マガジンのカバー画像

日々一切過ぎゆく

42
希望を抱いたり、絶望したり、はたまた気づけば終わる日もあったりしますが、そんな日々で感じたことを書いています。
運営しているクリエイター

2020年1月の記事一覧

あの頃の友情に賞賛を。友のこれからの幸に祈りを。

数年前のその日、僕は打ち合わせのために梅田でスタッフを待っていた。 彼は遅れるときは必ず連絡をしてくる。少し心配になりながら液晶画面を操作して電話をかける。呼び出し音が鳴ったから電源は入ってるのかと少し安心しつつ、応答を待つ。「今、西梅田にいます。ズボンのチャックがはち切れて、ボタンがヒルトン前あたりでどこかに飛んでいきました…」 大阪でも一二を争う大通り四ツ橋筋に面する大きなショーウインドウ。そこには有名ブランドの商品が並び、自分の生活との乖離に笑ってしまいそうになる。そ

綿毛のように未来に向かって飛び立とう

8年前、どんな景色を見ていたのだろう 最寄駅の二駅前の駅名がアナウンスが聞こえる。睡魔に負けて意識を失っていた僕はゆっくりと目を開く。 ぼやけた視界に振袖で着飾った女性たちの姿が映った。いつもより少し気持ちが高揚している彼女たちの笑い声が車内に響く。 「あ、今日って成人式か。あれからもう8年もたったのか。」 振袖の女性たちを見て、瞬時にそう思う程度には僕もおじさんになったのだろう。まだまだボーッとする頭でそんなことを考えつつ改札を出た。 「8年前って何を考えていたんだ

言の葉の中であなたを照らす文を書こう

案内役がいないと迷子になった 何度もキーボードを叩いては文字を打ち込む。その後、"delete"のキーを叩く。無情にも文章は一瞬にして消えていく。「どうせ消すらなら最初から書かなければいいのに」と誰かが僕に語りかけているようにすら感じる。 「あなたの目指すところは南東だから、あっちに3km進みなさい」と教えてくれるような案内役は僕にはいない。僕はライターや文筆家ではないから案内役なんて存在しない。案内役がいない僕は青々と生い茂る言の葉の中で迷子になった。 とても遠くに見え

ある一通の手紙から始まった物語

2019年は喪失や辛さや苦しさから始まった1年だった。そんな中でnoteやTwitterを本格的に始めて、これまで以上に書くことが増えた。 これから見たい世界の解像度もグッと上がった。書くことについて考えることも増えた。小説も書き始めてみた。書くことは僕に素敵なきっかけをたくさんくれた。でも、それ以上に僕にとっては書くことは回復の時間だった。 ***** 10月ごろ、僕は喪失から立ち直ったつもりでいた。もう何ヶ月もたつし、前向きになったと思っていた。「立ち直らないと。前