〒山の向こう、ネットの海の先
通勤途中、歩きながらふと見上げると山側に虹が出ていた。見た瞬間、その人のための虹だと思った。その人の誕生日の朝に、私に撮られてアップロードされるための虹。自分が手掛けたわけでもない自然現象を携帯電話で撮影しただけで、私はプレゼントを買ってきれいにラッピングを終えた気分になっていた。
私たちはお互いのハンドルネームぐらいしか知らない。メールアドレスさえ、まだ使えるのかどうかわからない。去年のはじめから停まったままの、その人のSNSをときどき見に行く。作品がアップされている