僕はいかにして音楽ライターになったか

音楽ライターになったのは、1994年4月のこと。そのころすでに31歳だったので、どちらかといえば遅いスタートだったのかもしれません。とはいえそれでも、考えてみれば今年で29年目ということになるんだなー。なんだか中途半端だなー。あっという間のようでもあり、「えっ、まだそれだけしか経ってないの?」ってな感じでもあり。

当時は神田の小さな広告代理店に勤めており、その時点で結婚してからすでに2年が経過していました。妻のおなかには新しい生命が宿っており、やがて生まれてくる子どもとの出会いも楽しみにしていました。

つまり世帯主として守るべき対象を抱えていたわけですから、純粋に「安定」を求めるという手段を選ぶのが普通だったのかもしれません。いや、もちろんそのつもりではありましたよ。とはいえ、「安定」していれば満足できるというわけでもなく、もっとわかりやすくいえば、(悪い意味で)慣れた仕事を中心とした日常に物足りなさを感じてもいたのです。

なにかしたい。でも、自分になにができるのだろう?
そう考えた結果、行き着いたのが音楽ライターでした。

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