僕の愛するロッカー達2

その夜、僕はL.A.で偉大なる魔術を観た─ストーンズL.A.公演’81

”今回のツアーがローリング・ストーンズの最後のツアーになる!”そんな噂が耳に飛び込んできたとき、”そんな話は毎度のことさ・・・・・・”とシカトを決め込むことは僕には出来なかった。チャーリー・ワッツがやめる、ビル・ワイマンが引退する・・・・・・それよりも何よりも僕は未だにローリング・ストーンズのステージを体験していなかった・・・・・・と言うことの重大さが、いまになって突然むくむくと抑えることができないほど大きくなった。なぜならばローリング・ストーンズこそが僕にとっての最初で最後のロックン・ロール・ヒーローに違いないからだ。
15歳の頃初めてテレビの「ゴーゴー・フラバルー」でストーンズが「サティスファクション」を歌うのを観たときの衝撃!それからの僕の青春は完全にロックン・ロールへと傾斜して行ってしまった。高校の文化祭でバンドを組んで「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」を歌った。いつだって僕の最高の自慢は、ミック・ジャガーと同じ誕生日に生まれたことだった。
60年代、僕の青春に限りないショックを与え続けてくれたジョン・レノン、ジム・モリスン、ジャニス、ジョプリン、ジミ・ヘンドリックスのステージを遂に体験することがなかった僕にとって、ローリング・ストーンズの名をもその名簿の上に載せることだけは何としても避けねばならなかった。 僕はあらゆるアクシデントを覚悟でロサンジェルスへと飛んだ。

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