創造的破壊と捉える強さ

今年の夏は蒸し暑いね.. を毎年繰り返しているような昨今、天災も毎年のように日本のみならず世界の各所を煩わせている。そんな時代の昨年のお話。

夏の期間、関東地方にある海岸の海の家で働いている友人がいる。夏を除く期間は海外を旅していて地球丸ごとに自分のリズムを作っているようでとてもタフな人間である。その彼は、海の家を表現の場としても捉えており、自分の"思い出"の品でもあるレコードや画や雑貨、ターンテーブルに加えて更にはスピーカーも置いてあり、それはとても居心地の良い場所をその海岸で演出していた。

まだ夏も初めの頃、その海岸の海辺に台風の高波や高潮が襲いかかった(友人曰く7m)。それは高架橋の下に並ぶ幾つもの海の家々を壊滅状態へと追い込んだ。映像を介して直後の場を見たがそこはもう瓦礫の山だった。

モニター越しであったが、正直、言葉を失う程の光景だった。誰も亡くならなかったのが何よりも救いだと思う。

彼は、数日もぬけの殻であったそうだが、翌日から流木を拾い始めたんだと言っていた。それは全く新しいものを作る機会を得たと..。多くの人の助けも借りてスピーカーの音も格段と良くなったと..。

被害の幾十日後、実際にまたその海岸を訪れたけれども、海は何事も無かったかのような毎度気持ち良さそうな波を打ち、陸はモノが削ぎ落とされた廃墟のような海の家々と花のようなデカいドリームキャッチャーがそこには飾られていた。

諸行無常。断捨離ならぬ強制的破壊的創造。時を超える森羅万象の流転の真理。

"物への執着心から離れる"ことで、発想が広がる。自分も旅好きとしてミニマルの美学を少しは理解しているつもりであったけれど、果たして自分の思いが詰め込まれている品々をこれから自分には手離そうと思う機会はあるのだろうか..。 苦難を乗り越えるハイパーポジティブな切り替え力とその新たに造られたミニマリッシュな海の家に.. 畏敬の念を!!

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