社不院生

己の運命のつたなさに泣け

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あいちトリエンナーレが示すアートの可能性、および数値化への抵抗

はじめに  10月11日、あいちトリエンナーレに行ってきた。  表現の不自由展が目当てだったが、ニュースにもなっているように抽選制で、しかも全く当たる気配がなかったので、名古屋に向かう新幹線の中ですでに不自由展以外の展示を楽しもうと心に決めていた。  日帰りで時間も限られており、結局鑑賞できたのは愛知芸術文化センターの10階、喜楽亭、そして円頓寺商店街の3会場だけだった。しかしこれだけでも私は今年一番の興奮を覚えたのだった。  強く感じたのは、世の中ではあいトリといえば表現の

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      『テラスハウス』とは2012年から2014年までフジテレビ系列の地上波で放送され、現在はNetflixにて最新作が配信されているリアリティ・ショーである。 男女がシェアハウスで暮らす様子を映し、そのVTRをスタジオにいるレギュラータレントがコメントしながら見るというのが基本的な番組スタイルだ。スタジオメンバーはYOUやトリンドル玲奈といった女性タレントに加え、チュートリアル徳井、南海キャンディーズ 山里ら芸人も出演している。中でも山里

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         先月公開された実写版『ライオン・キング』は、1994年公開のアニメ版を完全コピーに近い形でトレースした、極めて完成度の高い作品だった。 『ライオン・キング』がサバンナを舞台に、ライオンを頂点とする弱肉強食の世界を描いていることはよく知られている。作中では「サークル・オブ・ライフ」というフレーズが繰り返し登場し、自然界の中で巡る命の重要性を強調する。  言うまでもなく、弱肉強食の世界とは下層にいる生き物がより上層の生き物に捕食される世界のことである。サバンナで言うならば、シマ

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