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脚のグリップ材について


 初っ端から予定を変更していきます、びりーです。「学生時代に知りたかったことシリーズ:第1弾」をまずお送りします。このシリーズではその名の通り、かわロボの機体を作る上で自分が学生時代に知りたかった事柄を紹介していきます。
 前回、小型シールド機の機体紹介をすると書いちゃいましたがちょっと先送りすることにしました。しばらくこの「学生時代に知りたかったことシリーズ」を進めていきます。というのも機体解説の記事を書き始めたはいいんですが、全然まとめられず泥沼にはまっているんですよね。いきなり長文書きながら機体解説するより、文章短めの要素解説記事で体と頭を慣らしていくことにしました。


初めに

 今回は「脚のグリップ材について」というテーマです。図1のように脚板に貼られた地面と接触する部分のことですね。脚機構やアーム機構から解説するんじゃなくてまずそこなのか、という声も聞こえてきそうですが……ちょっとそっちのテーマをまとめるには時間がかかりそうなのでこちらを先に出すことにしました。

図1 脚板とグリップ材

 それにかわロボ始めたてサイドからすると脚のグリップ材は意外とつまづきがちなので、自分は取り上げてもいいテーマかなと思ったのもあります。グリップ材の良し悪しはそのまま走行性能に直結しますし。かくいう自分も、かわロボを始めた最初の4年間は訳がわからぬまま試行錯誤を重ねていました。 
 というのも、かわロボはグリップ材に対しても相応の「強度」が求められます。試合となれば急ブレーキ急発進、超信地旋回を繰り返すためグリップ材はいじめ抜かれます。試合後に脚裏がべろべろ剥がれてきた経験のある方も多いのではないでしょうか。そのためグリップ材のちぎれにくさ、接着面からのはがれにくさが重要となりますが、同時にグリップのある材料を選定する必要がある訳でなかなか大変です。
 このように脚板とグリップ材はしっかり接着しててほしいわけですが、そういいつつもグリップ材の交換作業は簡単に行いたいですよね。グリップ材がボロボロになったからといって脚板ごと交換するのもいやですし。

 というわけで前置きが長くなりましたが、自分の機体で使っているグリップ材とその接着方法を解説します。フィールドに対して適度にグリップしながらも、はがれにくく、交換作業も容易です。 

基本的な接着方法

 ここ数年の機体で使用している脚のグリップ材の接着方法です。

シリコーンゴム

シリコーンゴム対応接着剤

樹脂用両面テープ

 シリコーンゴムと樹脂用両面テープを接着剤で貼り付けて脚板に貼り付けています。シリコーンゴムのグリップの良さを生かしつつも、脚板への接着は両面テープのため交換作業は容易です。
 シリコーンゴムは難接着材として有名ですが、シリコーンゴム対応の接着材が現在販売されていますのでそちらを使用します。(補足ですが、ほとんどの両面テープや接着剤はシリコーン系はだめと書いてあり、ゴム系接着剤を使ってもきれいに剥がれてきてしまいます。)
 シリコーンゴムの厚さは1.5mm、硬度は70です。両面テープの厚みが1.1mmなので貼り合わせた後、接着剤層込みで大体3mm厚位を狙っています。脚板は5mm厚か6mm厚のポリカーボネートで製作していますので、グリップ材の幅も5mmか6mm幅になります。この幅でもフィールドに対して十分にグリップ力を発揮してくれます。ちなみにシリコーンゴム+両面テープで3mm厚にするという数値の根拠は特にありません。超信地旋回したときでも脚板の半分程度の厚みであれば、両面テープ内で破壊させることはないだろう程度の予想です。また脚板自体にある程度のクッション性を持たせたいからそこそこの厚みは欲しいという気持ちもありました。
 下記に使用しているシリコーンゴムと両面テープ、接着剤のリンクを示します。

シリコーンゴム:シリコーン・コン・コン

両面テープ:呉工業社製ゴリラ両面テープhttps://www.monotaro.com/p/5033/8856/?t.q=%83S%83%8A%83%89%83e%81%5B%83v

接着剤①:3M社製スコッチ超強力接着剤スーパー多用途

https://www.monotaro.com/g/01468016/?t.q=3M%20%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E5%A4%9A%E7%94%A8%E9%80%94

接着剤②:セメダイン PPXセット
https://www.monotaro.com/g/00012801/?t.q=PPX

 この2つの接着剤のうちどちらかを使えばシリコーンゴムが両面テープからはがれてくることはほぼありません。シリコンゴムに亀裂が入ってボロボロになるのが先です(気泡が入っている場合を除く)。3Mの接着剤は硬化後もゴムのような柔らかさを持つためおすすめです。PPXはプライマー付きの瞬間接着剤のため製作時間がとても速いのですが、硬化後はパキパキに硬くなりますので脚板に取り付けた後は3Mと比較して硬い感じがします。
 接着面はパーツクリーナーとキッチンペーパーでしっかりと脱脂しましょう。接着面に油が存在すると接着能力が落ちてしまします。細かな接着手順については接着剤の説明を読んでください。 
 作るときは図2の左側のようにシリコーンゴムのシートに両面テープを並べて貼り付けて、接着剤が硬化してから切り出したほうが効率的です。切り出しの際はなるべく新品のカッターで切りましょう。また切り出した後、気泡が入っているようであれば接着剤を塗りこんで再度硬化を待ったほうが長期間使えます。

図2 接着後のグリップ材

現状の課題と展望

 脚板とグリップ材を接着する両面テープですが、以前は3Mの別の樹脂用両面テープを使っていました。これが数年前に販売終了になってしまいましたので代替品としてゴリラ両面テープを選定しましたが、図3のようにこのゴリラ両面テープは折り返しの部分のみが剥がれてしまうという問題を抱えています。全部が全部剥がれてしまうわけではありませんが、以前の両面テープでこのようなことはありませんでしたし、パーツクリーナーで脱脂しても剥がれるときは剥がれてしまいます。
 地面との接地部分は剥がれず、剥がれても16脚×2=32カ所のうち2か所~3か所程度のため今のところ交換頻度高めで使い続けていますが、ゴリラ両面テープを使い切り次第別の両面テープへ乗り換えるかもしれません。

図3 折り返し部分のはがれ

 シリコーンゴムの硬度は70を選択していますが、根拠は特にありません。柔らかい硬度40、50のほうがグリップ力が上がり、その分ちぎれやすくなる気がしています。今後数値を変えて実験してみてもいいかもしれません。(変えても試合中わかる違いとなるのか微妙なラインですが。) 

あんまりうまくいかなかったものたち

①シリコーンゴム用両面テープ
https://www.monotaro.com/g/00696876/?t.q=%E4%B8%A1%E9%9D%A2%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%97%E3%80%80%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%B3

 両面テープだけでシリコーンゴムつけられるの最高かよと買いました。PETフィルムの片面に通常の粘着材、もう片面にシリコーン系粘着剤をつけている構造のため脚板との接着自体はできましたが、少し走らせただけですぐにシリコーンゴムが剥がれてしまいました。急制動の多いかわロボでは条件が悪すぎました。

②ハイグリップ シリコンシート

 シリコーンシートに裏面粘着テープ付きとか最高かよと買いました。脚板に問題なく接着でき、素晴らしいグリップを発揮しましたが表面のシリコーンゴムが10分程度の走行でほぼ全てはがれてしまいました。こちらも急制動の多いかわロボには向きませんでしたが、他のロボコン用途では何かしら使えそうです。

③シリコーンシーラント
https://www.monotaro.com/g/00212615/?t.q=%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88

 台所やお風呂にも使われているシリコーンシーラントをグリップ材に使ってみたこともあります。型を作って脚板を配置し、シリコーンシーラントを流し込んで製作しました。どうやらシリコンは空気中の水分と反応して硬化するようで、型の奥のほうの空気に触れない箇所は冬場3日たっても固まりませんでした。その後、型ごと鍋で煮ることで硬化を促進できることがわかり作業自体は短時間で行えるようになりましたが、手間の多さからやらなくなってしまいました。残ったシリコーンシーラントは冷蔵庫で保管しないと使わないうちに硬化してしまいますし。
 ちなみに型はホームセンターでセールだった10mm厚のまな板から削り出して作っていました。削りやすさはジュラコン以上だったため、余ったまな板で試作用の部品を作ることもありました。

終わりに

 今後も改善が進み次第、記事を更新していく予定です。わからないことなどあればX(旧Twitter)や練習会で質問してください。
 次回はヘッケンリンク機構を用いた脚機構の設計を紹介します。内容としてはリンク比の決定、脚板とヘッケン節の接続、クランクの構造、最終段ギヤとの接続の予定です(予定は未定)。機体紹介はしばらくお待ちください。以上、「学生時代に知りたかったことシリーズ:第1弾」でした。

 A4用紙1枚分程度の記事を週1で何本か目安に書くことを想定していましたが、気づけばこんな文章量になりました。まあ、初回だしいっか。

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