夢とか希望とか未来とかはどこかに消えて
161.3
尖っていない鉛筆で書かれている。その数字は書いたというより、木の表面をえぐったと表現したほうがいいように思える。立ったままの姿勢で柱に刻んだからだろうか、その数字はとても不恰好だ。普段はそんなところに、そんな姿勢で文字を書くことなんてないのだから無理もない。
たくさんの数字がこの柱には刻まれている。
158.8
152.2
149.1
161.3と似たような数字がいくつも刻まれている。柱の下の方に目をやると、上の方の文字と比べてほんの少しだけ薄くなっている