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琵琶湖パワーに包まれて いのりまち町民集会2024 -ACOUSTIC LIVE Wonder Caravan!- 滋賀公演 感想

※いのりまち町民集会2024のセットリストなど公演内容のネタバレをガッツリ含みます!
まだ町民集会2024に参加されてない方でネタバレNGの方は引き返してください。



2024年2月10日。いのりまち町民集会2024 -ACOUSTIC LIVE Wonder Caravan!- 滋賀公演が開催された事実は多くの人が知っているだろう。
何故なら天下のネットニュースサイト、Yahoo!ニュースでも取り上げられたからだ。

あまりにも大きな存在となった大物声優・水瀬いのりさんではあるが、それでも一声優のファンクラブイベント、それも初回公演や千秋楽でもない地方公演が取り沙汰されたことは、本公演に対する世間の注目度や盛り上がりの裏返しであろう。

そんな名公演に運良く参加できた一町民の感想をここに綴る。稚拙で独りよがりな文章ではあるが、特に同じ公演に参加された方や、滋賀公演に行きたかった方は最後まで読んでくれると嬉しい。


前日譚

いのりまち町民集会2024の開催が発表されたのは今から5ヶ月前、真夏のようなうだる暑さだったあの日、Inori Minase LIVE TOUR 2023 SCRAP ART 兵庫公演であった。
5年ぶりの声出し解禁ライブ、そして水瀬いのりの新境地という歴史に残る名公演の熱気で火照る身体にその情報はあまりに刺激が強く、高揚感で私の体温は1536℃を超えてしまった。

熱中症になるかと思うくらい本当に暑かった。

水瀬いのりがこれまでワンマンイベントを行った都道府県は、この時点で9都府県。ここ数年は決まった都府県でのイベント開催が続いていたので、SCRAP ARTツアーでさらなる進化を遂げた新生・水瀬いのりの新たな一歩に滋賀県が選ばれたことを、心から誇りに思う。

私がなぜこの公演にお気持ちを昂ぶらせているかを説明しなければならない。簡単に言うと、滋賀県は私が生涯の大半を過ごし生まれ育った地であり、愛する故郷であるから。それだけであるが、それだけで十分な理由であろう。
現在は自分自身で選択してこの地を離れているが、故郷を愛する気持ちは変わらない。それどころかますます強くなっているのを感じる。これが恋の病ホームシックなのだろうか。

滋賀に来たら一番食べて欲しいグルメ、ビワマス。
サーモン好きにはぜひ食べてほしい。

さて、めでたく開催が発表されたことで私がやるべきことは何か。
まずは盛大にお祝いして迎えること。水瀬いのりさんも顔が広くなって全国に町民さんがいるとは言え、初めて開催する地でどう迎え入れられるか不安はあるだろう。
であれば、開催までに歓迎のムードを高めることが肝要だ。この一環として、人生初のフラスタ企画を実行した。詳しくは顛末記を別途書き残すのでそちらを読んで欲しい。
あとは若干人目を気にしつつ臆病になりながらも、滋賀にまつわるネタや公演への思いをポストして、ささやかにTLで機運を高めた。

そしてもう一つ、アコースティックライブという未体験の演奏芸術を全力で楽しむこと。私は頭でっかちなので予習をしないと十分に楽しめない。
そのために、セトリ入り確定かつ副題のWonder Caravan!への理解を深めたり、いのりちゃんの先輩である水樹奈々さんのアコースティックライブ音源を原曲と聴き比べしたりした。
また、前週に開催された埼玉公演に参加できたおかげで、聴き慣れない楽器に初見殺しされることも回避できたので、滋賀公演ではじっくり音を楽しむことが出来た。
今回の町民集会はほとんどの方が1公演しかチケットを握れなかったので、本当に幸運だった。
未知の音や演出に触れた時の真新しさは薄れてしまったが、事前情報アリで楽しむのもまた貴重な機会で自分に合った楽しみ方でもあるのでこれはこれで良かったと思う。

そうこうしているうちにあっという間に季節は移ろい、公演当日を迎えた。




公演当日

2024年の琵琶湖の水位はマイナス78cmという歴史的な渇水に見舞われた。この日はマイナス56cmで、やはり十分に湛えているとは言い難い状況であった。

琵琶湖北部は青空に灰色を塗りつけたような曇り空。晴空の多い関東では見ない、しかし見慣れた故郷の風景は荒天であろうと愛おしい。そんな愛すべき近江の国へ、我が最愛の推し人が来る日なのだから。

琵琶湖ホールを遠くから望む。生涯で最も美しかった琵琶湖の風景の一つとして脳裏に焼き付いた。

フォロワーさんとお昼ご飯を食べてから会場へ向かう。はやる気持ちが抑えられない。足取りがワルツを奏でる。
開場まで3時間以上あったので会場の外は閑散としていたが、ホール内に入ると物販待機の行列と美しいレイクビューが眼前に広がっていた。
この時、私の胸中を占めていたことはただ一つ、フラスタが無事搬入されてあるかどうか。物販待機列には目もくれず探し回ると、あった。
色取取の祝花が物販待機列を超えたエリアの向こう側に、早く観て欲しいと言わんばかりの存在感を放っていた。

遠目からフラスタを眺める。この光景を目にした瞬間が、今回のフラスタ企画で一番心を揺さぶられたシーンだった。

フラスタは全部で4つあった。うち1つが主催、参加者を募集されていた2つにも微力だが参加させて頂いた。
本当は個人的にもう一つ出そうかと思案していたが、たくさん出せば良いものでもないので主催のものに一点集中した。
結果的に粒ぞろいとなり、全体的に華やかになって無事歓迎ムードを醸成出来たと思う。

物販もさっと済ませて、フラスタに参加して下さった方々にご挨拶して回った。その後、ホテルへチェックインしてからは開演ギリギリまで部屋でお手紙を書いた。当日の高揚した気分に筆を任せた方が良いと思ったからである。嘘。締切ギリギリまで動けないタイプだから…。
そうこうしているとあっという間に開演時間が近づき、慌てて会場に戻って無事着席した。

びわ湖ホールから眺める琵琶湖。曇天には曇天の美しさがある。

まずこのびわ湖ホール、入って目に飛び込んできた内装がすでに美しい。
木目調の反射板は音響としての役割だけでなく、視覚的にも楽しさを増幅させてくれる。
「音が響き、光が歌う」と公式サイトに書かれているが、まさしくその通りであった。こんな素敵な会場でアコースティックライブを体験できるなんて、最高の公演になる予感しかしなかった。

開演前はいつもは洋楽が流れているが、今回はケルト音楽というのだろうか。会場の空気をアゲアゲにしていくというよりは、心地よく楽しもうと投げかける意図が垣間見える。
ステージを覗くと、そこには某キャンプアニメのようなセットが広がっていた。ステージの下手には、キャンプではおよそ使われないような大きな木製の扉があった。前回の町民集会2023のステージでも扉があったが、これはある種の結界を作るものであり、「いのりまち」を作る上で欠かせぬキーアイテムなのだろう。
そんな結界の内側には、いのり町長が座るであろうゆったりとした座り心地のチェア、漢のキャンプにはまず出てこないオシャレなラグ、丸太に置かれた温かい光を灯すキャンドル、雨風や日差しを防ぐタープなどが設置されていた。
みんなで焚き火を囲んで、いのり町長がアコギをかき鳴らしながら歌う、なんてことは1800人以上いる会場ではできるはずないのだが、そんな妄想が捗るフレンドリーで温かい空間がそこにあった。
そして背後の針葉樹は滋賀の名所、メタセコイア並木をイメージしているのだろうか。こじつけオタクの妄想が止まらない。

高島市旧マキノ町のメタセコイア並木。有名スポットですが今まで行ったことがなく、フラスタ企画の素材集めのため初めて行きました。ええとこやしみんな行ってや。

開演時刻になると照明がじわじわと落ちていき、それに釣られて拍手が湧く。ついに始まるぞと、一同の期待が弾けるこの一時が大好きだ。
周りを見渡すと、いつものライブと違いペンライトをほとんど誰も点けていない。既に埼玉公演を経験しているのでペンライトを点けていいと知っているが、この緊張感を大事にしたかったので自分も合わせることにした。

バンドメンバーがステージ袖から現れ、各々の席に着く。服装も今回のライブの雰囲気に合わせて白が基調の優しい彩りだ。目に入る全てが新鮮だ。
程なくして演奏開始のカウントが鳴り、オープニングのメロディが会場に響き渡る。

いつものライブと違い聴き慣れない、だけど優しい音色で会場の緊張が解されはじめたところで現れるのが我らのいのり町長。
今回の髪型はポニーテールだ。可愛い。可愛い。大事なことなので2回言った。
そしてSCRAP ARTツアー4着目のような童話チック赤く可憐な衣装が眩しい。フラスタも赤だったので色被り解釈一致大成功!

アコースティックライブという大冒険の舵を切ったのはWonder Caravan!だった。この後に控えているアレンジと比べると大胆さは抑えられているが、原曲の方向性を変えずにそのままブラッシュアップしたアコースティックアレンジには実家のような安心感が生まれる。

「たった一度だけ重なる場所で」という歌詞の通り、このライブ会場で、このメンバーで会えることは一期一会であることに思いを馳せる。いのり町長の歌声にもそんな思いが込められているように感じた。

ところで、glowツアーなどでは「ぼくらだけの光」で指差しをされているが、いつもだとステージの端から端へと順に差す動作が控えめというか、縦の動きも入ってていつもと違うように埼玉夜公演では感じた。今回、その違和感の答え合わせができた。
ソニックホールしかり琵琶湖ホールしかり、4階席まである構造の立体的な会場であることが理由だった。つまり、上手から下手の左右、1階から4階までの上下、これらすべて含めての「僕ら」であることを意識した動きだったのだ。
さすがいのり町長、誰一人取り残さない。SDGsじゃん。

当日お贈りしたフラスタ。Wonder Caravan!の力を僕もお借りした。

「みなさんも手拍子で参加してください!」といのり町長の掛け声で沸き立つホール。春空のイントロが始まった。
埼玉公演で気づかなかった楽器として、カホンをかなり色んな場面で使っていることに気づいた。あの日何を見てたんだわしは…。

この曲に限らず、今回は照明の演出もいつもの町長集会より気合が入っていた気がする。透明感のある町長の歌声と、春色や花びらを表現した照明演出が見事に春の淡い空気感を表現していた。
何度でも言うけど、「深呼吸」のロングトーン&ビブラートが天に昇るようで気持ちよすぎる。今年、琵琶湖の深呼吸はまだ確認されていないが、きっといのりの歌声で呼び起こされているに違いない。

アコースティックライブとはこういうものだよと自己紹介的な2曲が終わったところで、いのり町長による挨拶がはじまる。最初のMCでは必ず滋賀のことを触れてくれるだろうと期待していたので、どんなコメントが出てくるかドキドキしていた。
「滋賀が地元って人いますか~?」という聞き方をしてくれて本当にありがとう町長…!「滋賀に住んでるよって人いますか~?」だと手挙げられなかったからね。さすが配慮の鬼。

今回のバンドメンバーは「旅の仲間」として、町長より紹介があった。
埼玉夜でも思ったが、ミッチーさんがいつものライブと違って空気に合わせたコメントをされるのがかっこよすぎる。
いのりバンドといのり町長の絡みは結構冗談交じりのやり取りも多いが、ミッチーさんは基本的に冗談を言わない。言えないのではなく、言わない。ついついふざけてしまう自分にとって、リーダーシップの塊であるミッチーさんが眩しくて大好き。はぁ…。

打ち上げで食べた鮒ずし。酒に合う大人の良い味だった。
俺も鮒ずしのような味のある大人になりたい。

いつもより短めのMCが終わり、3曲目はハートノイロ。この曲が前回披露されたのも、町民集会だった。この曲も最初のフレーズから「街」が入るのでいのり町長としてはまちのテーマソングの一つという位置づけなのかもしれない。
今回、埼玉夜公演で聴いた「綺麗な『音』に包まれ」という歌詞変が無かったのが衝撃だった。あれはアドリブだったのか…?!かなりぐっと来るアレンジだったので少し残念。

間奏では旅の仲間にスポットライトが順番に当たり、町長がマラカスを向けるという普段のライブでは見られない演出があった。ディスニー好きのフォロワーさんが言うには、ミッキーマウス・レビューというアトラクションの演出に似ているとのこと。動画が上がっていたので見てみたが、なるほど確かに。自分は全然ディズニーのことを知らないので、こうして他の視点からの意見を聞けるのはすごくありがたい。

場が温まってきたところで、アイマイモコが始まった。町民集会2023でも歌われて、SAツアーでもセトリ入りしたので流石に無いだろうと思っていたが入ってきたので驚きを禁じ得ない。どういう思いで選出したのだろうか。真意はまだわからない。
だが、アコースティックアレンジでより恋模様が艶やかな曲となり、「これをやりたかったから」と言われたら全力で頷くしかない説得力がそこにあった。
ヴァイオリンの美しいイントロが心の琴線に触れる。それにマリアージュするピアノの音色がよりサウンドを甘くさせる。印象的だったのは落ちサビで雰囲気がガラッと変わったところで、なんというかエモさが増した。いのりは一体誰になって、誰を思い、歌っていたのだろう。

乙女心で甘々な空気で満ちたびわ湖ホール。畳み掛けるように続くラブソングは、アコースティックサウンドが似合わないはずがない一曲、Melty nightだ。元々ゆったりめのテンポな曲だが、更にチルチルしている。パーカッションとバイオリンの音色がうっとりするほど心地よく、ムーディーな夜の雰囲気を醸し出す素敵なアレンジとなっている。
着座して歌う町長のリラックスした空気は、Melty nightの持つ良い意味での「生活感」が出ていて好きだ。そして上手く言えないけど、2番サビの感情の込め方が上手すぎてキュンキュンした。ずるいよホント…

打ち上げでお世話になったお店。雰囲気の良い立地と温かいおもてなしが最高だった。大津駅周辺で打ち上げする時におすすめ。

続いてのMCでは、事前に送ったお便りのコーナー。
ミッチーさんがまたしてもかっこよくて、いのりちゃんの成長を褒めていて僕も嬉しくなった。みんなのお父さんというのもぴったしだ。「そんな大きな息子はいらない」と的確なツッコミを入れてくれるのがまたいい(惚)
今回のMCではアコステライブの準備の話や、音楽との向き合い方などかなり濃い内容のお話を聞けて充実していた。
拗らせ滋賀人しがんちゅとしては、美味しい中華の店に行くという話を聞いて(そんなの大津にあるなんて知らなかったんですが〜〜〜!?!?なんかめっちゃ悔しい~~~~!!!!!!)と思ってしまったのがプチ・ハイライトである。

お便りコーナーもそこそこに、「事前投票1位の曲」という否応に期待せざるを得なくなる曲紹介に入る。耳馴染みのある名曲カノンのメロディーが期待のボルテージを本公演中最高クラスに、高く、高く、ぶち上げてきた。その期待に見事答えきったのが、三月と群青である。

何度でも言うけど、化け物すぎるアレンジだった。
本来は軽音部がコピーするようなロックナンバーだが、今回はピアノとバイオリン、そしてボーカルに絞った大胆な構成だ。音が少ない分ボーカルの声がよりはっきりするのだが、登場人物の感情の機微を声に乗せていて凄まじい。声優である経験が活きた尋常ならざる一曲になっている。
余談だが、公演後の打ち上げで「今回一番良かった曲は?」と参加者に聞いたら自分含め男子は全員この曲を選んでいた。あまり考えたことなかったが、男子の方が刺さりやすい曲なのだろうか。

琵琶湖西岸の白髭神社。日の出・日の入り時は当然映えるロケーションをしている。行ってみてね。

化け物アレンジで爆裂に上がったハードルを飄々と乗り越える、じっじーさんのカッコよすぎるアコギのInterlude(これも何かの名曲だったのか?)が始まる。橙色の朝焼けのような空間より日出ずるはHELLO HORIZONだ。
1番はずっとアコギ一本の伴奏で、しっとりとした少し寂しさを感じる夕暮れ時のようなニュアンスを感じる。サビが終わると一旦無音の間を挟み、2番Aメロより他の楽器が加わって一気に賑やかに。壮大な地平線を想起されるサウンドとなった。

その後のMCではこの2曲のアレンジに込めた思いを町長自ら語ってくれた。受け取ったイメージと概ね合致していたので、意図通り表現した奏者たちの熟練度を実感する。

続いての曲紹介が始まり、家族、仲間、友人など普遍的な愛をテーマにした一曲とのことだった。ココロソマリである。
家族愛に恵まれたいのりちゃんが、血縁名前のない色種族ソマリと森の神様を超えた絆や愛への想いを膨らませた、全方位に刺さる愛の歌である。
「その瞳に今の私はどんな色に写ってる?」で込められたクソデカ感情が超好きである。MVで見せる切ない表情も好きだが、今回は笑顔が多く、どこか温かさを感じる表情だった。
本当に良い曲で毎回感動するのだが、この曲が持つエネルギーをまだ自分は全て受け止めきれていないとも感じる。きっとこの曲はこの先の生涯、長い付き合いとなる予感がする。

まだ見たことない人はぜひ。ココロソマリ4周年のタイミングで久々に見たら泣いちゃった…。

多くの町民の涙腺を決壊させた後に続く曲は、この宇宙に生まれた全ての生命体が手放しに歓喜する歌、アルペジオだ。
町長はタンバリンを軽快に鳴らし、町民は文句無し過去最大のクラップでリズムに合せる。えっ、なにこれ、楽しすぎる・・・・!!!!こんなアルペジオがあって良いのだろうか!?

「この時よ永遠なれ」の歌い方にアドリブ感というか、本音で言っているニュアンスを感じた。SAツアー神奈川2日目の「僕らは今」で目撃した神話を「作るよ!」のシーンを想起する程だった。マジで永遠に続いて欲しかったな、あの空間。史上最高のアルペジオに立ち会えた奇跡に、心の底から感謝。

そして滋賀公演でアルペジオが披露されたということは、おそらく「旅の途中」が愛知公演ならびに配信で披露されるされることがほぼ決まりとなった。これに立ち会えた町民が埼玉昼公演と合わせてわずか4300名ほどしかいないのは不公平だと思うので、ぜひ何らかの形で多くの人々に触れる機会を作って欲しい。

アドレナリンで蕩けた脳はMCの間もクールダウンすることは無かったが、「次で最後の曲です」と言われて思わず声を上げる。名残惜しいが、最後の曲紹介が始まる。「出会いは奇跡」「みんなで一緒に一つになれたら」と願う町長の思いを乗せたラストの曲はharmony ribbonだ。
「夜明けの虹」をくぐり始まった私達の冒険の終着地は、「虹の雨上がり」へと繋がる。
原曲でもイントロのヴァイオリンが美しいが、今回のアレンジでも当然音が映えていた。
今回のアレンジで、1番はしっとり、2番は音が増えて明るくなったのが印象的だった。どういう意図があったか。サビの歌詞に注目するとわかりやすいだろうか。1番では苦しさがある中で奮起して踏み出す様を、2番はもう振り切って走り出し勢いに乗っている様が読み取れる。これらのシーンをより全面に出した表現がしたかったのではないかと考察した。

最後の声出しでびわ湖ホールにさらなる一体感が生まれ、多くの涙が流れた。ほとんどの町民はharmony ribbonの声出しがはじめてか、CtR以来なのである。感極まって然るべしだろう。


そして公演翌日、町民たちの涙によって琵琶湖の水位は2cm回復したのであった。

演者が見えなくなり、照明が落ちた頃にアンコール、いのりんコールが湧き上がり、やがてびわ湖ホールに響き渡った。
声が出ない観客もいるが、今回ばかりは感情をぐちゃぐちゃにされる曲が続いたので仕方ない。強要するものではない。
だけど、声を出したりクラップをすることにどんな意味があるかをもっと知ってほしいとはいつも思う。ライブ中にするコールは曲やいのりちゃんの力を借りれるが、アンコールだけは観客だけで作り上げる空間なのだから。

アンコールの期待に答えて再登場した町長は、黒板色のパーカーと滋賀公演限定の黄色いバンダナをサイドテールに編み込んでいて、いつもの「いのりまち」らしいラフな雰囲気に引き戻された。バンダナの使い方、最高に可愛いすぎません?滋賀公演でやってくれてホンマありがとうな…

そんな町長がアンコールで歌う曲は、いのりまちという場所にぴったり、追い風になる、町民みんなで歌うことに意味がある曲だという。

そうだ、なんでこんな大事なことを忘れていたのか。Lucky Cloverは、私が生まれて初めて参加したいのりちゃんのワンマンイベント、いのりまち町民集会2018でみんなと一緒に歌った曲ではないか。
当時はファンクラブイベントとはどんなことをするのか全く知らず、ましてやライブに参加したことも10数年以上無かったので、ライブパートが始まった時の戸惑いと緊張感が懐かしい。
当時、ライブ映像でしか観たことがなかったいのりちゃんが目の前にいて、夢を見ているかのごとき可愛さで胸が高鳴っていた。ペンライトは持っていなかったので見様見真似でタオルを夢中になって、彼女へ向かって振っていたことを思い出した。
忘れていた大切なもの、僕ときっと僕と思い出せるから。

当時のツイートはこれしかなかった。もっとアウトプットしろ俺!でも楽しかったんだね。

最初は音が少なく、ゆったりしたテンポで始まった。あまりにも世界観に引き込まれるアレンジだったのでメモも取り損ねていたのだが、いきなり1番サビから始まったのだ。ヤバすぎる。心を完全に持っていかれた。
そしていつもの明るい曲調のLucky Cloverがアコースティックサウンドで奏でられる。いのり町長は歌いながら旅の仲間たちの近くに駆け寄り、一緒にリズムを取っている。尊い。
間奏では旅の仲間を順に紹介していって、最後に「ボーカル、いのり町長!」で拍手が湧いたのすごく良かった。これは埼玉夜では起きなかったムーブだ。これぞライブだ!!これが滋賀公演で起きたことを心から嬉しく思う。
アウトロのタンバリンが可愛すぎるし、一体感のあるクラップも最高!!文句なしで素晴らしいアンコール曲でした!!!

最後のMCのぶっちゃけ感も町民集会ならではという感じで、本当に温かい空間だったなぁと改めて噛みしめる。幸せをたくさん共有できるこの空間がいつまでも続くように、これからも応戦し続けたい。
いのりちゃんが最後帰って行くところで自分が発した「みんな大好きだよ〜」に対して「俺も〜 俺も〜」と男の子町民の真似しながら退場していったところ、めっちゃ笑った。メロフラの公録でウケたから持ちネタにしたな?
そして「以上を持ちまして~」のアナウンス後に拍手湧くのが好き。最高に素敵な舞台を用意してくださった運営スタッフの皆様、本当にありがとうございました!!!



おわりに

その日の晩から感想を書き始めたが、結局1週間以上かかってしまった。おかげでメロフラでも滋賀公演の日と翌日の出来事について、町長から聞く機会があった。
今回は翌日に京都観光を満喫されたようで、滋賀県民としては少し寂しい気持ちにはなった。とはいえ本人も琵琶湖の風に触れられなかったことを心残りにされていたので、きっと次また行きたいと思ってくれているであろう。その時は案内するのでいのりちゃんDM待ってるよ!

さて、今回の町民集会はこれまでのイベントの中で過去最高に備えて臨んだので、過去最高に楽しかった。こんな陳腐な表現しか出来ない自分のボキャが憎いが、最高だったのだから仕方ない。

それにしても、先程も触れたが初めて参加したワンマンイベントが町民集会2018で、もう5年以上前のことである。その時には想像しない未来が待っていた。
まさか滋賀で町民集会が開かれるとは思っていなかったし、アコースティックライブなんてものは存在すら知らなかった。フラワースタンドも存在を認知したのがつい最近だし、こんなに早く自分が主催で出す機会が来るとは思っていなかった。
こんなに楽しい未来へ来れたのは自分が選んで歩いてきたからではあるけど、やはり手を引っ張ってくれたのはいのりちゃんなんですよね。彼女には感謝してもしきれない。

これからも、その日が来るのかわからないが自分が納得するその日まで、彼女に恩返しを続けていこうと思う。

おわり。

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