【スト感想05】2020.03.23 広島第一劇場(武藤つぐみさん)

浅草で、関東で主にご活躍されている武藤つぐみさんが、広島第一劇場に見えられると聞き、これはどこかの日にちで伺わねばと思い、この日となった。

初見は2019年7月中の東洋ショー劇場。
2度目は浅草ロック座新春公演。

とりわけ浅草2景での、鼠小僧演ずる武藤さんと、お奉行演ずる西園寺瞳さんのステージ上でのバトル。
鼠小僧が千両箱の小判を撒き散らしながら、ステージ上だけではなく、観客席に降りて小判を撒き散らす。

奉行所の役人に取り押さえられながらも、格好良くすり抜けていく鼠小僧。
お奉行も最後は鼠小僧との取っ組み合いに負けて、ひっくり返る始末。

最後は天井から梯子がぶら下げられ、鼠小僧が梯子を駆け上がり、梯子をグルグル回しながら四方八方に小判を巻き散らす。

格好良くもあり、痛快なシーンである。

浅草でのシーンを思い出しながら書いたのだが、
武藤さんの舞台はコミカルの中に格好良さがある。

そんな中での広島第一劇場でのステージ。

驚いたのは2回目に演じられた「まわる、おんな」

暗いステージにポツンと二つの灯り。
行燈を持ちながら、その灯りを追いかける少女。
その灯りは…蛍か?

灯りを追いかけながら、盆の中央に差し掛かる少女。

行燈を置き、盆の上に立った少女は、ぐるぐると回り始める。

両手を肩に抱き…ひたすら回る…

その光景に、場内の観客は、
「何が起きたのか?」
と、ただただ静寂のステージに集中する。

少量のBGMと、少女がまわる足音のみが響き渡る
そのステージに…少女は舞う。

時間が経つにつれて、回るスピードも幾分上がった感じにもみえる。

まわりながら、羽織っている白い衣装を徐々に脱いでいく。
静寂の中、衣装を脱ぎながらも、ひたすら彼女は回る、そして舞う。

15分ほど経ったか…

「バタン」

盆の上に彼女が横たわる。

「ありがとうございました」

彼女はステージから去っていく。

私を含む場内の観客は、最後の拍手をするのも忘れて、ただ呆然としたままだった。

どこがベッドで、どこがいちばんの盛り上がりのシーンなのか…
いつのまにかステージは終わりを迎えていた。

ただ言えることは、十数分のステージ時間、
彼女はひたすら回り続けた。
彼女の体幹の凄さが表れたステージ。
彼女にとっては、してやったりのステージだろう。

ロビィで、ベテランの観客と話す。
彼女の体感の凄さ、観客を静かにステージに集中させた事には、ただ唸るばかりだ。

観客の手拍子も掛け声もない。
彼女がメインの、真のステージそのもの。

前衛舞踏を取り入れた、新たなるステージか?
彼女の体幹がなければ出来ないステージとも言うべきか?
エンターテイナーな彼女らしい演目と言うべきか?

いろいろなストリップ の舞台を見たが、
全く初めての様式のストリップ ショーであり、私の中のストリップ の概念を大きく覆されるくらいの、素晴らしいステージ。

この演目は小倉のストリップ フアンの方にも是非見ていただきたい、そんな素晴らしい演目です。

『まわる、おんな ~Turn of Woman~』【Japanese Dance Film】 https://youtu.be/DfRt5Dt5ncQ @YouTubeより