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悲しい釣り

20230510

 今年も暖かくなり始め、いよいよ釣りのベストシーズンが来た。いつも行っていたスポットが良くないのではと考えた俺は、もっと近場でもっと釣れる場所がないか仕事中に探していた。Twitterで「〇〇川 釣り」などといろいろ検索してみると、あるではないか。大阪中之島のど真ん中、土佐堀川や堂島川で、うなぎやハゼ、チヌ、キビレを釣っているおっさんを目撃したという内容のツイートがたくさんヒットした。よし、今日は淀川ではなく中之島の方へ行ってみよう。
 そう決めた俺は、残業から帰って服を着替え、装備を整えて家のそばのレンタルバイクを使って目星をつけていたスポットへ向かった。街灯に照らされ程よく明るく、橋の下のため人目も少ないし、座れる場所もある。いいスポットを見つけた。ちょっとここで投げてみよう。俺はベイトタックルを準備し、釣具屋の兄ちゃんに新品のラインを巻いてもらいたてのリールで何度か投げてみた。するとなぜだろうか。初めての類のライントラブルが発生した。ラインがスプールの端から内部に巻き込まれ、糸を引っ張っても動かなくなってしまった。新しいスポットでハヤる気持ちを抑えながら、youtubeで対処法を調べ、初めてリールの解体に試みる。試行錯誤してスプールを取り出すと、なるほどこれはひどい。スプールの芯に何周もラインが巻きつき絡まっていた。あのうんこ釣具屋適当な仕事しやがって。ひとりキレかけながらもプライヤーでちまちま糸を切り続け、やっとこさリールの修復が完了した。ここまででかなりのタイムロスをしてしまい、すでに時刻は0時を回っていた。こんなことをしに俺はレンタルバイクを借りてきたんじゃねえんだぞ‼︎ストレスと怒り、そして自分でリールを解体して修理できた少しの喜びから、直して速攻の一投目を、思い切りフルキャストしてしまった。
バッツォンッッ
何が起きた?
我に帰り、ふと手元を見るとラインがぐちゃぐちゃにバックラッシュしている。だがまだ直せる程度だ。丁寧にバックラッシュを元に戻し、投げたルアーを巻き戻す。巻き始めた瞬間気づいた。ルアー切れとる…
 チャリをレンタルして新しいスポットへ向かい、ほんの数投でライントラブル発生。数十分かけて修復し、一投目でルアーロスト。今日はもう帰ろう。春と夏の境目、涼しくも生暖かい風を顔肌に受けながら、釣りとはこんなに難しいものなのか?そんなことを考えながら帰る。苦くもエモい釣行だった。

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