あなたはちっとも、さみしくなんかない。

友だちの子どもは、寡黙だった。
初めて合ったのは、彼女が2才の頃。子供らしく感情のコマンドがもっとあってもいいはずなのに、喜びも悲しみもほとんど表してくれなかった。

しばらくたって久しぶりに会って、その変化に驚いた。
初めて聞く少しハスキーな声。5才の子どもらしくはしゃぎ回る声に安心した。
でも驚いたのはそこではない。

「私、45歳のおじさんと付き合ってて」とそのお母さんに嘆くように相談をしてたときだった。

そこには「おじさんと恋愛してる自分が少し恥ずかしい」こと「実際恋愛して、結婚するとなったら色々な問題がある」ことを含んでいた。


そばで遊んでいた彼女が、それを聞いてすっとそばにやってきた。

「でも、好きならいいと思う」

ああ、入ったなと思った。

えぐられるような、いいパンチ、いい言葉だった。

やられたなぁと苦笑いする私の胸に、少しひっかかるものがあった。

彼女はおそらく見えている。いや、見え過ぎている。
周りの人たちにも見えていないような真理が。
人は1歩先に進んだ意見なら理解できるけど、3歩まで進まれてしまうと
共感するのは難しい。

だから、きっと「分かってもらえない」ということが、人生でたくさん起きる。

もしかしたら、お母さんも友達も彼女のお姉ちゃんも、彼女の想いの部屋に入ることはないかもしれない。

そのことに、彼女の母親は気付いていあげることはできないんじゃないだろうか。
年頃の女の子が自分の気持ちを、理解してもらえないことほど苦しいものはない。

きっと彼女は孤独になるだろう。
どうして伝わらないのか、と苦しく思うかもしれない。

でも、と私は人生の先輩らしく声をかけたくなった。

もし苦しくても
周りに合わせていた方がいい、とか、
自分は間違っているなんて思わないでほしい。

あなたが思うもの、
見えたものをを否定しないでほしい。

あなたは、きっと孤独になるだろう。

誰かにすがりたくなる夜もあるはずだ。

でも、あなたは本当はちっともさみしくなんかない。

その寂しさが、孤独があなたの感情を醸成していく。
豊かにしていく。 世界が素晴らしい色を放つ。

あなたの孤独は、さみしいものではなく
あなたをもっと輝くものにするあたたかいものだ。

いつか、またあなたに会うだろう。
そしたら、教えてほしい。
またハスキーな声で、その目に何が映るのか、何がその鏡に映るのか。

ただの通りすがりの私だけど
すごく楽しみに待っている。
10年先で、待っているよ。


なんて言葉をかけたかったけれど
きっと今は分かってもらえないので、こちらに書き留めておきます。 いつかの駅の伝言板のように。
いつか見つけてもらえる日が来ますように。

#コラム #孤独について #女子

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