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小さな奇跡

ナレーター松浦マイ。低く伸びやかな声と踏み込んだ表現力で聴く人の心をわしづかみにする。
そんな彼女の歩みと小さな奇跡の物語。


【グッバイ!群馬】
まぶしいスポットライトの中、刈り上げ頭の女子高生たちが歓声をあげた。バスケットボール全国大会出場を勝ち取ったのだ。だが遠くから見つめるだけで、松浦は輝きの輪にはいなかった。
バリバリの体育会。ハードにバスケに明け暮れる日々。ある日突然、足を故障して、試合に出ることは叶わなくなった。
卒業後、当時付き合っていた氣志團風の彼とは結婚準備をしていた。
しかし心の中では悶々としていた。何かを成し遂げられなかった思い。
マンネリな日常。地元に埋もれていく圧迫感。このままでいいのか?
青春と恋愛、思い出。全てを捨てて上京した。

【クラブで踊り疲れた朝】
上京後はインテリアショップで働いた。思いっきり働いて、夜はクラブで朝まで騒ぐ。稼いだお金はほとんどを遊びに費やしていた。いつものように渋谷のクラブで朝まで騒ぎ、始発までギャルとラーメンをすすっていた。
ギャル「わたしー、今度ー自分のネイルの店をオープンする事になったんだよねー」
 「え!?すごいおめでとう!」
ギャル「職場には内緒でバイトとかして貯めたんだー、夢だったからね」
ラーメンをずるずるすすっている彼女が急に眩しく見えた。
(夢。。。?そーいえば私何しに東京きたんだっけ。)
私も自分にしかできない何かがあるんじゃない?そういえば声を褒められたことがあったっけ。そんな些細な思い付きだった。それからはラジオ、お芝居、声優体験等、様々なワークショップに参加した。
「ワークショップ参加にしてたら、いつか仕事につながるかも。地道に頑張ればいつか大きな仕事につながるはず!」しかし繋がったのは、タダ同然の仕事が2,3ヶ月に一本ある程度だった。
そんなある日友人に誘われてスクールバーズの説明会に参加。売れるための17ヶ条に感動し帰り道に「絶対ナレーターになろう」と決意した。
バーズで学ぶ場がら一番衝撃を受けたのは技術面だけでなく「在り方」つまりブランディングを考えるという事だった。

【ブランディングの覚悟】
技術では長年やってる人には絶対勝てない。
悩んだ末、途中1年間の休学をした。売れるために、できることをやり切るためだ。
目標を立て、発声、滑舌の基礎からナレーターの研究も怠らなかった。番組のテロップを書き起こしては、関わってるDやPにDMを送ったり、制作会社に飛び込み営業をした。カラーのある服を買い、クローゼットの地味な服、黒い服は全て捨てた。
それでも、漠然と何かもう一押しが足りない、そう感じていた。
”運は勢いにある”その言葉が頭の中でこだました。
「よし、引越しだ!」
麻布十番に引っ越し。きっと環境を変える決断は大きなエネルギーになるはずだから。
そんな行動が、いつの間にかナレーターとして地力をつけることになり、表現のパワーを得ていたのかもしれない。

【初現場で降りた神】
引越しからわずか数日後。
「松浦さん、候補出してた番組決定しましたよ!」
畠山Mgrからの電話。なんとあっさり初仕事となる特番のナレーションが決定したのだ。
フジテレビ内での収録。憧れていた場所に今仕事で来ている。なんとも言えない緊張と興奮。
D「かなり早いんでもっとゆっくりお願いします。」
「すいません、、、」
D「ここ、カットにナレーションちゃんと合わせほしいんですけど。」
「すいません、、、」
収録は難航した。作業を止める度に罪悪感とプレッシャーが重くのしかかる。
D「また早くなってまーす」
心が折れそうだった。
演出「ごめん、会議が長引いて遅れた、もう終わった?」
D「もうすぐ終わるところです」
演出「ちょっと聞かせて」
演出のチェックが始まる。ブースの中で待つ数分が数時間に感じた。
演出「うーん、なんか普通だなー。よし、最初から録り直そう。」
D「え!?」
演出「これだと全然弱い、サンプル聞いた感じだとこのナレーターさんはもっと出来るよ!色々トライしてみよう」
不満を言いたそうなディレクターの言葉を遮ってトークバックが繋がる。
演出「映像にもっとパンチが欲しいんだ。今までに聞いた事ないようなナレーションが聞きたい。できる?」
咄嗟の要求に頭がパニック。(違う!ここで前に出ないでどうするの!!)
実はかねてから練習していた読みがある。あまりにもクセが強くやっていいのか躊躇していた。
声優ナレーター若本規夫さんの読みだ。(えい!飛び込め!)
「はい!出来ます!」
キューランプが赤く光る
演出「面白い。最高じゃん!それで行こう!!」
その言葉で一気に体が軽くなった。そこからは時間がかかったてたのが、嘘のようにあっという間に終わった。
演出「お疲れ様、おかげ番組にフックが出来た!ありがとう」
外はすっかり真っ暗、時刻は24時を過ぎていた。
1時間番組で5時間以上も収録をしていた。

【要求を超えて出陣】

初現場での仕事は飛び込みが評価された。しかしデビュー以降、単発の仕事を数回しただけであっという間に1年が過ぎた。たまに候補で声が掛かってはバラシになる。そんな一喜一憂する日々に心はすっかり疲れ果てていた。自分にしかできない事なんてただの思い上がりだったんじゃないのか。私はただの凡人。連絡が来るたびにそんな現実を突き付けられているようだった。
その時一本の電話がなる。狩野Mgrからだ。

狩野「新しく朝の情報番組が始まるんだけど候補出すから」
「え、朝!?私の声は朝に合わなくないですか?」
狩野「合わせに行ってどうすんの?そんなんで勝てない!ほとんど朝をイメージしやすい候補を出してくるはず。だから私は別のイメージを提案したい。逆をいくのよ!」
その数日後。狩野Mgrの狙いが見事に的中した。だがまだ一次のサンプル選考だ。

絶対にこのチャンスを逃さない。技術や正攻法で勝てる訳がない。対策はとにかく”派手に色付ける”事。
それは読みに関してはもちろん。ただそれだけではない。
夜の女感も演出した。紫のコートに髪にはインナーカラーで紫を入れ、ストーン盛り盛りネイル。
銀座でバレンティノのバッグを購入し自分を盛りげる。厳ついスタッズ(びょう)が今の攻めてる自分にぴったりな気がした。

【オーディション】
「ウーロン茶を頼むとウーロンハイが来るオンナ、松浦マイです」
演出「でしょうね!」爆笑
とにかくド頭MAX!
朝の番組という事は意識せずバラエティの読みに振り切って勝負をかけた。勝つには一点突破で相手の番組の対してのイメージを超える事。それしか道はない。
数日後
狩野「決まったよ!おめでとう!」
いろんな感情が一気に込み上げきた。

>番組に入ってみての感想はどうでしょう?

「日テレDayDay.の現場は、すごく和気あいあいとしてます。スタッフの皆さんも忙しくても、すごく和やかなで笑顔が多い印象です。レギュラー取ったからって、毎日読んでれば自動的に上手くなるというわけでもないので、また基礎に戻って鍛錬していこうと思ってます。「もっと上手くなりたい」という欲は昔より強くなりました。DayDay.をずっと盛り上げていける頼られるナレーターになりたいですね。


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