見出し画像

一級建築士受験ストーリー(製図編)

前回の学科編はこちらです

皆様、新年あけましておめでとうございます
年内に製図編を書いてしまいたかったのですが間に合わずでした…
今年は沢山noteを書いていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

実は製図の授業を以前に受けていた

通常は、学科が合格してから製図試験の授業に進みますが、私は学科試験を1点で落ちた際に少しだけ製図試験の勉強の経験がありました。
試験元からの学科試験の合格発表は9月中旬くらいで、合格が分かってから製図の勉強をしていては十分な勉強時間が取れないために、学校が予想する合格点に近い生徒たちはとりあえず製図に呼ばれます。(ダメでもそこまで製図に通った際の費用は取られない場合がほとんどだと思います)
ただ、学科試験に合格しているのか、いないのか??という思いが邪魔をしていまいち本気になれないので、時間とメンタルを無駄にしないためにも、やっぱり学科は高得点を狙うと良いと思います。
私の場合は、多分受かってない可能性の方が高かったので、本気にはなれなかったし、製図試験に進めたのはそこから3年後のことだったので、1からのスタートとほぼ変わらなかったですね…

力尽きた1回目の製図試験

初めて製図の勉強に進んだのが次男妊娠中で7か月くらいの時だったので、お腹はかなり目立ってきていたし、製図版を抱えながら電車に乗るのも嫌だったのと、長男の一時保育を日曜にすると割高になるため、平日の水曜クラスにして梅田の教室に車で通っていました。

最初はとにかく手書きで図面を描くことに苦労します。
最初の課題が図面のトレースなんですが、私は6-7時間くらいかかっていた気がしますが、作図はほぼCADになっているご時世、みんな最初はそんなもので、とにかく課題をこなしていたら早くなってきます。

1回目の時の課題が「市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅」でした。
私の場合は、もともと意匠設計担当だったこともあり、エスキスにはそこまで苦労しなかったので、全然参考にはならないと思うのですが、エスキスは求められていることを使い勝手がよさそうに、まぁまぁ綺麗に組み立てるパズルだと思っています。
パズルが完成したら、そのパズルと食い違いのない説明を記述して、見やすい図面を描く。ものすごく単純に説明すると以上なんですが、この作業を試験までに課題含めて30回以上はするんですよね…
最初は1回あたり10時間以上かかることもあるし、それを6時間半で出来るように持っていく。これを約3か月でやり切るのはなかなかハードです。
特に模試や本試験は周りの人が記述に取り掛かると焦ったりして、精神的にも色々と辛い試験なんですよねぇ…

私は課題文の取りこぼしが多かったのと、作図がなかなか早くならなかったので、とにかくマーカーを駆使して課題文をチェックし、間仕切り壁はラフで描けるようにしたり、階段とEV、トイレ等のパーツを沢山描いて色んなパターンが出来るように練習していました。
お腹もどんどん大きくなってきていたのですが、2人目の余裕もあり作図の時は殆ど座らずに描いていた気がします。

画像1

本試験は、35週目くらいでほぼ臨月のお腹を抱えて挑みました。
(試験監督の方や周りの方にすごく心配されてました…)
途中までは割と順調だったのですが、緊張もあったのか作図をし始めたあたりから身体がしんどくなってきてしまい、妊婦で暑いので汗もかなり出てきて細かい部分が描き切れず未完で終わるという、何とも残念な残念な結果になりました…

この時の結果は、未完だからランク4だろうなと思っていましたが、意外にもランク2で、体調さえ優れていたら合格していた可能性が高かったと思うと悔やみましたが、結構無茶をしていたので、無事その3週間後くらいに次男が元気に産まれてきてくれたので、まぁ仕方なかったかなと思います。

おチビ2人と2回目の製図試験

2回目の製図試験に挑むため、資格学校からは4月頃から通う製図長期コースを進められましたが、長男2歳次男0歳だったため、やってられるかボケー!と跳ね除け、8月からの短期製図コースを受講しました。
個人的には課題の発表もないのに長期コースに通う意味はあまり無い気がします…

この時は一時保育と主人におチビ2人をお願いして、日曜日の授業に通いました。課題は、長男が幼稚園のプレ、次男を一時保育に預けている週3の午前中(延べ11時間程度)でこなしていました。
この時、生後5ヶ月でも預かってくれる保育園が近くにあり、なによりも日曜日に主人が2人を見てくれたことが有り難いです。

この時の課題が「子ども・子育て支援センター」という子育て中の私には何ともタイムリーで多少使い勝手が分かる施設だったのと、2回目の余裕もあり大変だったけど割と楽しんで勉強できました。課題も1回目の勉強の際よりも数をこなしていたし、この時は本当に頑張ったと自分でも思います。

ただ、本試験でちょっとやらかしてしまい…
風通しの良い屋上庭園を作るよう求められていたので、上階をコの字にしてして中庭にしてしまい、構造的に不利なプランを作ってしまったので(建物の一部がワンスパンしかなく、同じことをした受験者は2chでワンスパンマンと言われていたw)
講師には、不合格の可能性が高いと言われていました。

画像2

その他にもやらかしたと思われるミスは多数
来年も頑張らないとなぁ…
角番(製図試験3回目で後がないことをいう)か…
とほぼ諦めていたのですが
合格者一覧には私の名前がありました!

私なりの解釈ですが、自分が作ったプランを記述でちゃんと説明は出来ていたし、試験元がここは出来ていてほしいと思うポイント(このときは保育施設の動線と環境配慮に重点を置いていたんじゃないかと勝手に予測しています)はクリア出来ていたからではないかと思います。

製図試験は、確実に合格していると思われる人が落ちたり、私みたいに多分ダメだと思われる人が合格するというようなことが頻繁にある…もしかしたら合格をくじ引きで決めてるのでは?と思うくらい(それは無いだろうけど)謎の試験です。
根詰めて頑張っていたけどずっと受からず、少し気を抜いたら合格した。という話もよく聞きます。

なので、色々と考えすぎず真面目に授業に出て課題を提出し、本試験も特にポイントを外したり、大きなミスをしなければ合格するのではないかと思います。あくまでもイチ合格者の、個人的な意見ですが。

私が製図試験で頑張ったポイントまとめ

だらだらと書いてしましいましたが、私が製図試験での勉強で特に気にしていた点、頑張った点をまとめます。

・課題文はとにかく読んで独自のマーキング方法を
意外と取りこぼししてることが多いので、本当であれば2回読みたいところですがタイムロスになるので、1回で頭の中で整理しながらよく読むとよいと思います。
マーキングの仕方は多くの方が教示してくださってますがヒヅメさんの解説が分かりやすいと思います。
色々な方のマーキング方法を見て、自分がいちばんやり易い方法を見つけると良いです。

・エスキスはそこを利用する人の立場になって考える
私はエスキスはそこまで苦労しなかったので、ロジックで説明するという事はできないのですが、私がいつも大切にしていたのは、とにかく利用者の立場になって考えることです。その次に、そこで働くスタッフ。
私が業務で設計をする際はそこを大事にしているので、試験でもそこに重点をおいてプランを作成していました。そこを、図面を食い違うことなく記述でもアピール出来たら更に良いと思います。もちろん法令遵守は必須です。

・設備(空調方式)は内容を理解をして説明できるようにする
学校では記述の練習もかなりするので、設備(特に空調方式)については暗記をしてベタな回答をしてしまいがちですが、特徴はちゃんと調べて一度自分で納得してから記述するようにした方が回答の質が良くなります。
自分で調べたり、設備関係の知り合いに教えてもらうのも良いでしょう。
あと、普段から建築雑誌等のエコについての記事やトレンドに注意して読むと良いです。
最近は、新しいエコの設備の提案や、コンセプトルームを作るよう要求されたりして、最前で実務をしていないと反応できないような試験になっているので、普段から雑誌や建築系のニュースで最先端のコンテンツをチェックする習慣をつけておくと良いと思います。

・独自の作図方法を研究し、いろんなパーツの練習をする
作図方法については学校でも教えてくれますが、私はセオリー通りのやり方だと時間がかかってしまうため、自分なりに早く描ける方法を研究していました。
作図方法も、多くの方が教示しているので自分がいちばん描きやすいと思うやり方を見つけると良いと思います。

私はこの方の、通り芯を描かないやり方に似ていました。
開口部が煩わしかったので、壁を書く前に開口部の下書きをしていました。
あと、前述でも書きましたが、間仕切り壁くらいはフリーハンドで描いたり階段、EV、トイレの各階に出てくるパーツはいろんなパターンを練習して1秒でも早く描けるように努めていました。

妊娠、育児をしながらの受験に思う事

大変な時期に…と思われがちですが、私と同じ境遇の方、結構います。
中には、学科試験合格→出産→すぐに製図試験勉強→本試験
なんていう猛者も…!!
(産後は大切にした方が良いのでお勧めはしません)

ただ、これまでは学科試験に合格したら、学科試験免除の有効期間が3年だったので、何が何でも受験しないと1回無駄になる制度でしたが、昨年から5年間の有効期間のなかで、学科試験を免除できる回数が2回になったので、どうしても製図が受験できない年があっても、3回の製図試験の受験のチャンスが与えられるようになったのです。
この制度があったら、私も臨月では受験しなかったなと思うと、もう少し早く制度適用してほしかった…と思いますが、いろんな方のニーズで試験元も考慮してくれたのでしょう。

困難な状況下におかれている受験生が多い試験です。
この制度で、受験しやすい方も増えたのではないかと思います。
ちなみに、子育てしながらの受験は大変だったでしょ?と良く言われますが、激務で取得する方もいらっしゃるこの試験で、子どもの預け先があり、預けられる時間にしっかり勉強できたのは、割と快適な環境下だったと思います。

画像3

家族や周囲のサポートに感謝

一級建築士が取得できたことは、自分の頑張りはもちろんありますが、家族(私の場合は主人)の支えが大きかったです。
この試験は時間の捻出が勝負なところがあるので、普段から激務な方が多い上にさらに追い打ちをかけることになるのですが、ご家族が受験されるという方は是非とも支えになってあげてください。

以前Twitterで「主人の受験を支えるのはもう無理」という内容のTweetが少し話題になっていましたが、妻の立場からするとその大変さは痛いほどよくわかるので、とても複雑なんですが…
(平日も休日もワンオペになるだろうし限界ですよね)
家族のサポートが無いと精神的にもキツい試験なのは確かなのです。

そして、受験される方は支えてくださる方に日々感謝しましょう。
ちなみに私は主人によく美味しいごはんを作ってもらって、洗濯までしてもらうポンコツ妻なので、感謝を態度で表せているかは自信なしです。
まぁ、いちばんは色々な苦労がまだ少ない若いうちの取得を本当にお勧めします。

画像4

以上、こんな内容の記事でも参考にしていただけたら幸いです。
長文読んで下さりありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?