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『働き方改革のイノベーション』(1−3)働き方改革を分子から「引いて考える」

 「働き方改革」を引いて考えると、その使命は「自分が楽をして成果を上げること」になる。働く時間を減らせば楽になるので「働かない改革」と呼ぶ人もいる。『仕事を減らす』(サンマーク出版)でも紹介したが、引いて考える(頭のいい人が無意識に使う思考法)とは、そのことの使命を明らかにすることだ。

 政府や企業側からすると、労働生産性を上げることが働き方改革という建前になっている。基本的に労働生産性を個人で考えると、成果を労働時間で割ったものと考えればいい。したがって、定時帰社、残業制限、有給休暇取得と分母の時間を減らすことを考えるアプローチと、分子の成果を上げることを考えるアプローチがある。

 2023年までの働き方改革は企業側のものだった。つまり、法的な制約を果たすため人事部が主体となり、定時帰社、残業制限、有給休暇取得を徹底し、罰金を支払わないようにするためのものだった。2024年4月からは建設、医療、流通なども働き方改革の対象になる。そうなると、今までのサービス水準が保てないケースがいたるところに現れ、働き方改革は分母を減らすだけではダメだという認識から企業間の競争が起こる。やはり、消費者は少しでもサービスがいいところを選び、労働者は働き方改革が確実に行われている会社を選ぶことになる。

 働き方改革を引いて考えると、分母の労働時間を減らすアプローチだけではなく、成果を上げることになる。

「もっとも成果が上がる方法が、もっとも効率がいい」

というこアウフヘーベン状態が、働き方改革の使命であり、本質なのだろう。

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