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【インコさん彷徨いのホットドッグ】3本目…森下【カトレア】にて塩バタードッグの豪傑感

*この連載は「ホットドッグを意識しなおした中年男性が、それを求めて東京をさまよい歩く」もので、東京のホットドッグを紹介してゆきます。

イラストの仕事があり、雑誌取材で立ち寄った街にもホットドッグはある。というか、あった。

そこは森下。

少し足を伸ばせば「東京の東オシャレ番長タウン」と呼ばれる清澄白河でコーヒーを引っ掛ける・・・という立地ではあるがここ森下は、道幅が広く見通しのいい駅前に加え、隅田川と小名木川が交差するあたりで風を浴びながら過ごす時間は、年末の長編に向けて追い込みをかけている脚本作業をひとときの安らぎとなるので、とても気分がいい。
(今、清澄白河はコーヒー激戦区と言われているようで、オシャレなカフェが並んでいるが、その落ち着きとは裏腹に店同士がしのぎを削っており、コーヒー豆の生産などに思いをはせると「内戦」という単語が脳裏に浮かぶ。それに比べたら森下の平和感が心を穏やかにしてくれます。)

今回のお店、明治10年創業の「カトレア」は「元祖カレーパン」を高らかにうたいあげる老舗パン屋。こうした創作料理はどこが本家なのか・・・というのは専門家の調べも待つ必要があるが、「カレーパン元祖」と名乗っているのは初めて見たので、僕は彼らの唱える「カレーパンは森下」説をひとまず信じることにする。

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しかし、カレーパンよりも自分の目に飛び込んできたのは「塩パンのホットドッグ」という単語。
塩パンは愛媛県発祥のパンで、パン生地の中にバターのかけらを入れて、焼き上がる頃にはバターがあった部分が空洞になり、染みたバターがパンの底で固い生地を作り出し、「カリッとした食感の中に空洞の周りのバターが染みた部分の柔らかさを味わいつつ、塩気に誘われて一気に食べてしまう」という、「スーパーくいしん坊」が作ったのかと思わせる、ビッグ錠的世界観の食べ物だ。
その塩パンをソーセージで挟むなんて、すさまじい仕掛けを考え出したな…と速攻で手に取る。近くの酒屋で缶ビールも買い、駅前の公園で食べることに。

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塩パンのコロンとしたサイズに挟まれているのはかなり太めのソーセージ。あくまでホットドッグのメインはソーセージにある…という主張の強さを感じる。
一口かじって納得。ホットドッグのパン部分の塩気とソーセージがどう考えてもビールに合う。というよりもビールしか受け付けないな・・・という気持ちになり、帰宅後の仕事を忘れて1本のホットドッグで缶ビールを2本飲んでしまった。パンの偉大さ、塩の強さ。

諸説出てきそうなカレーパンを名乗るよりも「塩パンホットドッグ発祥の地」としての主張もあっていいのかな・・・と平和な風に包まれながら思った。
(その瞬間、脚本の残りも脳裏をよぎった。仕上げねば!)


価格…☆☆
ボリューム…☆☆
酒のつまみ感…☆☆☆

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