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「no one knows」全曲解説

さて、inemuri-gusuriの1st EP「no one knows」が配信リリースされて一週間ほど経過しました。

MVも公開してますので、こちらもぜひ観ていただけると幸いです。

今回はこのEPに収録されている楽曲の解説をここで話せたらと思います。

誰も知らない

実はこのEPに収録されている楽曲は、もう10年ほど前に作成したもので、寝かしに寝かしていたものですが、こちらの曲についてはボーカル(コーラス含む)とリズムトラックを一部重ねて録りなおしてます。
実はバンド「海の上のプールサイド」でもライブでやってたり、別のユニットでもライブで演奏したりと、わりとフラットで演奏しやすい曲でもありますが、もともとバンドを想定して作っていないので、バンドとしてレコーディングすることを渋っていたものでもあります。

きっかけは、たわむれに三途の川のことを調べていたときに、女に人は死後はじめて結ばれた人とともにわたる、というのが俗信として昔の日本にあったらしくて、「水牛に乗って」というフレーズも、イメージとして浅い海を水牛で渡る沖縄あたりの写真を見て、三途の川の幻想的なイメージとマッチし「なんかいいなあ」と思ったからです。
言葉や文章でうまく伝えられないかと思いますが・・・この「なんかいいなあ」というぼやっとした感情が、曲作りの原点だったりします。

点滅

仕事明けに電車やらバスに乗って帰宅することが多いのですが、そのときに車窓から見える風景が、光だけが移動して自分だけがなんだか宙に浮いているような、そんな錯覚を覚えることがあります。
そんな中、街の家々の灯りを見つめていると、そこにはひとつずつ小さな社会が存在して、その中での暮らしを想像してみたところから本曲の着想を得たのですが、その小さな光の中では幸せな家庭があったり、あるいは一人暮らしで倹しい生活であったり、互いに干渉しない家族の風景であったり、夜の孤独を楽しむ灯りであったり、いろんなことを思いながら、さて自分の家の灯りはどのように映っているんだろうと、ふと考えながら歌詞を考えました。
音的にはギターは使わないでおこうと思って、一旦MIDIで弾いたシンセの音をぶつ切りにしてサンプラーにかけて並べたものにリズムを打ち込んで、最後に調整する感じでベースを重ねた感じです。
それまで、だいたいギターの弾き語りから曲ができていくパターンが多かったのですが、全く別の角度から作曲ができたのがうれしかったですね。
MVも自分で作ったのですが、こちらはただ単純に自分が飲み屋にいくまでの道程を追っているだけです。
なのでいくぶんうきうきしてます。

君の骨

実を言うと、この曲が本EPのなかで一番好きな曲です。
なんというか、自分がはじめてピアノで作った曲だからですかね。
ギターのときもそうでしたが、はじめは教則本を買ってコードとかを覚えるのですが、次第に飽きてきて自分勝手に押さえてみたりすると面白いだろうなということで、そのコードがなんなのかしらずに曲がそのままできていく
といったことがあります。
「海の上のプールサイド」の楽曲もそうですが、レコーディングするときになってようやくルート音から、これはCメジャーだとかBマイナーだとかがわかる感じです。(はずかしい)

この曲も自分は果たしてなんのコードを弾いているのかさっぱりわかりませんが、フレーズとして何回も弾いているうちに「これは曲にできるな」と思いRecボタンを押した次第です。
拍子もちょっと変拍子なのですが、まあ「あんたがたどこさ」みたいな感じでしょうか。

架空の街

これも「点滅」と同じくギターは入れてなく、またベースもシンセベースなので、すべてMIDI上で完結している曲です。
曲先(曲からできた)で、歌詞はあとから作ったのですが、世界観としては私が敬愛する漫画家のひとり、諸星大次郎先生の影響がもろに出てます。
「君の骨」とかも歌詞としては影響を受けているのですが、この2曲はどこかノスタルジー感がありつつも、得体の知れない日常に恐怖を感じるような、そんな出来になっているかと思います。
すでにどこにも存在しない街なんだけど、確かに住んでいたような気がするし、どこかで見かけたようだけど、ありえない標識だとか。
ちょっとディストピア味もありますね。

以上、全曲解説でした。
これを読んでまた違った感想をもっていただければ嬉しいことこの上ないです。

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