2時間待ちハンバーグ「さわやか」のご当地限定力。
昔、レストランって特別だったよね。いまのファミレスはなぜか味気ない。いつからそうなったのか。でも静岡には、まだそんなワクワクするような特別なファミレスが...?!
こんにちは。ハンバーグ大好き! いなつち☆稲田智 です。
最近のファミレスって、工場の流れ作業みたいなんですよね。
①セントラルキッチンで作られる。
→②店舗に搬送される。
→③バイトがあたためる。
→④家族で食べる。
いや、おいしいんですよ。なんなら「びっくりドンキー」なんかは、近所にないから自転車で蒲田の東六郷店まで行って食べてますから。
ポテサラパケットディッシュにライス大盛り、目玉焼きトッピング、追加ディッシュサラダ、コーンスープ、最後はびっくり!森のりんごスカッシュで仕上げるといういつものフルコース。
むしろ私はびっくりドンキーに生かされています。
おいしいし、安いし、サービスも悪くないし、みんな大好き!でも何か違う。味気ない感じというか。工場のラインに組み込まれている感じがするのです。なんでだろう?
今回は、静岡県内のみに展開する、ご当地限定ファミレス「さわやか」からその謎を解明していきたいと思います。
1. さわやかとは。
静岡県内のみ、32店舗で展開する1976年創業のハンバーグレストランです。
私が「さわやか」を知ったのは10年前。きっかけは、妻が静岡生まれだから。妻の実家に帰るたびに食べてました。
ハンバーグのファミレスと言えば、「びっくりドンキー」だった私にとって、その出会いは鮮烈!これはファミレスか?それともディズニーか?
10年前から人気でしたが、当時はまだ並ばずに入れていました。しかしここ数年、各メディアやSNSなどで話題となり、2時間待ちが当たり前。なんなら最近は静岡に帰っても、「魚がし鮨」に逃げていました。
しかし、さわやかを食べたい!という気持ちに勝つことはできず、ひさびさに突入することに!!さわやかは罪な奴。
行くと最初に配られる「油よけシート」にはこう書いてあります。
「さァーげんこつでげん気に行こう!!」
「さァカンパイからはじめよう!!」
「♪ジュジュ〜ッ つくりたての香りとリズムはだんらんサウンド♬♩」
「天井の高い木造りのふるさとの店で大切な家族や仲間と自然の恵みをいかしたつくりたての炭焼き料理を囲んで笑顔あふれる、元気の出るだんらんの時間をどうぞ!」
げんこつ、げん気、カンパイ、ジュジュ〜ッ、香り、リズム、ふるさとの店、仲間、自然の恵み、つくりたての炭焼き料理、笑顔、元気、だんらん
実に楽しくて元気になれそうな言葉たちです。
さわやか創業者 富田会長によると、
ワクワクするふるさとのレストラン。
さわやかは利便性や効率性を優先した「食べモノ」を売る店舗ではなく、安全・健康・元気の出るおいしさを込めた「さわやか物語」を提供してまいります。
そう、食べ「モノ」ではなく、「物語」を提供しているのが「さわやか」なのです。
さァーみんなでワクワクしよう!!
2. さわやかを特別化させる3つのポイント。
私なりに因数分解した、さわやかが他のファミレスと違う点は、3つあります。それは、①限定、②看板商品の存在、③エンタメ です。
①限定。
あえて静岡以外に出店していません。さわやかのハンバーグは中身が赤いミディアムレアで食べるのですが、そのためには肉の品質が重要です。工場で加工された肉はその日のうちに全店舗に配送され、その日のうちに全部使い切ります。
静岡県外となると工場から店舗までの距離が遠くなり、肉の品質が維持できません。だから静岡県内だけの展開なのです。
また、テイクアウトや通販含めた外販も一切していません。つくりたてのハンバーグを味わってもらいたいから、そして食べ「モノ」を売っているわけではないからです。テイクアウトや通販では「物語」を提供できないのです。
さらに、予約も一切取っていません。必ず店舗に足を運び、以下のような案内番号シートを取らなければなりません。取ったあとは店から離れても良いのですが、呼び出し時間に遅れると案内番号取り直しになるので地獄です。
私のときは、17:08に案内番号を取って、案内されたのが19:20過ぎ。2時間強待ちました。スプラッシュマウンテンか。
予約を取らない理由は不明ですが、「ほんとにさわやかで食べる気があるのか?」と消費者側の本気が試されているのだと思います(笑)。生半可な気持ちでさわやかに来るなよ、と。
②看板商品の存在。
「げんこつハンバーグ」です。さわやかに来る人はほぼこれしか頼んでないんじゃないかレベル。
一応、おにぎりハンバーグというひとまわり小さいハンバーグもありますが、妻曰く、「おにぎりはこどもが食べるもの。」だそう。
また、ソースで一悶着あります。オニオンソースとデミグラソースの2つがあるのですが、
みんなほぼオニオンソースしか頼みません。店員さんに聞いたところ、掛川インター店では、7:3でオニオンとのこと。他の店舗だと9:1のところもあるようです。
あえて不人気のデミグラを置くことにより、オニオンソース×げんこつハンバーグを引き立てる、それによって主役は一人だよ、と言っているのです。
看板は1つでいいのです。看板が1つだからこそ、みんながそれに引き寄せられていくのです。
③エンタメ。
店内に入るとまずロッジのような落ち着いた木の空間に圧倒されます。
屋根が高くて木が多用されてて、ディズニーのレストランみたいです。これだけでもうワクワクしちゃいます。
さらに、お姉さんの看板が出迎えてくれます↓
さわやかです!とカンパイを勧めてきますが、まゆ毛の一昔前感が気になってカンパイどころではありません。こんなに細くてつり上がってたかなぁ。
さらに炭焼きハンバーグを調理しているところもライブで見られます↓
否が応でもワクワクしちゃいます。
席について頼むのは、カンパイドリンクとげんこつハンバーグ、そしてそれを引き立てるオニオンソースです。
しばらく待ってると、やってきました、カンパイドリンク!カンパ〜イ!!
昔は店員さんが掛け声かけて一緒に「カンパ〜イ!」してくれたんですが、最近はしてくれないです。残念。でもカンパイを強制されるドリンクも悪くないです。楽しい!!
そしてそして、満を持して登場です。げんこつハンバーグ!!!写真じゃわかりませんが、ジュージューとスゴイ音してます。
このように油よけシートでバリアしないとえらいことになります。バーリアっ!ってやってる感じが小学生時代を思い出して楽しいです。
そして店員さんが目の前で半分に切ってくれて
ジュジューー!!と赤身部分をおさえつける!
いい!とてもいい!気持ちいい!そして楽しい!ワクワク!感情が爆発する!
最後オニオンソーース!!!ジュー!↓
ソースはかけるかどうか事前に聞かれます。肉の半分をオニオン、残り半分を塩で食べたいときなどは、ソースはかけないでと注文すればOKです。
完成!!キッチンじゃなくて、目の前で完成させるこの臨場感!生きてるって感じがします↓
中はこんな感じでミディアムレアです。柔らかくありながらも、肉肉しく粗挽きのかみごたえがあります↓
そしてやはりオニオンソースは後味の香ばしさが引き立っていて、いくらでも食べられそうな味わいです。
味も超絶おいしいですが、やはり口に運ぶまでのエンターテイメント量が圧倒的に他とは違います。
味がそこそこおいしいぐらいで人気になっているような、びっくりなんとかとか言うイエスマンに囲まれて生きてきたハンバーグとはわけが違うのです。
3. 昔レストランは特別だった。いつから平均化したのか?
私が子供のころ、「ファミレス」という言い方はなく、普通に「レストラン」でした。そして、「レストラン」はさわやかのようにアメリカンでロッジ風で、味もできたてでおいしくて、とてもワクワクしたものです。
それが1990年代ぐらいからでしょうか。「ファミレス」と言われる和洋中何でも出すような効率性と安さ重視の日本式レストランが跋扈しはじめ、レストランの特別感はなくなりました。
効率化の中に組み込まれていることを、人は敏感に感じます。おそらくそれが「工場のラインに組み込まれている感じ」だったのかもしれません。
我々がレストランに求めるものは何でしょう?
それは、さわやかが掲げているコンセプトそのものです。食べ「モノ」ではなく、楽しくてワクワクして家族や仲間と楽しく過ごせる「物語」。
工場型のパラダイムはすでに終わりはじめています。「モノ」から「コト」へ。消費が変化する今の時代だからこそ、「さわやか」はレストランのあり方を再考させてくれます。そしてそれこそがこれからのレストランを再興するヒントとなるのかもしれません。
以上、びっくりドンキーからお送りしました。
おわり。
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