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【企画書】ヒュプノクラフト

キャッチフレーズ(50字)

ガチャの恨みが、異世界の扉を開く。全ての歩行者よ、RPGの豊かさを勝ち取る「夜の戦い」に参戦せよ!


あらすじ(300字)

貧乏で独身のおっさんが、コロナ禍の気晴らしに始めたウォーキングRPG「ドラグーン・ジャーニー・プロムナード」。その闇である強欲なガチャは異世界の悪しき道化「ガーデナー」の興味を引き、悪夢のRPGを生んだ。

現実の夜景に重なる「ARの夢」をDJPの美少女アバター「ユッフィー」の姿で探索していたおっさんは、悪夢の中で奇妙な「出産」をする。生まれた「息子」はおっさんの若き日の夢をこじらせ、街を混乱させる。

忘れていた「夢の記憶」を取り戻す旅の先で、息子に訪れた消滅の危機に、ユッフィーはオタク狙撃手の銑十郎、異世界人の陽気な恋人エルルと共に「母」になる決意を固める。この「家族」は、どこへ向かうのか?

第1話のストーリー(1000字)

夏、再び

2023年夏、松戸市。散歩中のおっさんAが、自転車を漕ぎつつ手元の画面をチラ見するおっさんBとすれ違う。彼らは40代男性に人気の位置情報RPG「ドラグーンジャーニー・プロムナード(DJP)」のファンだ。おっさんAもスマホを持ってプレイ中だが、画面は見てない。

町内会の掲示板には、花火大会や盆踊りの告知。新型コロナの5類移行で、夏の風物詩が4年ぶりに。帰宅後、おっさんAは老齢の両親と隅田川花火大会の中継を見る。

ドラジャニ好きな彼の脳内では、DJPで使ってる美少女アバター「ユッフィー」が浴衣姿で花火を見上げてる。

場面が変わり、会場の混雑が映ると。おっさんの脳裏には4年前に流行った都知事の「密です」が響く。

その夜、奇妙な夢を見た

盆踊り中止のお知らせ。4年前に戻ったような掲示板の前に、マスク姿のおっさん。周囲は夜の散歩道で、街灯がDJPの「パワースポット」の如く緑色に光り、坂の上から真っ赤なスカイツリーが見える。東京アラート?

不意に、ドローンの飛ぶ音。真っ直ぐ突っ込んでくると、近くの電柱に激突して大爆発。思わず両手で頭を守るおっさん。さらに四方八方から自爆ドローンが飛来。ここはウクライナの戦場か!?

爆風と爆音の中、無我夢中で逃げ回るおっさん。建物や電柱は何故か壊れない。襲撃を振り切ったかと安堵した矢先、背後から何者かに狙撃され腹を撃ち抜かれてしまう。その場に崩れ落ち、持ってたスマホが地面に落ちると首元に炎の輪が現れる。

炎は金の鎖と赤い宝石の首飾りに変わり、意識もうろうなおっさんを不思議な力で宙に浮かせる。まるで変身ヒロインの如く、彼の姿は「ユッフィー」に変わってゆく。

脳裏に蘇る、鮮明な映像。月明かりの差し込むアラブの宮殿で、モヒカン頭に鉄仮面の悪党どもを相手に、槍を手にして奮戦するユッフィー。雑魚を蹴散らせば、中華鎧を着た猪の獣人が奥から現れ、青龍偃月刀を手に高笑い。

再度の激痛。見るとお腹が異常に膨れて、頭の中で雑多な声が響く。

「DJPのガチャはクソドケチ、福引きじゃねぇ呪い足しだ!」
「異端審問官どもめ!」

少年の怒声が聞こえたと思うと、巨大風船みたいなお腹はついに爆発。薄れる意識の中、見えたのは飛び出す6つの宝玉と、卵の殻を被った少年。ユッフィーを守ろうとした首飾りも、宝石にヒビが入る。

愛らしい飛竜の子供に乗った少年は「母」を一目見ると、無言で飛び去る。

第2話以降のストーリー(3000字)

パーティ編成

目覚めたおっさんは、ゲーム仲間の「銑十郎」にメッセージを送る。リアルの素顔は知らないが、夢の中で何度も共に冒険した相棒で、頼れる狙撃手。あるRPGでは、ユッフィーと「結婚」もした。

「わたくしは、あの少年の行方を追いますの。来て頂けますか?」

革命の炎

寝苦しい夜。やっと「コロナ禍の悪夢」を再訪すると、近所の「キングスホームセンター」が襲われていた。そこは穏健派プレイヤーの拠点で、ヒュプノクラフトでドラジャニのお城風になっている。二人は現場に急行。

「我々ベナンダンティは、RPGの豊かさを守るため夜の戦いを始める!」

襲撃犯はモヒカンの暴徒たちと、ユッフィーのお腹から飛び出た少年。少年は呪いのガチャを回して悪夢の怪物を呼び出し、周囲を混乱させる。

「国民的な人気を得たドラジャニには、高貴な責務があった。RPGの知恵が正しく広まれば、日本はもっとよい国になっていた!」

少年の主張は、おっさんの内心そのもの。でもここは無関係。
丸腰のユッフィーと銑十郎は、捨てられたハズレ装備を拾い鎮圧に動く。

謎のご隠居

混迷の戦場に響く、老人の声。

「少年よ、レックス社に抗議したいか?ならば敵は、新宿にあり!」

少年は暴徒を引き連れ江戸川を渡ろうとするが、謎の霧に阻まれ無限ループに陥る。

ゲームマスター

首を傾げる一同の前に、蝶の羽が生えた娘と眼鏡少年が現れる。二人は農家の子で新人マスターの「エルル」、地球観測員でサブマスターの「リーフ」と名乗った。

エルルから説明を丸投げされたリーフの話によれば。4年前、コロナ禍に直面した人々の不安は夢の世界に影を落とし「拡張現実の夢」を生んだ。

そこでは、人々の負の感情を糧に悪夢の怪物を作り出す悪しき道化「ガーデナー」が邪悪なゲームマスターとなり、ドラジャニを模したRPGを運営し、ガチャで怒りや憎しみを煽って搾取していた。

これを見たエルルは、異世界カラヴィアンで冒険の末に秘宝級ヒュプノクラフト「願いの果実」を入手、ガーデナーからマスター権限の一部を奪取。対立するマスター同士が覇権を競う「運営戦国時代」が幕を開けた。

怪奇現象なんて起きない、怪物もいない

異世界人のRPGオタク、リーフは語る。

夢は現実の一部。この恐るべき事実から逃げたかった古代の地球人は、最大最強のヒュプノクラフト「幻想拒絶」を組み上げ、地球を覆った。全ての神秘と怪物は地球上から消えたと思われたが、夜の世界には残った。

ヒュプノクラフトは想像力の魔法。暗示やプラシーボ効果も含む。夢の中ではアバターへの変身、アイテムや建築物まで作れるが起きてる者には見えず、触れない。ARの如く現実に投影されるが、干渉できない夢。

マッドシティでは騒乱の末、災害級ヒュプノクラフト「災いの種」が使われた。「幻想拒絶」は被害拡大を防ぐためマッドシティを「ロックダウン」し霧で閉ざした。

記憶のかけら

エルルを見たときから、不思議な懐かしさを感じていたユッフィーの脳裏に蘇る記憶。

夢の中で「氷の都ヴェネローン」に迷い込んだおっさんは「暁の女神アウロラ」から「ルペルカリア祭」に誘われる。それは、永久凍結惑星「バルハリア」に季節を取り戻すための儀式型ヒュプノクラフト。

「この地は『災いの種』の暴走で惑星全土が凍り、時間さえも凍って、新たな命の生まれない星となってしまったのです」

おっさんはクジ引きでエルルとカップルに。初めは釣り合わないと難色を示すが、エルルに美少女アバターへの変身を提案され、やがて親密に。ユッフィーが貧乏独身の男性を励ます動機は、エルルとの思い出だった。

追放と再会

急に場面が飛び、おっさんはエルルの上司「神殿長エンブラ」から、追放を宣告される。

意識が戻ると、ユッフィーの目の前には腹から飛び出た宝玉の一つが浮かんでいた。リーフはそれが「メモリア」だと語る。メモリアが見せた映像は場の全員に共有されており、感極まったエルルはユッフィーを抱きしめる。

夢竜の子供

「手分けして、マッドシティの外への抜け道を探すぞ」

少年は勝手に宣言し、自分が乗ってた飛竜の子供「タバサ」をユッフィーに預けて去った。彼らは「メモリア」の存在を感知できる。

「この夢はドラジャニに似てるから、どこかに先へ進む鍵があるのかな」

銑十郎の助言で、ユッフィーもタバサを連れて残る「メモリア」を探しに。

鶏と卵の矛盾

おっさんが寝苦しさで夢にログインできない間、少年は探索を進めて都立八柱霊園にメモリアの反応を感知する。正門前の広場に行くと、何故か中華鎧を着た猪頭の武人が石化していた。

そこで少年は、4年前に起きた出来事を見る。石像の正体は、元ガーデナー所属の先遣隊長「孟信」。エルルが願いの果実を使い、マスター権限の一部を奪取した際の異変を調査するため地球に派遣された。

孟信はユッフィーと何度も戦ううちに、彼女に惚れ込み嫁にしようとした。ユッフィーも孟信を仲間にしようと画策するも、ガーデナーが反逆防止用に孟信に埋め込んでいた「災いの種」が作動し、窮地に陥る。

場面は変わり、異世界カラヴィアンの海岸。夜空を見上げる少年とタバサ。二人はエルルの願いで、ユッフィーを助けに地球へ行く予定だったが、いつまで経っても呼ばれない。そこで星に願いをかけた。

ユッフィーが奇妙な形で少年とタバサを「出産」したのは、願いの内容「結果の前借り」が原因だった。今まで曖昧だった矛盾が明かされ、本当はまだ生まれてない少年は存在が急激に薄れてゆく。

転生

ユッフィーと銑十郎が、異変を感知したタバサに乗り少年の元へ飛来する。タバサも途中から姿が半透明になって、少年を抱えると巨大な卵に姿を変えてしまう。エルルも後から追いつく。

子供たちを助ける術は無いのか。エルルは、ユッフィーと銑十郎が子作りをして、少年とタバサを産んであげれば解決すると告げる。すると、巨大な卵に光の扉が現れる。意を決した二人は卵の中へ。

「新たな可能性を守る。大人の責務ですわ」

卵の中の空間。ユッフィーのひび割れた首飾りが急に強く光り、喋り出す。

「わしも混ぜろ!ユッフィーよ、愛人契約を忘れたとは言わせんぞ」

声の正体は、首飾り「ブリーシンガメン」の作者「オグマ」。ユッフィーは一体、何人のおっさんを魅了したのか。

「子供たちに強力な加護を授けてやるから、ちと身体を貸すのじゃ」

悩む暇はなく、オグマの提案を受けた銑十郎はユッフィーと「生命誕生」のヒュプノクラフトを使う。エルルも外から応援する。

「あなたの名前はベナン。よき歩行者でありますように」

少年が目を覚ますと、母に抱かれていて。父と妹とエルルも見守っていた。首飾りも完全復活。

夜の戦い

「人生に天井は無い。慈悲深きガチャにお布施を捧げよ!」
「ガチャこそ、RPGを歪める害悪だ!」

ベナン少年率いる「DJ革命軍」が、松戸中央公園で怪しい「カーゴカルト団」と戦っている。革命軍はウイキョウの茎、CC団はモロコシの茎を使って叩き合う。

赤毛でネグリジェの幽霊少女が、木の上から少年を見ている。そこへ飛んでくるエルル。

「元祖ベナンダンティとして、様子を見に来たけど」
「マリカさぁん!来てくれたんですねぇ」

時は中世イタリア。「ベナンダンティ」を名乗る彼らは作物の豊作を勝ち取るため、夜中に魂が身体を抜け出し、畑を荒らす悪い魔女と戦った。

RPGの豊かさを守る夜の戦いは、これからだ。

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