今でも心に残っている、マオリの友人のつぶやき――ごみのポイ捨ては、母なる大地を汚すこと
20年ほど前、ニュージーランド/アオテアロアのヴィクトリア大学、マオリ学部に留学していた時のこと。
私が参加していたカパハカクラブで車で移動中、大学院生のマオリの友人が、ごみのポイ捨てを見て、こうつぶやいた。
ハッとして、次の言葉を待った。続けて、こんなことを言った。
とても悲しそうな顔をしていて、私は、うなずくことしかできなかった。
その後、考えた。なぜ、こういうことが起きているのか。結局、時々思い出しては、20年くらいたってしまったのだけど、最近、ふと、1つの結論に思い至った。それは、これだ。
植民地化される前は、大地=母、というのは当たり前のように日々の会話ややりとりで共有されていた。でも、それが、だんだんなくなっていき(←マオリのせいではない)、母なる大地のストーリーが、こぼれおちてしまったのではないか。
私たちが日々接する、いろんなお話、ストーリー、子どもの頃から聞いてきた昔ばなし。そういうものは、知らないうちに私たちの考え方、行動に影響を与えている。
きっと、今のマオリの文化では、ポイ捨ては減っていると思う。文化の再生が盛んになっているから。
そして、最近、よくこんなことを想うようになった。
今、よく見聞きするようになっている「SDGs」も、もしかしたらそんな「ストーリー」の1つになり得るのかもしれない。
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