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20230328

週末夜、突然の訃報だった。

坂本龍一がこの世を去ったのだ。

もう何人もの人が坂本龍一さんの訃報に言葉を寄せている。それだけ影響力のあった人だ。僕も拙い言葉ではあるが、彼への想いを書かずには居られない。

もし仮に読んでくれる方がいなくても、それはそれでいい。これは自分自身の整理のためでもあるから。

坂本龍一、という名前はなんとなくは知っていた。
音楽家、ピアニスト(当人はそうも思ったことはないらしい)、活動家、印象的な眼鏡、白髪混じりのカッコいい人...。坂本龍一を現す言葉は限りなく思い付く。

僕がその偉大さを知り、尊敬の念を抱いたのは2年ほど前だった。レコードを聴き始めた頃、会社の人から「うちにはテーブル無いし、売って処分するつもりだったからいるならあげるよ」という話で何枚か貰った。

当時は根っからのThe Beatles好きで、近所に住むおじさん上司はそれなら趣味が合うかも、とCreedence Clearwater Revivalのレコードとそのほかに何枚か譲ってもらった。その中に名盤、YMOのSOLID STATE SURVIVORがあったのだ。

ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー

初めからTECHNOPOLISを聴いたはずだから、それが僕と坂本龍一の出会いということになる。それからYMOや日本の80年台あたりのレコードも買うようになった。

丁度、去年の春。あの時も桜が咲いていたことを覚えている。サントリーホールで坂本龍一さん主催の東北ユースオーケストラのコンサートに行った。

坂本龍一さんの登壇は事前に予定されていたが、体調のこともあって当日までわからなかった。
そして、コンサート当日、ステージ袖から坂本龍一さんが出てきた時の拍手を聞いて、僕も感動をしてしまったことを覚えている。静かにピアノを弾いている姿は今でも鮮明に思い出すことができます。

もうここから先のことは皆さんと同じ目線で見てきたつもりだ。配信ライブを見て、最新アルバム『12』を聞いた。ラジオの特番も欠かさずチェックしてきたつもりだ。

自分自身の中で存在の大きな人物の死は、やはり考えてしまう。そういうことはこれから先の人生、必ず何度も訪れる。憧れの著名人、音楽家、芸術家、それからもっと身近な人。

訃報から一夜明けて、やっと現実として受け入れ始めることができた。仕事をして、ラジオから坂本龍一の曲が流れてくると、聴き入ってしまう。

帰りの電車で聞いた『Aqua』が今日はいつも以上に美しく聞こえた。

人はいつ死ぬかわからない。
それは僕の大切な人も、それから僕も。いつかは死ぬのだ。
だからそこ大切に生きなければならない。

伊藤計劃氏に倣い、僕は故人を見送るときは「ありがとうございました」と言おうと決めている。素晴らしい音楽と物語はこれからも残り人々の記憶に残る。もちろん、僕の人生の一部になっている。

坂本龍一さん、ありがとうございました。

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