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『働き方改革のイノベーション』(1−6)イノベーションを生み出す3つのプロセス

 Creative Organized Technologyでは、イノベーションを生み出すためのフローチャートがある。『国産ロケットの父 糸川英夫のイノベーション』(日経BP)のP174、175に図2「創造性組織工学のフローチャート」として全体像はオープンになっている。

UchuBiz連載より


 イノベーションとして洗濯機や掃除機などの家電が生まれた理由は、当時は主婦の仕事とされていた洗濯や掃除の時間を減らすためのものだったのだ。つまり、自分のやっている仕事を減らすものが、イノベーションということになる。ITの仕組みがないころは、給料計算もそろばんを使っていたし、経理も仕訳伝票を切り、総勘定元帳に記入していた。しかし今では、パソコンに入力する手間すらなくなり、スマホで領収書の写真を撮ると自動的に仕訳までしれくれる。

 しかし、現在の働き方改革を洗濯や掃除でたとえると、従来の「手洗い」という方法の延長線上で、残業を減らしたり、有給、育児休暇を取得に留まっている。このことは労働参加率(女性、高齢者含む)や労働力率(30歳〜44歳女性では2025年では77.3%、2030年では80.6%、2035年では82.6%、2040年では84.2%にもなる)が先進国の中ですでにトップクラスの日本において致命的なことだ。

 外国人労働者が増えたとしても、業種や仕事が限られるとすると、人手不足を解消する手段は他社を圧倒する高給を提示するしかないと経済学者のラリー・サマーズは言う。(誰かが人手不足だと言うとき、その本当に意味するところはその人が支払うつもりのある賃金では人手が不足するということ

 結論として、従来の仕事の延長線上での働き方改革はすぐに限界に達するだろう。必要なのは掃除機や洗濯機のようなイノベーションだ。イノベーションとは機械化やIT化を指すだけでなく、仕組みを変えたり、新しいシステムをビルトインすることでもある。

 働き方改革でやらなければならないことは、経営者が他社を圧倒する高給を支払うか、働く側がイノベーションを生み出すか、この2つの道しかない。後者は次の3つの思考法で解決する。

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Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。