ティーン・エイジのブルースが聞こえる6

遺書を書く前に、とびきりのロックン・ロールを聞け

1984年4月6日、川崎市麻生区で1人の中3生の少女がアパートの13階から飛び降りて自らの若い命を絶った。翌日は始業式で彼女の成績は160人中10番台と勉強もできる方で、性格もさっぱりしており、クラスメイトからも“アツコ、アツコ”と好かれていたという。担任の教師も両親も彼女の自殺の原因には全く思いあたるふしがなく、前日も普段と全く変わった様子はなかったという。“死人に口なし”というが、14歳の彼女が自殺に至った原因は、おそらく当の本人にしかわからないのだろう。ひっそりと誰かに失恋をしていたのか、何か人には言えぬコンプレックスを抱いていたのか、それともフとある日、この世の中の醜さに深い絶望感を抱いたのか、あるいは生きていくということに青春特有の感傷を抱いてしまったからなのか……。

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