塾もいろいろ、個別指導型もいろいろ

その1では、春休みから新学期になって、生活習慣や勉学の態度の変化の概要を紹介した。今日までの間にあった新規なことのうち、本日は、彼の生活や学習の態度を変えることに関係していると思えることの1つを振り返ろう。

昨年の12月頃、長男が、皆(彼の友達連中)が通っている評判の塾に行きたいと言い出し、仮入塾で、しばらくお世話になっていた塾がある。都立のトップクラスへの進学実績を誇る「集団指導」を重視した、カリスマ的な先生が、生徒を弟子のようにグイグイ引っ張っていく古典的なタイプの塾である。他の生徒は1年生か遅くとも2年の最初に入塾しており、途中からの長男とは学力でも勉強の習慣でも大きな開きがあった。

それでも塾長は、長男にやる気だけはあると見て、試験前など、ほぼ毎日、来なさいと指示し、集団の中でも個別的にも対応してくださった。ただ、正式な入塾には、5科目の合計で〇〇点以上を取ること、という厳命があり、長男は初めてと思える努力をしたところ、これまでよりも50点アップはしたが、示された基準に及ばなかった。

入塾できなくなった彼は失意のうちに、勉強へのやる気を失い、真面目さから遠ざかった生活を送り出した。私は、試験前に塾長が条件を出された手紙に、「彼は、基礎学力に漏れがあることから、本来は個別塾がいいのだが・・・」と書かれていたことを思い出し、「個別指導の塾にすれば?」と提案したが、本人は「あの塾に行けないならやる気がしない!」と駄々をこねては、寝たり、友達と遊んだりの生活。

個別を勧めたものの、一度も実態をみたことが無い。自分が直接、確認してもいないことを人に勧めることは、これでも、一応、科学者の端くれだった者としては、出来ない(科学者かどうか関係ないかもですが・・・)。

そこで、街を自転車で通る際に気にしてみたら、我々の世代は、子どもの頃にはなかったが、結構、あるものだ。たまたま目に入ったところに飛び込んだら、塾業界での指導歴が40年の塾長と教育談義で盛り上がり、長男を体験させることにした。英語と数学、1回づつを、本来は学生バイトが担当するのだが、塾長が直々に担当くださった。でも、長男は、まだ前の塾への憧れが強いのか、理由はよくわからないが、行きたいとは言わない。

その先生とは、結果がどうであれ、我々はいい関係でお付き合いしましょうということだったので、2つ目のところに飛び込んだ。そこは集団と併用してやっており、塾長は若さと聡明さにあふれる方で、断言気味の回答に、自信を感じ、早速、長男に伝え、当日、面談と体験をすることになった。

これまでの成績に基づく内申だと、志望校どころか、すごく易しいと思える学校にも入学が難しいという現状は、この塾長の面談で明らかになったことはよかった。ただ、体験は講師が学生アルバイトであったことや、たまたま、同じ中学校の生徒がいて、うるさくしたという理由で、ここも行かないという。

私は毎回、塾長と事前に会って納得してから、「そこに入ってくれ!」と祈るような気持ちで息子に紹介しているので、困ってしまった。でも、それに懲りずに、次を探した。これまでは太い道沿いの路面店で探したが、まさに行き当たりばったり式だったので、今度は、インターネットで、この界隈の塾の人気ランキングから探すことにした。

そこに記載されていたのは、TVのCMで有名なところが上位の多くを占めていたが、その中に、聞いたことが一切ないものの、書き込まれたコメントの平均値は一番、高いものがあったので、電話をしてみた。そこは、個別塾の中でも、「自立学習」の力をつけさせることを売りにしたところだ。今回も、まず親が直接、塾長から話を聞き、何が自立なのかよく分からないし、なぜそれが可能になるのかわからないが、良さそうだったので、改めて長男と一緒に面談をすることになった。

そして、当日が来た。今度も、難癖をつけては嫌がるのかと、半ば諦めて望んだが、果たして、彼は面談の時も乗り気になっている。何が違って、何が良かったのか。まだ分からないうちに正式に申し込めないから、せっかく5日間、春期講習が無料体験できるというので、まずは参加させることにした。その塾の宿題をしっかりとやり、帰ってきても、「結構、良かった」といい、2日ほどしか出ていないうちから、彼は「ここでいいよ」と、すんなりと言う。

同じ個別塾でも、どう違うのか、なぜ3つ目の塾がいいのか、すぐには理解できなかったが、段々と違いがわかってきた。そして、そこでわかった原則を、私は親として、勉強以外のことに応用してみたのだ。すると、彼との関係がどんどんと変わっていったのだ。その原理について、次回、考察したことを紹介してみよう。