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ピアノマンのおじいさんは、天才です。の話。

ピアノマンのおじいさんは天才ですね。
何が天才ってね、いいですか、左手でコードを弾きながら、右手でメロディを弾きながら、足でペダルを踏みながら、ミック・ジャガーのように踊りながら、昔ヒットした曲を74歳になった今でも地声で高音で歌いながら、キレイにコーラスでハモりながら、華麗なマイクパフォーマンスを披露しながら......
いいですか、これを全部一公演でやりながら、Piano Manのイントロのハーモニカを吹けるんです!!

そんなわけで記念すべき2024年1月24日、偉大なるアーティスト、ビリー・ジョエルが一夜限りの来日公演を行った。

去年の秋口、朝、いつものように出社をして始業の準備をしているときにビリー・ジョエルの名曲のひとつである、Tell Her About Itが聞こえてきた。
ラジオから朝の雰囲気に合わない曲が流れてきた時は、ミュージシャンの訃報だったりすることがある。 (しかし、まあその時はPiano Manでしょと思っていた。)
ニュース記事を見るとビリー・ジョエル16年ぶりの来日公演が決定していた。

彼自身のホームといえるマディソン・スクエア・ガーデンでの公演に取り組み、世界ツアーもしていなかったから当然のように来日はもうしないのだと思っていた。

僕とビリー・ジョエルの出会い(と、いうと大げさにも聞こえるが)は僕が一人暮らしを始めたときまで遡る、細かい話をすると途中で記事を閉じてしまう方もいるかも知れないので簡潔にまとめる。
通い始めたBarで見たビリー・ジョエルのコンサートにポール・マッカートニーがゲストで出ていた。ポールがピアノを弾きながらLet It Beを歌っていたのだが、そのときにピアノの"上に"に座っていたのがビリー・ジョエルだった。 (つまらない余談だが、その時Let It Beはビリー・ジョエルの曲だと思っていた)

それから僕は音楽と言うものに興味が出てきて、今ではレコードにも手を出す始末。そういえばレコードを買い始めた頃、ディスクユニオンで大ヒットLPストレンジャーを手に入れた。ルーツミュージックというと大げさだが、その一つであることは間違いない。

チケットを手に入れてからなんとなくフワフワとした、地に足が着かない感じで過ごしてきた。実感が湧かなかった。本当に来るんだよね、と。

ついにコンサートが来週に迫ったとき、突然仕事が忙しくなった。
仕事は大抵17時半には終わる。しかし、その週は残業の予測が難しく、もしかすると当日も残業になってしまい、コンサートの開始に間に合わな可能性さえ合った。そのせいで、コンサート3日前くらいか味わせるあの感覚を楽しむ余裕は一切なく、淡々と仕事を潰していった。

その甲斐もあって(上司と先輩の多大なるご協力を経て)、開演を1時間前には東京ドームに到着することができた。この場を借りてお詫びとお礼を申し上げます。当人たちは見てないけども。

セットリストは下記の通り、ヒット曲の次にまたヒット曲、往年の名曲から日本で人気のHonestyAn Innocent Man を歌う彼はまるで時間を巻き戻したかのような美声をドームに響かせた。サポートのメンバーの実力も超一流のミュージシャンばかりであった。管楽器だけでも聞き惚れるレベルだ。コーラスのハモリが素晴らしいThe Longest TimeNessun dorma を歌ったMike DelGuidiceの圧巻の歌声がScenes From an Italian Restaurant へと繋がるとても美しいムードを演出した。
本編の最後はやはりビリー・ジョエルの代名詞、Piano Man、あっという間の2時間だった。
大盛りあがりのアンコールもたっぷり5曲。なにかのCMできいたUptown Girl、本当の最後はYou May Be Rightで迎えた。

My Life
Movin’ Out (Anthony’s Song)
The Entertainer
Honesty
Zanzibar
Start Me Up
An Innocent Man
The Longest Time
Don’t Ask Me Why
Vienna
Keeping The Faith
Allentown
New York State of Mind
The Stranger
Say Goodbye to Hollywood
Sometimes a Fantasy
Only the Good Die Young
The River of Dreams
Nessun dorma
Scenes From an Italian Restaurant
Piano Man

We Didn’t Start the Fire
Uptown Girl
It’s Still Rock and Roll to Me
Big Shot
You May Be Right

NME JAPAN
https://nme-jp.com/news/138531/

これからの人生を過ごす上での大きな財産を手にしたような感覚がある。奇跡とも言えるビリー・ジョエル、一夜限りの来日公演を見てそんなことを考えてみる。
あんなに素晴らしいコンサートに参加できたのは後にも先にも、この一夜だけ。人生のエンドロールが流れた時にそう思い返す気がする。そのくらい良かった。
また来てほしいとは思うものの、それこそ奇跡を願うようなものだ。一度叶ったのに、また願ってしまう。人間は本当に欲が深いのだと痛感をする。

Mike DelGuidice のNessun dorma ほんとに素晴らしいので是非。

そういえば、Piano Manをやっていたときは歌詞にある通り、It's nine o'clock on a Saturday とあるように丁度9時くらいだった。水曜日だったけども。

帰りに寄ったお店では、トニック&ジンは飲まなかった。ギネスビールをたっぷり2パイントでチップス&フィッシュを流し込み、閉店まで一緒に行った人とウイスキーを飲んだ。
翌日は休み(つまり今)にしておいたので、きっちりお昼の12時に起床し、コーヒーを淹れ、最低限の家事をした。

では。

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