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2021年猪鹿蝶応募「総評」

応募のサンプルを全て聴き終わりました。頭から最後まで飛ばすことなく。一人一人にコメントを書くために繰り返し聴くサンプルもありました。
初心者からプロまで。粗削りな作りから工夫を凝らしたものまで。たくさんの感性に出会えました。応募総数は伏せますが、今回は応募データとそれぞれの傾向をお話ししたいと思います。
(マネージャー義村 透)

応募者のキャリア

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プロ・セミプロの分類は厳密なものではありません。プロの分類はOAのレギュラーまたは単発で10本以上こなしている人としました。数多くこなしていても、ガヤ、エキストラのものはカウントしていません。
それぞれ約1/3に分かれたのは意外でした。プロの応募が多く、年々レベルが上がっていることを感じました。猪鹿蝶はナレーションで一番の激戦区になっています。ただプロでも「あれれっ」という方や未経験でもキラッと光る方もたくさんいました。

全体としての評価
全体としてお伝えしたいことは「テレビ番組をもっと研究して欲しい」ということです。年々レベルが高くなっていますが、現代の番組の作り方に沿ったサンプルが少ないこと。研究している方は一定以上のクオリティを提出されていました。

またナレーションを判断する基準としては、まずは「地声」で「ナチュラル」な喋りです。
簡単ではありませんが、ストレートなナレーションができるとより良いです。加えて、バラエティの喋り方もできると強みになります。

後半は個々の出身ジャンルごとの評価についてお話しします。

応募者の出身分類

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声優:37% アナウンサー:12% MC:9.6% 俳優:15.9%
DJ:3.8% ナレーター:16.3% その他:5.3%

分類は厳密なものではありません。例えば声優を目指したが俳優として舞台に立つ活動をした後、MCとして活躍しているなど。複合的に活躍されている方が多いからです。

それでもやはり声優出身からの応募が多く、最初からナレーターを目指す方はまだ少ないと言えるでしょう。ナレーター応募なのですが。それはナレーター専門の教育機関がまだ少ないからと考えています。アナウンサーは局の出身者です。ですのでここは全員プロとしてカウントしています。
俳優からの応募も多かったです。声楽系でミュージカルなどの舞台を踏んでいる方は俳優にカウントしました。同じ話す仕事の中なのですが、DJ出身の方は意外に少なく、ナレーションに意識が向いている方が少ないのが残念でした。

出身ジャンルごとの傾向
「声優」の傾向。
とにかくキャラを詰め込みすぎのサンプルが多いです。ナレーションのサンプルなので、セリフは少し入れる程度にとどめるのがいいです。女性の可愛らしさの表現も皆同じように聴こえがちです。例えば高いキャラ声が明るいと思っている方がほとんどです。量産型の表現にならないように。特に多いのがネコのキャラ。TV番組でもネコちゃん番組が多いから仕方ないかとも考えますが。
キャラ声の表現は、セリフであったり15秒CMならまだのいいですが、長い尺では聴きづらいものとなります。また数十人聴くと声のクリアさやスムーズな滑舌の差がはっきり出てきます。基礎力は大事です。

「アナウンサー」「MC」の傾向。
「癒しの声」「寄りそう読み」のコピーと共に、読むのは紀行ものが多いです。これはMCの方とも共通する部分です。アナウンス教育や朗読教育の影響でしょうが、単調な音の間隔でゆったり読みがち。もちろん全ての教育が悪いとまでは言いませんが、これを成り立たせるのは実に難しい表現です。かなりの力量がないと成り立ちません。依然として古い読みが教育されているだろうことが想像されます。
ナレーションではもっと緩急をつけて読むこと。スピード感も大事です。また感情をべったり込めすぎると、センスを感じられなくなります。

「宅録」の傾向。こちらは分類していませんが。
録音クオリティの完成度の差が大きい。マイクを吹いたり、録音レベルが低すぎたりと技術不足。宅録が手軽になっているからでしょうか。主たる仕事がwebでのCMやVP中心だからか、こじんまりとまとまっているものが多かったです。ストレートかウィスパーがほとんどで、表現の幅がもっと欲しいところ。もっと多様な表現にチャレンジして欲しいです。

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