珠洲市長の「倒壊家屋撤去まで12年」という不安に誠意をもって答える必要がある。

 2月2日付けの共同通信は「『倒壊家屋撤去に12年』珠洲市長、国に支援訴え」の見出しで、こういう記事を書いている。
「石川県珠洲市の泉谷満寿裕市長は2日、オンライン出席した能登半島地震の県災害対策本部の会合で『倒壊家屋の解体撤去を全て終えるのに12年ほどかかる』と述べた。人口流出を危惧しているとして『不可能を可能にするのが政治。できれば2年で終えられないか』と、国を挙げての財政援助や人的支援を求めた」

 そこで僕は「記事を書いた共同通信は、記事を書きっぱなしでなく、珠洲市長の発言に対して政府に取材を申し込む必要があります。国会議員としてこちらからもどうなっているのか確認をするつもりです。何とか解決策を見つけ手を差し伸べないといけない」とX(Twitter)に記した。新聞報道は、その日暮らしと揶揄されても弁解できない記事が多い。ソリューションジャーナリズムの意識が希薄なのだ。


 珠洲市では2023年5月5日に震度6強の地震に見舞われている。その際に50棟が倒壊したが撤去に1カ月かかっている。今回の能登地震では1万940棟が倒壊(全壊+半壊)した。単純に計算すると、月50棟なら1年で✖️12🟰600棟になる。12年なら7200棟にしかならないが、人口1万1700人なので、1万640棟というのは納屋なども含まれての数字と考えられる。
 珠洲市長は呆然としてただ困惑するばかりなのだろう。このままでは復興もままならない深刻な事態である。
 共同通信がきちんとソリューションを示す記事をつくらないなら、国会議員として何とか手を差し伸べなければならない。政府の対応を確認するため、災害廃棄物処理を管掌する環境省の役人に説明を求めた。
 2月6日に馳浩知事が会見を開き災害廃棄物処理の基本方針を説明していることがわかった。その工程表をここに示しておきます。

 全体工程として令和7年度末(2026年3月末)の処理完了を目標とすることが判明した。いまから2年と少しである。本当に間に合うのか、何が課題なのか、費用負担はどうなるのか?

 環境省によれば、2016年4月に発生した熊本地震の際に発生した災害廃棄物の量は311万トンで、その処理期間は約2年であった。
今回の地震で想定される廃棄物の量は240万トンと熊本地震と似た規模であり、それならば処理期間も同様で完了できるはず、との判断が背景にあるようだ。

 しかし熊本と違い今回の被災地は半島の先端部でアクセスが悪く、搬出ルートの確保が大きな課題である。県当局は、陸路だけではなく海路も活用して域外搬出を行う考えだが、膨大な量の廃棄物を運ぶキャパシティが本当に確保できるのか、現時点では不透明といえる。
 また家屋を解体撤去する費用負担について、馳知事は全額公費で行う方針を示した。ただ公費といってもどこが負担するのか、地元自治体が賄える規模ではない。
 じつは、災害時の廃棄物処理については事業費の90%を国が補助する制度が存在する。更に今回のような大きな災害の場合には補助率が97.5%にアップし、地元自治体の負担率は2.5%となる。その2.5%でも量が莫大なため、政府側は更なる負担軽減を検討するとしている。検討結果は今後,明らかにしたい。

 環境省側の説明は以上だ。
 珠洲市長が訴えた「撤去完了まで12年間」から事態は進みつつあるが、果たして県が目標とする再来年3月までに本当に処理が完了するのか、定期的に状況を追っていくつもりである。(了)

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