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日々一切過ぎゆく

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希望を抱いたり、絶望したり、はたまた気づけば終わる日もあったりしますが、そんな日々で感じたことを書いています。
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2020年4月の記事一覧

「乾杯」と言える頃に、また会いましょう

カウンターには人が溢れている。部下に自分語りをするサラリーマン、ワイドショーで仕入れたネタで盛り上がる初老の男性、友達と彼氏の愚痴を言い合う女性たち。 それを見ながら酒を飲む僕。いつもの光景だった。ありふれた日常の一部分でしかなかった。ありふれた日常は、どこか遠くへ行ってしまった。 頼むから帰ってきてくれないか?いや出て行った妻に懇願する離婚寸前の夫みたいだけど、本気で言ってるんだよ。 ***** フグが上下反転したまま、水槽の底に沈んでいる。エラは動いているからかろ

未来をつくるのはヒーローじゃなくて

おとんの電話で地震を知った 僕はまだ19歳だった。1年の浪人生活を終えて、無事に進路も決まった。一方で受験勉強から解放されて、生活に張り合いをなくしてしまっていた。ベッドに寝転がったまま、本や漫画を手に取る。ぱらぱらとめくってみるものの読む気にもならず、また天井を見つめる。天井はいつ見ても少し日焼けた白で変わらないのにまた見つめる。 手持ち無沙汰だった。すると、携帯電話が鳴った。こんな真昼間に電話をかけてくるなんて、暇なやつも世の中にはいるもんだと思いつつ携帯電話の画面を見

生み、育ててくれた、あなたたちへ。

人見知りで、新しい環境に極度に弱く、やりたいことはたくさんあるのに中途半端で満足してしまうこんな僕ですが28歳にもなり思うところがあるのです。 幼い頃、あなたたちの大変さなど露知らずただただ不満を覚えていました。家に仕事のストレスを持ち込むこと、あなたたちは仕事で忙しく姉たちに比べて自分だけ日々の些細な思い出が少ないことにやるせなさのようなものを覚えていました。 ***** 法人を作り、人を雇い、責任に押しつぶされ、事業を失敗させた今ようやくわかりました。いかに自分が守