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ケミカルから天然素材へ<断捨離 3>

断捨離の注意事項として よく挙げられる
他者の領域に口を出さないこと 相手を尊重すること
そうよねと 納得して始めたはずだったが
これは要らないんじゃないかな これ使ってないねと
自分の片付けも終わらない内から 他者にまで声を掛け始める自分
誰もがやりがちなことなのだと実感しつつ 思い切り踏んでしまった轍

断捨離して後悔したものはないが 最近思い出した一着
冬の終わりに感謝を込めて洗い手放した 白い毛糸の厚手のカーディガン
学生時代に買った福袋 寒く遠い場所からやって来た上質なもの
編み目には遠く漁に出る 愛する人への想いが込められたニット
大きすぎるサイズに馴染みのない色味 ポケットもいらなくて
抽斗に仕舞ったままだった 昨々冬に引っ張り出し室内着にしてみると
天然素材のあたたかさにはっとして しかし肉厚で重く手洗いは大変
金属性のジッパーは たまに首元に当たり冷たく
二十年以上前に買い 十年以上着たユニクロのフリース
薄く軽く抜群の温かさ 気軽な洗濯と早い乾き
マイクロプラが着ても洗っても出るため もう選ばないけれど
扱いやすさと暖かさが 購入基準の上位に来るであろうことは理解出来る

去年あらゆることに焦り 本当に好きなものはなんだろうと洗い出し
変わりたい変わらなければと 方向性に惑っていた
抽象に生きグレーを好んできた自分が 途端に0か100か
白か黒かと一足飛びに求めたのは 抗い難いDNAの罠か

今まで使ってきて よさを実感していた高強度ナイロン
中身が見えて取り出しやすい メッシュパックにジップロック
薄く軽く 雨を弾くものたち 軽さは正義だけれど
みえないもの形のないものは解らなくて 法や証明に固執した
なかなか浮かび上がらない美しさを 長く志向してきたにも関わらず

一般的な生理用ケミカルナプキンの 飛び抜けた白さと肌当たりが苦手で
ずれや漏れを気にしていた 憂鬱な期間
社会人になってから 図書館で出会った布ナプキンの本に触発され
身体の大事な箇所に 天然のものを当てる心地よさ
毎月発生する生理用品ゴミとの訣別は 大革命

苦手な素材は 触り心地にもやもやが残るシリコン
調理用品にも多く使われているが 熱で溶け出すイメージは拭えない
身体に異物はなるだけ入れたくなく 月経カップは選択肢に上らない
経血は体外でも受け止められ 布ナプキンは使い始めから心地よい
性器の形やサイズに関係なくフィットする カップ使用には都度洗える
個室が必要で 人目に触れず手洗いまで済ませるのは衛生上難易度も高い
ウエットティッシュやゴム手袋などの プラスチック製品も使いたくはない
見た目に影響せず 激しい運動でも漏れない点には驚く

使っているのはリネン オーガニックコットン シルク ウール
ステンレス 琺瑯 ガラス 木 葛繊維 陶器
耐久性に富み 万一廃棄した場合も環境負荷が小さく済み自然に還るもの
伸縮性に富む衣類があたりまえの今 天然素材100%の服はレアな存在
ウールのカーディガンは プラスチックジッパー全盛の時代にあって
金属ジッパーだったなと カーディガンの製造現場に興味が湧いた

暑い国や熱帯雨林にいると 突然の雨は避けがたい
汗をかき蒸れるとかゆみは強まり ウールは汗を逃がし体温を保持したまま
快適さを保ってくれる 撥水加工の代用も見つけ
今使っているハイテク素材は しっかり使い果たす
心地良い状態は作れる 地球と自分によい選択の試行錯誤は続く
長い歴史を顧みて 自然に無理のない使い方を模索したい

*『布ナプキン  こころ、からだ、軽くなる』
 (ユーゴ・’12・タバブックス)可愛い柄がたくさんの布ナプブランドtouta.さんの本。布を当ててみようという気持ちを後押ししてくれる。

断捨離4
断捨離2

Erat, est, fuit あった、ある、あるであろう....🌛