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お母さんへ




お母さんへ


お誕生日おめでとう。
それから、いつも元気でいてくれてありがとう。
こうやって家族みんなで誕生日を祝えること、奇跡のように感じるね。


ずいぶん前から誕生日プレゼントは何にしようかとあれこれ考えていたんだけれど、手紙は絶対にあげたかった。あなたが一番喜ぶのはこれしかないと思って。
あと、お気に入りのフィルムカメラで撮った私と双子の相棒の写真も同封することにした。これもきっと笑って喜んでくれるはず。
ついでに、最近私たちがハマっているマカロンも。「コンビニで買っても高級なのを買っても、マカロンの味の違いがわからない…」と言うお父さんに食べさせるのは勿体無いくらい美味しいのを買ったよ。あなたのことだから、「一緒に食べようよ」って言って結局2人で食べることになるんだろうな。



家族みんな仕事や作業のある日だったけど、仕事終わりにスーパーで好きなお惣菜とお酒を買ってパーティーをするっていう最高のお祝いができてよかった。お肉と芋が大好きな家族だから、ほとんどそんな感じのラインナップになったね。これ楽しかったからまたやろうね。



3年前、あなたが病気を患った時から今日まで、とても長かったように思う。
闘病中、私と双子の相棒は東京に住んでいた。特急列車2時間で会える距離にいたのに、コロナ禍がそれを許さなかった。
つらくて不安な時にそばにいてあげらこれないこと、たまらなく苦しかった。大学生活はとても慌ただしくて、あなたのことを考えられない日々が続いた時、罪悪感を強く感じて駅のホームで涙が止まらなくなったこともある。
けれど、周りに弱みを見せないあなたが私と双子の相棒だけには不安な気持ちを打ち明けてくれることが嬉しかった。側にいてあげることができない分、少しでも力になりたいと思ってた。

「あなた達2人が元気に毎日を送ってくれたらそれが一番のお守りだよ」って電話でいつも伝えてくれたよね。こんな大変な時にも、あなたは私たちのことを第一に考えてくれるお母さんだった。



無事に手術が終わって、今は元気でいてくれることが心から嬉しい。
あとどれぐらい一緒に生きられるだろう。
その長さは誰にも分からないし、長ければ長いほどいいなと思う。

けれど、長くても短くても、私はあなたと過ごす当たり前の毎日を抱きしめながら生きたいよ。
仕事終わりに一緒にご飯を作って、たわいもない話をしながらおいしく食べて、同じ屋根の下で眠りにつく。
たまには一緒に好きなことをして、お出かけもする。料理も教えてもらう。
そういう毎日を一緒に過ごせたらな。


就活を終えた時、東京に住みたい気持ちが強かったから少しだけもやもやを感じていた。
けれど今は、家族と一緒に暮らすという選択をしてよかったと心から思う。
またいつか離れ離れになる時がくると思うけれど、離れていても心はそばにいるし、それはあなたが空に行っても変わらないということ、伝えておかなきゃ。


また来年も、こうやって誕生日を祝おうね。





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