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日々一切過ぎゆく

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希望を抱いたり、絶望したり、はたまた気づけば終わる日もあったりしますが、そんな日々で感じたことを書いています。
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#未来

夢とか希望とか未来とかはどこかに消えて

161.3 尖っていない鉛筆で書かれている。その数字は書いたというより、木の表面をえぐったと表現したほうがいいように思える。立ったままの姿勢で柱に刻んだからだろうか、その数字はとても不恰好だ。普段はそんなところに、そんな姿勢で文字を書くことなんてないのだから無理もない。 たくさんの数字がこの柱には刻まれている。 158.8 152.2 149.1 161.3と似たような数字がいくつも刻まれている。柱の下の方に目をやると、上の方の文字と比べてほんの少しだけ薄くなっている

未来をつくるのはヒーローじゃなくて

おとんの電話で地震を知った 僕はまだ19歳だった。1年の浪人生活を終えて、無事に進路も決まった。一方で受験勉強から解放されて、生活に張り合いをなくしてしまっていた。ベッドに寝転がったまま、本や漫画を手に取る。ぱらぱらとめくってみるものの読む気にもならず、また天井を見つめる。天井はいつ見ても少し日焼けた白で変わらないのにまた見つめる。 手持ち無沙汰だった。すると、携帯電話が鳴った。こんな真昼間に電話をかけてくるなんて、暇なやつも世の中にはいるもんだと思いつつ携帯電話の画面を見