトルココーヒーを飲みながら、今後の戦略なり、世界の化学メーカーの動きなり、一般的な情報交換から、業界の細かいことまで30分程度、意見交換だ。

社長は本当に良く話す。英語を完全に理解していないためか、回答におかしいところもあるがガンガン話す。UBSの人もそれに巻き込まれるように、話を合わせている。終始社長のペースで話が進んでいく。

社長の話法はいつもそうである。

これは、彼が編み出した一種のコミュニケーションの手法なのだと思う。相手が持ち出したトピックを、自分なりに解釈してガンガン話していくそこには相手が望んでいる回答を投げ返すという考えはなく、とにかく自分の考えを発する。そうすることで、終始自分のペースでコミュニケーションを進ますことが出来る。この手法を良く使っている。

プライベートのコミュニケーションであれば、厄介であるが、ビジネス上のコミュニケーションは利害が発生するので、自分の思惑通りに事を運ばすのが重要である。その意味で、この社長のコミュニケーションの方法は有効なのだろう。

社長としては「何かしら言わなければならない」という状況に立たさる機会が多く、習慣としてそうせざるを得ないのだろうとも思う。

何も言わないより、多少適切でなくても明確に言う、というスタンスは社長業にとっては必須なのであろう。さらにバチバチ言い合う外国人とのミーティングでは特に必要になってくるスキルと言えるだろう。

2)勉強熱心であること

そんなUBS証券との面会を終え、またバギーに乗り込み本会場へ移動する。

会場ではマクロ経済のセッションが行われている。内容としては直接、当社に関係が無いものなので、「もう帰ろうぜ。おい」と言われると期待したが、そのセッションにも参加したいと言いだした。

七田社長はたいへん勉強熱心である。どんな時でも勉強という観点がある。本人は「修行だ、訓練だ」と言っているが、本当にその通り実行している。

そのセッションも席に座るやいなや、テーブルに置いてあるレポート用紙とペンを手に取り、メモを取り出す。メモの殴り書きも非常にきれいに書く。横書きのレポート用紙に、段落をわけ、その段落ごとに要点をまとめている。

社長がメモを取っている横で、ボーとしているわけにもいかないので、ぼくも一生懸命にメモを取るが、1ページを書き終わるころには社長は2,3ページに差し掛かっている。こちらは汚い字、社長はきれいだ。メモに誤字もなく、ピャーと書いていく。

社長と接して実感するのは、読み書きソロバン能力の高さである。いわば、初等教育でいう基本的な能力が、非常に高いレベルであると思う。特別な技など無く、とにかく基礎力がずば抜けているレベルなのだ。

以前、「俺が若いころ、議事録を書きながら、通訳を行っていた。大変な思いをした、あの頃の訓練があったから、こうして能力が上がった。夜間学校にもいったし、速記術も習った」と言っていた。

若い頃から、自分を鍛えるという観点を持ちながら仕事をしていたのだろう。社長は常に、「能力じゃない自分を如何に鍛えるか、そして、その鍛える場所に自分を持っていく勇気だ」と言う。愚直に実行してきたのだろう。

3)アラブでの夕食ビュッフェ

そんなセッションが終わり晩飯だ。ディナーの会場は、ビーチに設けられている。イベント会場のような作りで、1000人ちかくは収容できる。ビュッフェ形式で、中東料理がテンコ盛りに盛られている。用意されている飲み物は、アラブのお国柄でアルコールはなく、ソフトドリンクのみである。

さっそく皿にてんこ盛りにして、がっつくと、その食事の味のほとんどはインド風。スパイスを効かせ、ややカレー風味だ。肉は、チキン、ラム中心であった。苦手な人もいるだろうが、ぼくも大丈夫だ。社長もバクバクたべていた。

「今日はカレーがないな~。。。」と寂しそうに別の食べ物を選び、2皿くらいを平らげていた。

ホテルに戻り、やっと一日が終わる、と油断していたところ、「ちょっとウィスキー飲もう、おい」とバーに行くことになった。1時間くらいだろうか。ドバイでの感想や会社経営のことなどを語っていた。満足そうであった。


中東ビジネスフォーラムのプレゼンターには、豪華なタテが贈呈される。

会場で渡されたが、重すぎて持てないため部屋に送ってもらった。そのタテが部屋のベットのうえに仰々しく包まれて置いてある。

重さは10キロはある。こんなものを渡されても困る、と思いながらやむなくホテルのビジネスセンターに持っていき、郵送を依頼する。サービスが良い5つ星ホテルだが、面倒くさそうだ。

始めは「無理」と言われたが、なんとか説得して会社へ郵送してもらうことにした。5万円かかった。秘書はこんな仕事が本当に多い。

長い一日を終えた。次はコペンハーゲンだ。

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