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本マガジンの紹介

自らの経験から、肌で感じたことを記す

ウェブ業界で禄を食むようになってから、すでに20年以上経過している。この業界では、生息期間は長い部類に入ると言っても過言ではなかろう。その間、いくつかの会社を渡り歩いたが、基本的にウェブメディアの運営業務の中心、時には周辺に携わってきた。

その歴史の中でさまざまなことを経験してきた。1996年のヤフージャパン立ち上げ時こそまだこの業界には入っていないが、2000年前後のネットバブルにはすでに渦中におり、日本のインターネットメディアの黎明期に立ち会っており、それなりに歴史に詳しいと自負している。

その黎明期と言ってよい、1990年代後半のウェブメディア業界は、ほとんど全ての事が前例なしの状態であり、いろいろと手探りだった。コンテンツ作りについては雑誌などを作っていた人が多かったように記憶している。広告については広告代理店出身者が中心であったし、技術者についても海外で知識を身につけたような人やもともとプログラムに興味のあった人たちがその任に就いていたと記憶している。ひとつ言えるのは、新しい時代の中心になるであろうインターネットを業とすることに、関係する誰もが熱い想いを持っていたということである。

そして21世紀に入って20年が経過した現在、ウェブメディア業界は特別なものではなく世間における認知も進んできていると言えよう。かつてはインターネット業界にいてオフィスは六本木ヒルズとなれば相当に珍しがられたものだが、いまや大して驚かれもしないであろう。それほど業界も業務自体も普遍的になったと感じている。

急成長ゆえの不確実性

1996年のヤフージャパンの立ち上げを日本のウェブメディア業界の誕生とするのであれば、それ以降、できることが限られた非常に単純なコンテンツしか提供できない時代から始まり、CGM、ソーシャルメディアなどが新たな歴史の1ページを構成してきた。そしていまは、もともとウェブの外側に属していたテレビ番組がウェブ上でその大半を公式に見ることができる時代となっている。

21世紀に入り、テレビとウェブの融合ということが叫ばれていたが、当初はウェブ業界からの提案はテレビ側にことごとくスルーされていた。何と言ってもメディアの王道はテレビであり、視聴者数や動くお金の規模が圧倒的に大きかった。しかし、いまやウェブでテレビ番組を放送と同時に見ることができるようになり、テレビ関係者もウェブへの進出については否定どころか、解決すべき課題として認識しているように感じている。その他、新聞や雑誌なども取り込んで、ウェブは短期間に大きくその在り方を変えてきた。何でも飲み込んでは新しいものを生み出してきたのがウェブという存在である。

どこを切り取っても何かしらの成長を見て取ることができるウェブ業界であるが、その成長の過程のひずみがところどころで発生してきたこともまた確かである。個人が情報を発信することができるのがウェブの特徴のひとつであるが、それが凶悪な事件に繋がるケースもある。また、ねつ造などによるフェイクニュースも大きな問題となりつつある。AIについても、当局が規制を検討するくらいに、さまざまな問題を生み出し兼ねない状況にある。しかし、それを乗り越えたときに一歩進化する、というのがこれまでに起きてきた事象である。時々のゆらぎは成長過程の不確実さが生んだものであり、それが新たな成長をもたらしてきたのである。そして、そのゆらぎがまた2024年に起き、2025年にはウェブメディアにはサバイバルのための戦いが訪れるというのが一連の記事で主張したいことである。

パラダイムシフトが訪れる

自身でもやや大袈裟な物言いとは思っているが、ウェブ業界のパラダイムシフトとも呼べるようなできごとが2024年から2025年にかけて起こると考えている。いくつかその証拠として採用できそうな事実もあると思っている。そして、ウェブ業界関係者の少ないとは言えない人たちもそれは感じているはずだ。

ただ、先に書いたとおり、これは進化の過程でこれまでも起きていることでもある。上述のテレビや新聞、雑誌の件も然り、広告の分野ではプログラマティック広告の台頭然りである。そのたびに大きな痛手を受ける人たちは存在するが、明らかに全体で見たときにはひと皮向けて成長している。今回想定される事象も同様の結果になると思っているが、今回については、嵐の去った後に何かを残すために、関係する人々の意図的な行動も必要であると思っている。つまり、流れに身を任せているだけでは本当に8割のウェブメディアは消滅する。このようなことを論点として取り上げて、業界への問題提起としたい。

本マガジンの構成

原稿はある程度はストックしているが、最新の情報があれば加筆しながら不定期で更新する予定だ。定期的に更新しないのは、日々の業務が忙しいというのもあるが、できるだけ掲載するものは客観的、普遍的なものにしたいというのが大きな理由だ。いま、ウェブを眺めていると根拠のない記事に対して大きな反響がある事例をよく見かける。よく言えばそれが個人が情報を発信できることによる多様性の現れであり、それ自体はネットの特徴の一部でもある。多様性自体は否定しないし、もっと議論されるべきものであると考えているが、フィルターバブル、エコーチェンバーという言葉があるように、時には非常に偏ったものともなり得る。なので、できるだけ一般性を有し、根拠のある記事を情報発信者としては発信すべしとも考えている。よって、編集者もおらず、情報収集から執筆までひとりでこなすとなると相当の時間と労力が必要であり、これを現状の生活の中で定期的にアップするとなるとかなりの困難であると思っている。それゆえ、不定期更新としたい。

このように中途半端なものではあるが、お付き合いいただけると幸甚である。

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