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文藝春秋とnoteで開催した、「#未来のためにできること」投稿コンテストの審査結果を発表します!

2023年7月25日から約2ヶ月にわたって開催した、よりよい未来のためにやりたいと考えていることや実際に行動していることについて語る「#未来のためにできること」投稿コンテスト。期間中(7/25-9/20)には、9,740件もの作品をご応募いただきました!読み手にも考えるきっかけや気づきをあたえるすばらしい作品を投稿いただき、ありがとうございます。

noteでの応募作品一覧は、こちらをご覧ください。

審査会にて、審査員である為末大さん・角田光代さん・新谷学さんの3名と、文藝春秋 note担当による選考の結果、下記のとおり受賞者が決定いたしました。

なお受賞作品は、雑誌『文藝春秋』2024年1月号(12月8日発売)・文春オンライン文藝春秋 電子版に全文掲載されています。


グランプリ

僕らはひたすら草を土に置く #未来のためにできること

障害のある方などと一緒に、農業分野で活躍して社会参画を実現していく取組「農福連携」。その一環で作者・KODOさんが、「草マルチ敷き」という自然農法をしたさいにつづった作品がグランプリに選ばれました。

審査員からも「草マルチ敷きを知らなかったので、大変勉強になった。また障害のある方と一緒に取り組んでいて、考えさせられることが多かった(角田さん)」、「まさにダイバーシティ(多様性)だと感じた(新谷さん)」「文章と写真が交互に登場するので、とてもリアリティがあった。読者に近い視点で淡々と描写していた点がすばらしい(為末大さん)」と評価され、草マルチ敷きという題材の魅力や、写真を使ってリアリティをうまく表現していた点などが評価のポイントとなりました。

この度は身に余る受賞に恐縮しております。記事を読み、選考してくださった方々をはじめ、日頃お世話になっている農福連携関係者の皆さまにも心より感謝を申しあげたい次第です。ありがとうございました。平凡な日々の暮らしの中にこそ、未来のためにできることが散りばめられているのではと感じています。この記事をきっかけに様々な方が持続可能な草マルチ敷きをしてくださるようになったら、これ以上嬉しいことはございません。

KODOさん

優秀賞

繕うこと繋ぐこと、祈りを踊ること。

ドレスのお直しの仕事をしているタケチヒロミさんは、日本各地に伝わる「繕い」の技術を知りたくて、秋田で西馬音内盆踊りの「端縫い衣装」をみました。この盆踊りは亡者を弔うもので、訪れた日が原爆の日だったことから、平和への祈りをこめて踊る地元の方々に感動します。繕うことは未来へ繋ぐことであり、自分の行動に意味があると再認識させてくれる作品です。

「繕うこともまた弔いであり、未来へ繋ぐことだと思う」という一文が極めてよく、心に響きました。まさにSDGsの本質を伝えてくれた作品だと思います。

新谷学さん


地球儀をまわす

「カーボベルデって、どこにある?」ふとした疑問から、ゆっくりと地球儀を右回転させたミーミーさんのお子さん。沖縄で開催されたバスケットボールの世界大会で、「カーボベルデ」は日本の対戦国でした。地球儀をまわすことで世界がつながっていると改めて気づかされたというミーミーさんに、できることから始めようと勇気をもらえる作品です。

自分の人生を振り返ると「まさにこんな感じだったなぁ」と思い出させてくれるような内容でした。私も世界はどうなっているんだろうと思いながら、その答えを探しにいろんな場所に行きました。実体験に基づいて書かれていて、共感性の高い作品だと思います。

為末大さん


つなぐ食卓

昨秋、4歳の姪と3歳の甥と一緒に祖母の畑でさつまいも掘りをし、スイートポテトをつくったイケダマホさん。この経験を通じて、季節ごとの食材の変化や食材への信頼、伝統、農作業の大切さを感じます。食卓を通じて人と人とがつながることを再認識し、未来のためにできることを考えた作品に共感が寄せられました。

SDGsというテーマは、どうしても説教臭くなりがちですが、この作品は上手にチューニングして書かれていると感じました。

為末大さん


親子で自然から学ぶ-失敗だらけの山開拓

平日は都市に住み、休日は自分たちの土地がある山へ通うくろもちさん一家。自然と触れ合い、自分たちの無力さを実感しながら、自分の手でできることを増やしていきます。特に学びが多いという養蜂に挑戦し、ミツバチが来る環境を整えることで、生態系全体への興味が広がったそう。自分が地球の一部であるという感覚を思い出させてくれる作品です。

子どもたちに地球の大切さを伝えるといった大義名分ではなく、自分たちも地球の一部であるという認識を深めてもらうのはいいですね。たとえ小さいことでも、それを体で実感できるようになるのは、非常に大切なことだと思いました。

角田光代さん


未来にゆっくり伝える味噌

毎年8月、家族で佐渡島へ行き、父方の祖父と伯父夫婦と過ごすことが楽しみだったというわたなべますみさん。特に伯母が仕込んでいた味噌でつくる味噌汁が忘れられず、自分も毎年味噌を仕込むようになったといいます。伯母が教えてくれたように、自分も次世代にお味噌仕込みを伝えていきたいと語られた作品です。

エッセイから味噌汁を食べてみたいと思わせるようなリアリティーを感じました。長い時間をかけてゆっくり次世代に伝えていくことの大切さを教えてくれた作品です。

新谷学さん

各審査員からの総評

為末大さん

SDGsというテーマは、学校の先生が出した宿題に解答するような雰囲気になりがちですが、「そうではない作品が残った」というのが今回のイメージです。競技で例えるなら、しっかりフォームを守る作品と、自由演技をするような作品でしょうか。力みすぎると、持続可能ではなくなるので、もっとみなさんには自由に表現してもらえればと思いましたね。私は論文的に文章を書くことが多いので、こうしたエッセイに触れるのは楽しかったです。

■角田光代さん

集まった作品に対する感想としては、SDGsイコール「善行」なのかな?という疑問です。感動的ないい話が多かったからだと思います。善行と考えてしまうと、がんばらなきゃ、と気張ってしまうけれど、もっと日常的にできるささやかなこととしてとらえたら、自然と長続きするのではないかと考えました。そのような日常に即した作品を、今回は選ばせていただきました。

■新谷学さん

今回はSDGsに対して作者なりのアクションがある作品を中心に選びました。つまり理念よりもアクションです。去年も同様のテーマでコンテストを開催したからか、趣旨を理解して応募してくださった方が多かった印象です。共感を呼ぶような作品が多く、改めてとてもいい企画だと感じました。それぞれがSDGsへのアクションを続けていくことで、何かまた新たなムーブメントが生まれることを期待しています。

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投稿期間は終了しましたが、未来のためにあなたができることについて、あらためて考えるきっかけになれればと思います。

ほかの投稿作品についても、以下URLよりぜひご覧ください。

コンテストを振り返って

以下、文藝春秋 note担当からのコメントです。

昨今、SDGsという言葉が独り歩きしているように感じていました。認知こそ広がっているものの、「17のゴールについて具体的には知らない」「実際に何をすればよいのかはわからない」といった人が多いのではないでしょうか。

そういった意味で、「#未来のためにできること」というテーマはSDGsの本質を突くとともに、その存在を私たちの手元にグッと引き寄せてくれるものだと思います。様々な作品を読み進めるなかで、「これもSDGsなのか!」と、私自身も勉強させてもらいました。

このコンテストが何かを考えるきっかけや、ちょっとしたアクションを起こす後押しになってくれたら嬉しいです。

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