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仕事力アップ!地方公務員が身につけたいこと:「研修」は目線を変えてスキルアップするための大きなチャンス

    地方公務員になると、さまざまな研修の機会があります。初任者研修や管理職研修など、一定の経験や役職にある職員が自動的に対象となるものもあれば、配属された部署に関連する専門的知識を学ぶ研修、あるいは長期にわたって大や研修機関などに派遣されて学びを深める研修まで、多種多様です。私も地方公務員時代は、ほぼ毎年、何らかの研修に行っていたと記憶しています。

    私にとって大きな機会となった研修は、入庁4年目に大学院へ派遣されたことです。20代半ばの年齢で体力があり、大学までの学びの経験を忘れていなかったこと、そして3年間の社会人経験で多少のプロ意識と仕事に向き合う姿勢ができてきたこと、もともと学ぶのが好きだったことなど、いろいろな好条件が重なって、貴重な機会となりました。そして、大学院が創立当初であり驚愕するほど素晴らしい先生方に出会えたこと、県内の自治体から志を共にする地方公務員の友人に恵まれたことなど、その後の人生を変えるほどの経験となりました。すべての地方公務員にそうした機会があるわけではないのですが、研修はそうした可能性を秘めています。

    ただ、一口に研修と言っても、仕事にすぐに役立つものばかりではありません。しかも、ほとんどの研修は仕事の合間、一時的に仕事を離れて行くタイプのものなので、仕事から解放されて気分転換のような形になりがちです。そして、研修を終えればすぐに仕事に戻るので、せっかく研修で学んだこともいつの間にか忘却の彼方へ・・・ということになってしまいます。これでは研修の意味が果たしてあるのか、考えさせられてしまいます。

    私は地方公務員として研修を受けてきた経験と、大学教員として研修講師をしてきた経験の両方がありますが、確かに研修で学ぶことが目の前の仕事に直結するケースはほとんどないように感じました。しかし、研修で得られるものは間違いなく地方公務員に必要なスキルであり、それを仕事から得る機会が限られるものだと思っています。つまり、研修で得られるのは、地方自治体を広い視野で見る目線と、深く捉えるスキルなのです。

   例えば、私は2年目の若手職員向けの研修で、市の経済規模、つまりGDPについて説明しました。これは、おそらく経済・産業部門の職員でも意識することはほとんどないでしょう。しかし、経済は地域の重要な基盤であり、人口減少対策にも地域活性化にも関わるものです。したがって、地域のGDPをどう増やしていくのかは、経済規模産業部門の職員だけでなく地域に関わるほぼすべての職員が意識すべきものだと思います。研修は、このように知っておくと実は仕事に非常に役に立つスキルを得る大きなチャンスだと思います。

    「リスキリング」が注目され、研修の意味も変化しつつあります。しかし、リスキリングは自ら講座を受講したり資格を取ったりと、既存の研修とは別の主体的な取り組みを指すことが多いようです。それも大切だとは思いますが、まずは既存の研修を見つめ直し、目線を変えてスキルアップする大きなチャンスであることを確認していただきたいと思います。

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