水面インターフェイス


※このページは2007年制作当時のサイトのページをそのまま移植した内容です。

2008
水、水槽(450x300x300)、ウェブカメラ、ライト、液晶ディスプレイ、Mac

制作意図

水という、ぬめっとした媒介の中に、人とコンピューターとの接触点が溶け合う界面を作り出す事を目指した。

構造

・机に上向きに置かれた液晶ディスプレイ

・ディスプレイの上に置かれた水槽
・水槽の水面を斜め下方から撮影するカメラ
・水面下に現れた指を照らすライト

以上4要素から構成される。

水槽に張られた水面を、斜め下方のウェブカメラから撮影する。
このとき、水面下では全反射を起こすので、指が水中に侵入しているときにだけ、カメラから指が見えることになる。

指の現れた座標をトラッキングする事によって、カーソル座標とクリックを検出している。

また、斜め方向から水面を撮影することによる座標の歪みは、映像にアフィン変換を加える事で補正している。

制作後記

マウスによる操作を前提としている小さなボタンのクリック等、細やかな操作は苦手である。
一方で、ウィンドウの移動やスクロールバーの移動等、ドラッグ操作に関しては、すこぶる気持ち良い操作性が実現した。
これは、水面に指を滑らせる動作と、画面上に表示されたオブジェクトの移動の対応関係が、 水に浮かんだ物質を指で押さえながら水面を滑らせる軽やかな動作のアナロジーになっている為であると考える。

このインターフェイスを制作したことで、画面上のx-y座標に配置されたボタンを、カーソルによってクリックするという、機械装置のコントロールパネルを模倣した従来の操作モデルとは異なる、 オブジェクトに対して運動エネルギーを与える事によって、コンピュータ内に演算の状況を構成するような、流動的なインターフェイスの可能性を感じた。 また、このシステムでは、xy座標だけではなく、水面に挿し込まれた指の深さも検出できるので、三次元インターフェイスとしての使用も可能である。

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