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【木原誠二事件・遺族証言の考察①】事件解明の決定的な糸口となる”動機”~遺族の知る事情抜きにして安田種雄さん変死事件の解明はあり得ない~X子実家の状況と種雄さんの位置、Y氏との関係、何が「殺害動機」たり得るのか…


【画像① 誕生間もない自分の子どもを抱いて微笑む安田種雄さん】





◆新たな事実の断片が現れる度に、開かれる事件真相の解明への入口




「木原誠二事件」について、混沌とした状況が続いている。「安田種雄さんの自死ではないか」とされてきたこの事件について「週刊文春」がこの夏、2018年からの再捜査で木原誠二氏妻X子氏の取り調べ等を担当した元捜査一課刑事、佐藤誠氏の「事件性がないわけがない」との実名告発を中心に報道してから、事件の捜査再開が期待されてきた。2006年4月9日に変死した安田種雄さんの姉と父がその後に大塚警察署に捜査再開を上申したり(7月)、刑事告訴したり(10月25日)という流れが続いてきたものの、実際に警察が動いたという形跡は表面上は見られない。


そうした一方で、この事件についてYouTube配信などでも日々、得られる情報に基づいて事件解明に向けたさまざまな考察が専門家によってリリースされている。元検察官の村上康聡弁護士は、すでに「木原誠二事件」についてはRMCAチャンネルで10回に及ぶ考察・解説番組で見解を述べている。この度リリースした10回目の特集動画では、安田さんの姉、父がこの度、事件発生後に遺体検案を行った東大医学部医師から新たに死体検案書を取得したことに関わり、存在が確認される死体検案書と捜査当局が保持していると思われる遺体鑑定書の違い、司法解剖前になぜ死体検案書を解剖執刀予定の医師が書かざるを得なかったなどを考察、事件直後の警察の対応への違和感の根源に迫っている。



(参考映像)「元検事が”木原問題”を徹底解説 その10 死体検案書に見る事件性 リスクマネージメントジャーナル
第199回」2023/12/14 RMCAチャンネル

https://youtu.be/zQ_QaaSCQKI?si=NqtWOQsYKe1_5Pee



◆遺族の口から出る事情説明は、事件に対する見方を一変させた




このように、何かしらの新しい情報があれば、事件について今まで見えなかった真相に迫る入口がいくつも開いてくるような状況が生まれている。しかし、筆者は当初から、「なぜ、本来両家の婚姻関係があったことにより、さまざまな状況を知悉しているはずの”被害者”安田種雄さんの両親、特に母親の話がなかなか出てこないのか」と疑問を持ってきた。そして、司法警察としての警視庁側の動きをスーパーバイズする立場で長年、沈黙を守りながら捜査の行く末を見つめている検察への働きかけを、なぜ遺族(安田種雄さんの父、母ら)はしないのか、自分の配信でも率直に述べながらジリジリして見つめてきた。


そうした矢先、突然、安田さんの母親から「ぜひお会いして、お話ししたい」との連絡が来た。お会いして、長時間にわたりスタッフと共に事件をめぐることと共に、種雄さんの”やんちゃ”なことを含めたさまざまなエピソードやX子氏との結婚、子供の誕生、2人の子供(孫)とX子氏との交流、その中で分かったX子氏の両親や兄弟たちの暮らしぶり、人間関係、更には「週刊文春」報道などで浮上したX子氏と不倫関係にあって、種雄さん死亡直後にX子氏から現場に呼び出されたY氏のことなど、事件の背景に深く関わるさまざまな事情を聴取させていただいた。


あわせて、多くの写真も見せていただいた。その中で、私の心が動かされたのは、下の写真だ。種雄さんが結婚後、後に「変死現場」となった文京区大塚の戸建住宅(当時の名義上の所有者はX子父=Z氏)の2階の部屋で、作業台に向かいコンピューターを組み立てているところだ。



【画像② ”変死(殺害)現場”となった居室で、作業台に向かいコンピューターを組み立て中の安田種雄さん】




当初の週刊誌報道では「遺体から致死量の薬物が検出された」というような一文があった。最近、「致死量」云々は事実でなかったことがオンライン記事でリリースされたのだが、この写真を見る以前は報道から得た印象で、少なくとも種雄さんも何か薬物絡みでトラブルを抱えていたのでは、と感じていた。


この写真を見る限りでは薬物常用なんてことはあり得ないし(常用者があれくらい澄んだ目をして模型や機械類の組み立てに取り組むなど無理だ)、安田さん母から「種雄は酒もたばこもやらないし、まして薬物なんてやっていたことはない」という言葉もあったので、この写真が撮られた頃は「結婚して子供が出来た頃はまじめに頑張ろうとしていたのだろうな」と思うようになった。そして、高校時代以来の”やんちゃ”ぶりの延長で薬物に手を出していたのだろうという印象は筆者の中では否定された(しかし、それを許さない事情がX子実家との関係性の中で生まれた可能性があり、それについては後述する)。


そして、それ以上に驚かされたのは、恐らくしばしば遊びに来ていたX子氏からもたらされたであろう、X子氏実家の家族の暮らしぶりや相互の関係性について安田さん母が語った事情である。その中で、もし、X子実家の家族との関係性の中で生じたトラブルに起因して、種雄さんとX子との夫婦関係が悪化したことにつながったり、あるいは家族メンバーの誰かと直接衝突するようなことがあったり、ということの蓋然性を裏付けるような内容があると、筆者には思えた。簡単にいえば、”動機”である。


誰が、どのような”動機”をもって、種雄さんに”凶刀(ナイフ)の一撃”をふるう可能性があったのか?
その推測を、遺族やこれまでの取材でX子氏実家(F家)をとりまく関係性の中から得た情報に基づき、以下に記してみたい。


これを読んでいただければ、「死体検案書」を引っ張り出したり、解剖執刀医によって「死因は不詳」とされた背景事情を探ったりということ以上に、安田種雄さんとX子氏の結婚とその後の暮らしに寄り添い、見つめてきた遺族、とりわけ母親や父親の経験と記憶の中にこそ、事態解明のカギとなるような”新事実”が含まれているであろうことを理解していただけると思う。



【画像③ 11月に入って公表された安田種雄さん父と姉が弁護士と共に東大医学部を訪れて当時の検案を担当した医師から引き渡された「死体検案書」は、改めて今日の日付で出された当時の検案書を引きうつしたものだという。ちなみに、別掲(参考映像)で村上弁護士が解説するように、「死体検案書」は事件解明に用いる司法解剖に基づく「鑑定書」とは別物で、こちらは遺族が検察庁に求めれば内容の説明は受けられるだろうとのことだ。】

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