グローバルマーケティングの成功例や失敗例が知りたいというニードをもっていて、たまにマーケティングの本を手にとってみることがある。内容はドメスティックマーケティングしか解説されていなかった。日本企業のグローバルマーケティングは受身形のB2B企業が多いこと、海外赴任者任せであることから体系だったシステムになっていない。そもそも外資系にあって日本企業にない三軸組織の経営がベースになっていないと、グローバルマーケティングにならないので、組織構造に問題があることは明明白白なのだが、その点も明らかにされていない。

　本書でもっと強調すべきなのは、マーケティング組織と商品開発組織（イノベーション）が分断されていないことが成長の源泉になるという点だろう。USJのV字回復もそこが原動力になっている。商品とブランドの関係も整理しながら、グローバルとドメスティックの関係まで深堀されていたら、さらに面白かったと思う。

　人口減少から今後ドメスティックビジネスが難しくなるということから、マーケティング的思考法がますます重要になることだけは確かだ。