425汁なし担々麺

汁なし担々麺は広島式が至高 - スタンダップコメディ芸人が令和にたどり着いた1つの結論。

もともと、担々麺が好きだった。

ネタ書きのために籠っている深夜のファミレスのメニューから見つける度に、そのカロリー表記を見て、「おい1,200キロカロリーもあるのかよ。」とためらい、少し考えた後に「まあスープ飲まなきゃ半分か…」と謎の理論で自分を納得させては注文を繰り返していた。

ここ数年、汁なし担々麺という、最初からもうすでに汁がない担々麺が大手を振って歩いているようだ。

コンビニでも、カップのものだ、冷凍ものだとすっかりポジションができている。
いくつか買って食べてみたが、とりたてて感動の味というわけでもなく、やはり罪悪感をかかえながらわずかでもスープをすすったほうがいいのだな…と結論付けてそのまま数年を過ごしていた。

しかし、2019年となり、元号も変わり、状況は変わった。

銀座に行った際、広島県のアンテナショップの中に「広島式汁なし担々麺」の店が入っていた。目当ての「みかん大福」が売り切れていた腹いせに「なんか食って帰るか」と食べたところ、比喩ではなく雷に打たれたような衝撃を受けた。これまで汁がないだけで、損をしたように思えていたこの、汁なし担々麺にだ。

それは、深めの丼の中央に集められた細麺、横には関西でよく使われる九条ネギがわさっと乗っており、少なめの肉そぼろが添えられている。
丼の底にはゴマダレと紅い油が敷かれており、「30回混ぜてタレがなくなったら食べごろ」という説明書きの通り、箸でグルグルまぜてから食べると、山椒のシビれる辛さとゴマダレのまろやかさ、何より細麺が作り出す喉への通りのよさが相まって、「わけがわからない旨さ」と言う、言語化を麻痺させる感想だけが脳裏に浮かび続けた。

あっという間に食べてしまった。

ちょっと麺が足りないか…と思ったら50円でお茶碗三分の一くらいの「ミニライス」を注文し、丼の底に残されたタレと混ぜて「担々ライス」にして食べる。追い山椒をかけて口の中をスースーさせながらも確かな旨味を味わい尽くすと、もう、すっかり虜になってしまった。あれほど不感症だった「汁なし担々麺」に。

その後、都内の何箇所かで専門店に行ってみたが、どれも「美味いは美味いが汁ありの担々麺の汁なし版である」という当たり前の気持ちになって、釈然としないまま店を出ることも多かった。

汁なし担々麺は広島式。

これは僕の中の正義として揺るぎないものとなった。

調べれば都内では

・銀座の広島県アンテナショップ「キング軒」。
・その「キング軒」の大門店
・神保町の「くにまつ」
・新橋の「たんぽぽ」
・月島の「ぐりんぐりん」
(お店の詳細は後半で)

と、実はラーメン爆心地である東京でも食べられるのはわずか数軒。

思えば九州のとんこつラーメンも、白濁のスープと劇細麺という「なんだこりゃ感」とともに迎えられたものだが、今やどこに行っても気軽に食べられるもの。

速いところ「広島式汁なし担々麺」という1ジャンルをポピュラーな食べ物として根付かせる運動をしたいと思っている。

スタンダップコメディのライブでツアーに出ることも多い身だが、来年の予定に広島を入れることは決定している。

--紹介した店舗の詳細はこちら---
銀座の広島県アンテナショップ「キング軒」
「キング軒」の大門店
神保町の「くにまつ」
新橋の「たんぽぽ」
月島の「ぐりんぐりん」

Profile

インコさん /リタ・ジェイ
​コメディアン/俳優


日本映画学校 俳優科在学中より、お笑いコンビ「シャリコッツ」「タックルベリー」を経て、トリオ「キッチンメイトチョッパー(改名)→しゅりけん売り(改名)→JJポリマー」として活動開始。2011年に一人での活動となり、2015年5月芸名を「インコさん」に改名。
演劇作品での客演も多数。定期的に独演会である、スタンダップコメディライブ「おはようインコさん」を開催。2017年冬には紀伊國屋ホール。2019年春には本多劇場単独公演を成功させる。
劇作家としても活動。主宰するオムニバスコント公演「実弾生活」では脚本、演出を担う。12月には長編作品第2弾も予定。

その他、イラストレーター・作家「リタ・ジェイ」として国内、海外での個展を定期的に開催し、著作多数。デジタルアートバトル「LIMITS」初代チャンピオン。

また、インターネットを通じた活動を早くから行い、2001年から1年間、自らの生活を24時間365日生配信する生活を日本政府のプロジェクト「インパク」内にて敢行。インターネット配信者の元祖とも言える存在となり、現在もゲーム実況、動画を配信中。

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