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クロ -擬人化存在反逆譚-

戦車が前方に落下してくるのが見えた。落下しつつ不可思議な変形を行なったそれは、豊かな乳房と重厚な装甲を備えた10m近い巨人になり、私のバイクの進路を阻んだ。

魔神と闘えるのは擬人化された存在のみ。
戦い抜いた自分でもおかしな話だと思うが、実際そうだったのだ。とにかく私達は力を合わせて人の世を魔神から救った。そして脅威が去った世界は私達を恐れた。仲間達は皆元に戻されてしまった。自我のない戦闘人形。世界が欲しがるのはただの兵器だ。私のような自我を持つ擬人化存在は世界の敵なのだ。

嫌だ。
私の「クロ」という自我は私だけのものだ。
だから、私は抗えるだけ抗ってやる。
アクセルは緩めず左手を掲げる。
武装展開。頼んだよ、XM500。

額を12.7mm弾で撃ち抜かれた戦車娘は血と脳漿を撒き散らしてその場に崩れ落ちる。戦車娘だったものを避けながら、私はメイド服をはためかせ、更に速度を上げた。包囲網突破まで止まるものか。

【続く】

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