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INDEPENDENTS 参加店① 加藤酒店

加藤酒店(かとうさけてん)オーナー・店主 加藤貴大

イラスト by sundayseaside

プロフィール

加藤貴大 かとうたかひろ・弘前市生まれ。3年前に東京からUターン。
日本酒の美味しさに魅了されて以降、全国の蔵元、酒販店等との交流を深める。「地元を元気に!」のスローガンの下、酒類販売の傍らお酒の楽しさを伝えるべく奮闘中。


イラスト by sundayseaside

「おいしい酒が当たり前になりつつある今
酒屋にできることがまだまだあると思うんです」

昭和中期、弘前城下の寺町・禅林街入口の小さなタバコ屋から始まった商店は、1965年からは酒屋となった。

幼少期の加藤さんはよく手伝いをする子供だったし、酒屋の営みを見て育った彼の小学校時代の文集には、「商売ってめんどくさいなあ」と書かれている。それを知っていた母が「店を継いでほしい」なんて口に出すことは一度もなかった。

photo by オオシマアンリ

高校卒業後から上京、銀行に就職した彼の転機となったのは、両親の他界だった。

「私が38歳のときに父が、48歳のときに母が亡くなりました。いつかは地元に帰るという意志はあったものの、家業を継ぐとはっきり決めていたわけではありませんでしたが、それを機に店への思いが強くなっていきました。」

それはちょうど、日本酒のおいしさに気づき始めた頃だった。
その頃から配属されたのが出張の多い部署だったこともあり、酒蔵イベントへの参加や蔵元訪問の機会も増え、『加藤酒店』としての自作の名刺も持参した。


そこで得た知識や経験は、母亡き後も店を守っている妹と、その右腕となっている従業員との、毎週末のビデオ通話会議によって伝えられ、加藤酒店は着々と進化していく。

タウン誌に『弘前一ノスタルジーを感じる酒屋』として掲載された旧店舗は、数年前に改修し店構えは新しくなったものの手狭であり、61歳で加藤さんがUターンした1年後、ご縁あって斜向いの土地を取得、移転。


それまで日の目をみなかったバックヤードの酒たちも店頭に並び、角打ちスペースと量り売りサーバーも設置、酒器の販売コーナーもある。

仕入れた酒をそのまま販売するのではなく、氷温熟成にもチャレンジしているというのだから、彼の探求精神はまだまだ尽きなそう。

「あの頃、仕事帰りに毎日のように立ち寄ってカップ酒を買うお客さんが何人もいたのを覚えています。彼らはカップ酒を3本買うんですね。1本目は、喉の乾きを癒すように、その場でグッと一気に飲み干す。それで気分がよくなるのか、2本目はちょっとしたつまみでも食べながらゆっくりと飲む。飲んでいると、話がしたくなるんでしょうね。母は帳簿もやりたいし、裏の仕事もしたいのに、相手をしなければいけなくて、それを見て子供ながらに『早く帰らないかなあ』と思っていたのを覚えています(笑)。そんなお客さんの気持ちも今では理解できるんですけどね。」

そう話す加藤さんを横目に、仕事終わりの1杯を求めて角打ちコーナーへ立ち寄るサラリーマン…町の酒屋は時代を超えて、禅林街の暮らしに寄り添っている。
(文・オオシマアン / 写真・三上未夢)


加藤酒店の応募景品

加藤酒店で使える税込5,000円の商品券(40名様)

スタンプラリー参加方法は↓


加藤酒店 基本情報

日本酒やワイン、シードル、クラフトビールなど豊富な商品
日本酒の量り売りサービスも行っており
店内奥には15坪のイベントスペースも併設


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