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タイの音楽・ルークトゥンとT-Popグループ・New Country

タイのガイドブック『NEW NEW THAILAND』の中で、”タイの音楽を、いち早く紹介”してきたというヒップホップグループ・stillichimiyaのビートメイカー、YOUNG-Gさんはこんな発言をしています。

タイヒップホップの元になっているのはタイの古い音楽、モーラムやルークトゥン、ラムウォンというものである

『NEW NEW THAILAND』

タイのことなので、タイ語版のウィキペディアで調べますと・・・。”モーラム”は、ラオスとタイ東北部に伝わる古いラオス音楽の一つ。”ルークトゥン”は、タイの生活様式、社会的状況、そして文化を反映した音楽。”ラムウォン”は輪になって踊る舞踊、ですって。

タイ語版のウィキペディアによると3つの音楽の中で、タイという国に最も関係があるぽいのが”ルークトゥン”ですが、一体どういう音楽なのか『月曜から夜更かし』並に調査をしてみました!作文がスタートしてまだ10行ほどですが、noteをせっかく始めたのにオリジナリティーなど無しで、ガイドブック、ウィキペディアに続いてタイ情報のウェブサイト『タイランドハイパーリンクス』の記事を国際警察が出動するレベルで早速コピります・・・

「ルークトゥン(ลุกทุ่ง)」とは正確には「プレーン・ルークトゥン(เพลงลุกทุ่ง)」といい、意味はずばり「田舎者の歌」です。(中略)
ルークトゥンとはタイの大衆音楽の一ジャンルで、タイの各地で受け継がれてきた様々な音楽をベースに、その時代その時代の流行のスタイルを貪欲に取り入れながら変化を繰り返してきた歌謡性の高い音楽です。

タイランドハイパーリンクス『ルークトゥン入門』

さらに『タイランドハイパーリンクス』によると、ルークトゥンは、タイで小さな子供からお年寄りまで多くの人に親しまれ愛されている音楽で、日本でもファンが増えつつあるらしいですよ。
では、その”ルークトゥン”はどんな特徴がある音楽なのか?ナイツのネタ『MURO・ん…〇っぽい』並に、『タイランドハイパーリンクス』の記事をまだまだ借りパクします!

ルークトゥンのスタイルは本当に様々で、一言で簡単にこういうものと言えない所があります。
ルークトゥンが誕生した当初、大きな影響を与えたのは西洋のブラスバンドだったといいます。その後、ラテン音楽なども取り入れられ、日本の歌謡曲もカヴァーされたりして、変化していきました。

タイランドハイパーリンクス『ルークトゥン入門』

ネットの無料情報をCtrl+Cすることの限界か・・・、ルークトゥンは一言で簡単に言い表せない音楽っぽいです。そんなルークトゥンという音楽について一歩踏み込んで教えてくれる資料を、ブックオフで発見!それが、旅行者兼ライターの前川健一さんの著書『まとわりつくタイの音楽』。立ち読みしましたらですよ、こう書かれていました。

プレーン・ルークトゥン(以下、ルークトゥンと略)とは、「田舎者の歌」という意味だ。資料によってかなり違いがあるものの、この名称が定着するのは、60年代前半ごろだろう。(中略)
ルークトゥンの原形は、スンタラポーンというフィルターを通したラム・ウォンだろう。これを原形に、タイ古典音楽やラテン音楽、ジャズや映画音楽それにカントリーといったアメリカ音楽、中国やインドの音楽、そして日本の歌謡曲など、さまざまな音楽を取り入れて、ルークトゥンは成長していったのである。

前川健一『まとわりつくタイの音楽』

冒頭で引用したYOUNG-Gさんが発言していた”ラム・ウォン”が出てきましたが、前川健一さんによると”ラム・ウォン”は簡単に言い表すと、一種の音頭みたいです。あとスンタラポーンは、王立交響楽団のバイオリン奏者でありながら大衆音楽も演奏した音楽家、ウア・スントーンサナーンさんが1930年代に活動をはじめた楽団の名前ですって。そして、ルークトゥンという音楽の特徴をいくつか教えてくれます。

ルークトゥンは、コブシを利かせて、グイグイうたう。(中略)
ルークトゥンは、ある地方の民謡ではない。全国的な流行歌である。(中略)
ルークトゥンということばは、「田舎者の歌」だが、「田舎の歌」というわけではない。ルークトゥンとは、どこかに田舎を感じさせる歌である。都会に出ていった恋人を想う歌だったり、田舎の恋人は自分を待っていてくれるだろうかと都会で悩んだり、あるいは、田舎から都会に出てきた者の淋しさやつらさをうたう歌でもある。農民と労働者の歌である。(中略)
ルークトゥンの詞の特徴は、ひとつには農民との関係であり、もうひとつは実生活である。

前川健一『まとわりつくタイの音楽』

それではー・・・。ルークトゥンはどんな音楽か、お金も仕事も持っていないのでストリーミングやCDは高嶺の花、きょうも無料のYouTubeで聞きます!

まずは前川健一さんによると、ルークトゥンのスタイルを確立したシンガーらしいスラポン・ソムバッチャルン(สุรพล สมบัติเจริญ)さんの、たぶんヒット曲。

สุรพล สมบัติเจริญ 「น้ำตาลาวเวียง」 OFFICIAL AUDIO

もう1曲くらい聞くと、なんとなくルークトゥンというタイの大衆音楽の感じがつかめる気がします。小学生のときテストで0点をゲットしたアタシの頭脳でもね。
女性で、人気&実力ともにトップクラスのスナーリー・ラーチャシーマー(สุนารี ราชสีมา)さんの曲で、歌詞では”田舎と都会・バンコク”について歌ってるぽいですよ。

สุนารี ราชสีมา 「อยู่บ้านนอกดีกว่า」 Official Audio

そしてルークトゥンの誕生から現在までの歴史を、前川健一さんの著書『まとわりつくタイの音楽』とタイランドハイパーリンクスの記事『ルークトゥン入門』を、勝手にMashupしてお伝えしますと・・・。

ルークトゥンの最初のスター歌手は、1940年代から歌い始めたカムロン・ソンプンナーノンだろう。
次に現れるのは、ルークトゥンのスタイルを確立したスラポン・ソムバッチャルンだ。(中略)初レコーディングは1953年の「ナムター・サーオ・ウィアン」(ビエンチャン娘の涙)で、これが初ヒットでもある。しかし、当時まだルークトゥンという名称が生まれていないので、彼はラム・ウォン(※一種の音頭)歌手と呼ばれていた。
1960年代になり、ルークトゥンの名称が生まれる

前川健一『まとわりつくタイの音楽』

その後、1980年代後半にはプムプアン・ドゥアンヂャンのロック的要素を取り入れた歌が大ヒット。これが現在の形態へとつながる大きな布石になったようです。
そして、今ではロックだけでなく、Hip Hopやダンスミュージックなど様々なジャンルを取り込んだり、ジャンルの違う歌手と競演したりして、現在も進化と変化を続けています。

タイランドハイパーリンクス『ルークトゥン入門』

1980年代後半にロック的要素を取り入れて大ヒットし、現在の形態へとつながる大きな布石になったらしいルークトゥンの曲は、タイランドハイパーリンクス『ルークトゥン入門』のページに動画が貼ってあったので、この曲なんだと思います。ちなみに、MVです。

プムプアン・ドゥアンヂャン(พุ่มพวง ดวงจันทร์) 「ขอให้รวย」

そして1940年代頃に誕生したタイの大衆音楽・ルークトゥンは、ロックだけでなく、Hip Hopやダンスミュージックなど様々なジャンルを取り込んだり、ジャンルの違う歌手と競演したりして現在、2020年代も進化と変化を続けているらしいですよ。では最近のルークトゥンはどんな感じなのか聞いてみます、もちろんお金0円のYouTubeで!

F.HERO Ft. KRATAE RSIAM & M-PEE 「อะไร…ว้า」 (Dancecovery Project) MV

タイのビッグネームのラッパー、F.HEROさんが2023年にリリースした曲。ルークトゥンのシンガー、KRATAE RSIAMさんがフィーチャリングで参加していて、EDMっぽい曲の中にルークトゥンの要素が入っていると思います。1:01~のKRATAE RSIAMさんのパートとかー。

YOUNGOHM 「ธาตุทองซาวด์ ft. SONOFO」 Official Video

タイの24歳のラッパー・YOUNGOHMさんが、2023年にリリースした曲。曲&MVが、タイという国っぽさを詰め込んだ内容で、タイの大衆音楽であるルークトゥンも2:22~とかに入っていると思います。

そんなおよそ80年の歴史がある、タイの音楽・ルークトゥン。ロックやHip Hopとか様々なジャンルを取り込んだり、現在も進化と変化を続けているらしいですが・・・。1980年代にたぶん生まれて1990年代後半に開花した後、日本や韓国のポップ・ミュージックの影響を受けたアイドル的要素があるタイのポップ・ミュージック『T-Pop』にも、ルークトゥンは進化と変化をしています。それが男女混合の6人組の、”ルークトゥン・ポップ”グループ、New Country(ニュー・カントリー)!

NEW COUNTRY 「โอ้ละหนอ...My Love」  (ซนซน 40 ปี GMM GRAMMY) OFFICIAL MUSIC VIDEO

昨年、2023年に創立40年を迎えた所属事務所・GMM GRAMMYのアニバーサリーソング。ルークトゥンに、アメリカの大衆音楽のカントリー&ウエスタンを合わせています。エレクトロニックミュージックも入っていたり、振付けにマイケル・ジャクソンさんも取り入れていて楽しいです!歌詞は、ChatGPTによると都会へ行ったアニキのことを歌っているぽいです。

男女混合6人組グループ、New Countryは2022年に結成。メンバーは英検5級に落ちたアタシのヒアリング力ですが、男性がGuitar(ギター・18歳)さん・Tintin(ティンティン・23歳)さん・Nu(ヌ・25歳)さん・Mbow(エンボー・33歳)さんで、女性がMusseaw(マッシー・17歳)さん・Gig(ギ・25歳)さんの6人。タイの日刊新聞『matichon』によりますと、New Countryは、ルークトゥンの歌手で”ルークトゥン・プリンス”と呼ばれているGot Jakraphun(ゴット・チャクラパン)さんがメンバー選びから、初期の頃の曲やMVの制作も行っていたみたいですよ。そんなNew Countryのデビュー曲は2022年12月にリリースされた、男子チームによるこの曲。

New Country 「Stand by หล่อ」 MUSIC VIDEO

作詞作曲はタイの”ルークトゥン・プリンス”、Got Jakraphun(ゴット・チャクラパン)さん。ルークトゥンのボーカルにディスコのメロディーを合わせています。曲名の「Stand by หล่อ」は、ChatGPTによると”イケ男が待ってる”って意味で、歌詞では”キミは僕のことをいつ好きになってくれるの 僕は待ってるよ”的なことを歌ったラブソングみたいです。振付けとMV制作も Got Jakraphun(ゴット・チャクラパン)さんが行っていて、Videoはマイケル・ジャクソンさん感が入った振付けのパフォーマンスとイメージ映像が軸で、小道具でドーナツを使って”真ん中に空いている穴に いつハートができるの?”という気持ちを表現しているらしいです。所属事務所のGMM GRAMMYは、New CountryはK-POPやJ-POP、T-POPなどがあるけど、”カントリーポップ”または”ルークトゥンポップ”で、デビュー曲は音楽・ファッション・パフォーマンス、あと簡単なタイ語と英語の詞で簡単にできる振付けからTikTokでバズった、って発表してます。MVは現在までで、再生回数およそ2000万です!

そんなNew Countryで、アタシが好きな曲は2023年9月にリリースされた4thシングル曲・・・。

NEW COUNTRY 「รบกวนเอ็นดู」 OFFICIAL MUSIC VIDEO

男子チームによる曲で、プロデュースはタイの”ルークトゥン・プリンス”、Got Jakraphun(ゴット・チャクラパン)さん。曲は、ラップが入ったルークトゥン・ポップ。歌詞にFacebookやInstagram、あと”DMで繋がろう”や”フレンドリクエスト”的な言葉を使って愛情や人と人との繋がりについて歌ってるみたいで楽しいです!Videoは、「恋するフォーチュンクッキー」感ありますが、 New Countryのメンバーがタイの北から南、あと日本でお願いをする映像なんだって。特に、バイクにまたがったカラフルなたぶん少数民族・カレン族の女性たち、たぶんパタヤのニューハーフの皆さん、あと渋谷の『味源熊祭 おくむら』のKRESSさん&KANEさんのグラフィティの、背景がマジで格好良いです!

そんなタイのルークトゥン・ポップのグループ、New Countryの2024年の新曲が・・・。

FIRZTER X NEW COUNTRY 「ติ่งค่ะ (FZT Mix)」 Official MV (Special Ver.)
2024年3月にリリースの、女子チームとタイの音楽デュオ・FIRZTERがコラボした曲。女子チームのデビュー曲で、現在までに再生数およそ2500万回の曲「ติ่งค่ะ」のFIRZTERによるリミックスです。曲は、ルークトゥンに、ヒップホップやR&Bを合わせているそうですが、初めてアタシは聞いたと思うルークトゥンにジャージークラブも足してます!

今年、2024年についてNew Countryチームは、タイの日刊新聞『Kom Chad Luek』のインタビューで、このように話しています。

2024年のNEW COUNTRYの計画は、各メンバーの個性を引き出し、カントリーポップのイメージを明確にすることを目指しています。ソロ曲やグループ曲をリリースし、他の興味深いアーティストとのフィーチャリングも行い、楽しい楽しい一年になることを期待しています。

 Kom Chad Luek 2024/01/11

タイでおよそ80年前に生まれ、その後、進化と変化を続けてきた大衆音楽・ルークトゥン。タイのラッパーやT-Popのアーティストたちによって、これからもどのような成長を遂げていくのか楽しみですね。世界の宮崎駿監督もいっています、『君たちはどう生きるか』!